ドル円見通し 米連銀の早期大幅利下げ姿勢がトーンダウン、米中首脳会談期待で持ち直す(6/27)

米中首脳会談への期待が強まったことからドルが持ち直し、ドル円は27日未明に107.84円まで上昇して21日深夜の戻り高値を上抜くところまで回復した。

ドル円見通し 米連銀の早期大幅利下げ姿勢がトーンダウン、米中首脳会談期待で持ち直す(6/27)

【概況】

6月20日未明の米連銀FOMCによる年内利下げ姿勢をきっかけに6月4日から続いていた1円弱の値幅での持ち合いを下放れ、6月25日にはトランプ大統領が日米安保条約破棄に言及したとの報道もあって107円を割り込み、106.75円の安値を付けたが、その後は米連銀の早期大幅利下げ姿勢がトーンダウンしたこと、米中首脳会談への期待が強まったことからドルが持ち直し、ドル円は27日未明に107.84円まで上昇して21日深夜の戻り高値を上抜くところまで回復した。

パウエルFRB議長は6月25日(日本時間26日未明)の講演で早期利下げに踏み切る用意があることを強調したが利下げ時期には言及せず、利下げ要求を繰り返す米トランプ大統領による介入姿勢を批判した。またセントルイス地区連銀のブラード総裁も「7月のFOMCで利下げするとしても0.50%の利下げ幅は大きすぎる」と述べた。そのため、7月のFOMCで0.50%の利下げを期待していた市場にとっては失望となり、ドルが巻き返しの上昇となった。
26日にはムニューシン米財務長官が米中協議については90%進展しており、妥結への道筋があると述べたことが報じられ、6月29日のG20大阪サミットにおける米中首脳会談での進展期待感が強まったため、米中首脳会談で合意への道筋が形成されずに現状よりも深刻化してゆくとの懸念がやや後退したこともドル円が反発するきっかけとなった。

【米中首脳会談と米雇用統計から議長の議会証言へ】

トランプ大統領は6月26日夜、ゼロ金利を据え置き量的緩和も継続しているドラギ欧州中銀総裁を引き合いにしてパウエル米連銀議長は良い仕事をしていないと批判し、米連銀議長を「降格させると言ったことはない」が「クビにする権限を持っている」とも述べて利下げ要求をエスカレートさせている。
米FOMCにおける利下げの可能性はなお高いと市場は見ているが、前回のFOMCでの利下げ派と現状維持派は同数であり、まだ見送られる可能性も残っている。米連銀の利下げ姿勢への転換は米中対立の深刻化による米国および世界景気への悪影響を意識したものであり、米中協議進展で雇用統計が強く、株高となれば利上げを急ぐ必要もなくなる。逆に懸念が継続拡大すれば利下げを急ぐ必要に迫られる。このため6月29日の米中首脳会談、7月5日の米雇用統計が重要となってくる。
7月10日には米議会下院金融サービス委員会で、11日には米上院銀行委員会でパウエル議長の議会証言がある。年内のFOMCは7月30日-31日、9月17−18日、10月29−30日、12月10−11日。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月14日夕安値から5日目となる21日昼安値で直近のサイクルボトムを付けていったん戻したが、25日朝時点では21日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日の日中から28日にかけての間への下落を想定した。
6月26日朝時点ではまだ一段安余地ありとしたが、107.50円超えないしは直前安値から0.50円以上の反発となる場合は強気転換注意とし、強気転換には21日深夜高値を上抜く必要があるとしたが、26日夜への上昇で21日深夜高値を上抜いた。このため25日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は26日深夜から28日深夜にかけての間と想定されるので既にトップアウト注意期にあるが、107.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、108円台序盤までを上値目途とする。
107.50円割れからは弱気転換注意とし、107.25円割れからは弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる28日の日中から7月2日にかけての間への下落を想定する。その場合は当初の下値目途を6月25日安値106.75円試しとし、底割れからは106円前後試しへ引き下げる。

60分足の一目均衡表では26日午後の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも突破しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日夜から27日未明への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行が見られる。50ポイント台を維持するうちは高値更新余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期に入ったとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を下値支持線、6月27日未明高値107.84円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.50円以上での推移中は27日未明高値超えからの一段高余地ありとし、高値更新の場合は108.00円から108.25円までのゾーンを試すとみる。108円以上は反落警戒とし、直前高値から0.50円以上の下落発生なら下げ再開を疑う。
(3)107.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、107.25円割れからは弱気サイクル入りとして6月25日安値106.75円試しへ向かうとみる。107円割れはもう一度買い戻される可能性ありとするが、107円以下での推移が続く場合は25日安値を割り込んでさらに一段安入りする可能性があるとみる。リスク回避的な材料で円高が進み始める場合は106円試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

6/27(木)
10:00 (NZ) 6月 NBNZ企業信頼感 (5月 -32.0)
10:30 (日) 若田部昌澄日銀副総裁が金融経済懇談会に出席・会見
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 105.1、予想 104.7)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感 確定値 (速報 −7.2、予想 7.2) 
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前月比 (5月 0.2%、予想 0.2%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 1-3月期GDP確定値 前期比年率 (前回 3.1%、予想 3.2%)
21:30 (米) 1-3月期GDP個人消費確定値 前期比 (前回 1.3%、予想 1.3%)
21:30 (米) 1-3月期コアPCE確定値 前期比 (前回 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.2万人)

23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前月比 (4月 -1.5%、予想 1.0%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前年同月比 (4月 0.4%)
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.25%)

6/28(金)
G20大阪サミット2019(6月28日~6月29日)
英仏独中ロとイラン、EUが核合意存続に向け協議(ウィーン)

08:01 (英) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -10、予想 -11)
08:30 (日) 5月 失業率 (4月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 5月 有効求人倍率 (4月 1.63、予想 1.63)
08:30 (日) 6月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く前年同月比(5月 1.1%、予想 1.0%)
08:50 (日) 6月19・20日の日銀金融政策決定会合の「主な意見」
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前月比 (4月 0.6%、予想 0.7%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (4月 -1.1%、予想 -3.0%)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 -5.7%、予想 -4.2%)

17:30 (英) 1-3月期GDP改定値 前期比 (前回 0.5%、予想 0.5%)
17:30 (英) 1-3月期GDP改定値 前年同期比 (前回 1.8%、予想 1.8%)
17:30 (英) 1-3月期経常収支 (前期 -237億ポンド、予想 -320億ポンド)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (5月 0.8%、予想 0.9%)

21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 個人消費 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 1.5%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター、前年同月比 (4月 1.6%、予想 1.6%)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部協会景況指数 (5月 54.2、予想 54.0)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.9)

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