【概況】
6月4日安値107.82円の後は6月11日高値108.79円までややジリ高の持ち合いで推移し、6月11日以降は戻り高値が切り下がり安値も若干切り下がり気味で持ち合いを継続していた。1円弱の値幅での持ち合い期間は13日間に及んだが、6月20日未明のFOMCによる年内利下げ姿勢を受けてドルは全面安となり、ドル円は持ち合いから転落した。
6月21日昼に107.04円まで続落し、21日夜高値107.73円までいったん戻したものの21日深夜高値からは反落、新たな安値更新へ進んではいないものの週明けは107円台前半での小動きにとどまっている。様子見機運が続く状況であった。
【米連銀への利下げ圧力さらに強まる】
米連銀の年内利下げ観測が強まる中でドルの全面安が続いている。ユーロドルは6月18日夜安値1.1180ドルからFOMC前に下げ渋り、20日未明のFOMC声明から急伸し、24日もさらに一段高入りして1.1400ドル台を付けている。英ポンドも21日夜にいったん反落したものの24日午後には一段高しており6月18日夜安値以降の上昇基調を継続している。豪ドル、NZドル等も上昇中だ。
トランプ米大統領は24日のツイッターで米連銀が利下げしないのは「頑固な子どものようだ」と批判した。「利下げしていればGDPの伸び率は4、5%台に達していた」「米連銀はやっていることを分かっていない」とも述べて利下げ要求をエスカレートしている。パウエル米連銀議長は25日夜(日本時間26日未明)に講演を予定しており、その発言内容が注目されるが、7月10日には米議会下院金融サービス委員会で、11日には米上院銀行委員会で議長の議会証言がある。米連銀は政府から独立しているとはいえ、現職大統領による相次ぐ批判と利下げ要求も踏まえて年内利下げへ舵を切ってきた印象もある。
6月28日からのG20大阪サミットにおいて、29日に米中首脳会談が行われる予定とされている。そこでよほど楽観的な米中合意見通しが出てくれば米連銀による早期利下げ観測が後退する可能性もあるが、協議の継続程度であれば協議長期化による実体経済への悪影響を懸念して利下げへ踏み切りやすくなる。7月5日の米雇用統計が弱ければ利下げの根拠にもなるだろう。次回のFOMCは7月30日から31日に開催される。それまでは利下げ観測を中心としたドル安円高基調が続きやすいと思われる。
【イラン情勢も円高要因】
米連銀の利下げ観測に加え、米国とイランの対立による中東情勢不安が円にとっては安全資産買い材料となりつつあると思われる。
トランプ米大統領は先週末に「大規模な追加制裁を24日に発動する」と表明していたが、24日にはイランの最高指導者ハメネイ師に対して米国の金融システムを通じた取引禁止などの制裁を科す大統領令に署名した。米財務省はイラン革命防衛隊の司令官ら8人を制裁対象とし、ザリフ外相についても週内に制裁指定する見通しとした。ムニューシン米財務長官は「ハメネイ師等への制裁で数十億ドルの資金が塩漬けになる」とも述べている。
また6月22日付けのニューヨーク・タイムズ電子版は、米国が6月20日にイランの情報機関等に対してサイバー攻撃を仕掛けていたと報じている。
最高指導者を制裁対象にしたことは両国の軍事的な緊張感を高めるため、小規模の衝突や偶発的事件の発生確率も上昇しやすくなってくる。なにがしかの事件発生や挑発的な動きが強まると円高へ進みやすくなると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月14日夕安値から5日目となる21日昼安値で直近のサイクルボトムを付けていったん戻したが、すでに21日深夜高値でサイクルトップを付けて新たな弱気サイクル入りしていると思われる。このため21日深夜高値を上抜けないうちは次の安値形成期となる26日の日中から28日にかけて下落を想定する。21日深夜高値までの戻り幅の倍返しならV計算値は106.35円、6月17日から21日への下げ幅と同値幅のN計算値は106.05円であり、107円割れからの一段安では106円台序盤が下値目途となりやすいと思われる。
ただし、6月21日深夜高値を上抜き返す反騰が発生する場合は、短期サイクルのリズムが強気に変わったと仮定して26日夜から28日夜にかけての間への上昇と108円台序盤試しを想定する。
60分足の一目均衡表では21日深夜高値から反落したものの三角持ち合い型での推移となっているので遅行スパンは実線と交錯しており方向感に欠ける。21日深夜高値及び24日の戻り高値は先行スパン下部が抵抗となっている。21日安値を割り込んで一段安へ進むか、21日深夜高値を上抜き返すのかにより流れも決まると思われるが、107.20円割れからは下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、24日夜高値107.53円超えからは21日深夜高値試しへ向かう可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイントが下値支持線となっているので、40ポイントを上回るうちは21日深夜高値試しへ向かう可能性ありとするが、40ポイント割れからは一段安へ進みやすくなるとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.20円を下値支持線、107.53円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.20円割れからは6月21日安値107.04円試しとし、107.04円割れからは一段安入りとして106円台前半を目指すとみる。106.75円から106.50円にかけてのゾーンではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、107円以下での推移中は下落継続と考える。
(3)107.53円超えからは6月21日深夜高値107.73円試しとする。21日深夜高値を上抜けないうちはその後の107.20円割れから下げ再開、一段安入りとみるが、107.73円を超える場合はサイクルの強気な転調として108円台序盤を目指す上昇を想定する。
【当面の主な予定】
6/25(火)
21:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、挨拶
22:00 (米) 4月 住宅価格指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.2%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 2.7%。予想 2.6%)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 5、予想 2)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (4月 67.3万件、予想 68.0万件)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 134.1、予想 131.2)
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) パウエルFRB議長、講演
28:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、オタワの討論会に参加
6/26(水)
米民主党の大統領選候補者討論会(フロリダ州マイアミ、27日まで)
07:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁裁、開会挨拶
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.50%、予想 1.50%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 10.1、予想 10.0))
18:15 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、議会証言
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -2.1%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 0.0%、予想 0.1%)
オーダー/ポジション状況
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