ドル円、ハト派な米FOMCを受けて一時108円割れも下げ渋る展開
海外時間の為替概況
19日の海外市場でドル円は下落。アジア時間および欧州時間は、米FOMCを前にした様子見ムードから狭いレンジ内で膠着する動きとなりましたが、ハト派な米FOMCを受けて、「米年内利下げ観測高進→米長期金利低下→ドル売り」の流れが強まると、米10年債利回りが2.09%から2.03%付近まで急低下する中、ドル円は一時107.90まで下げ幅を広げました。もっとも、6/7安値(107.89)や6/5安値(107.81)、1/10安値(107.77)付近では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、日銀金融政策決定会合を前にした手控えムードも重なり、引けにかけてドル円は反発。結局108.10近辺まで持ち直してのクローズとなりました。
注目された米FOMCでは、@FF金利が2.25%ー2.50%に据え置かれたものの、セントルイス連銀ブラード総裁が「据え置き」に対して反対票を投じるサプライズが見られました(利下げを求める反対票は2015年末の利上げ開始以降で初めて)。また、A声明文では、「patient(辛抱強い)」の文言が削除された他、景気認識においても、「solid(堅調な)」との記述が「moderate(緩やかな)」に変更されました。BFOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・プロット)では、17人の政策当局者のうち、8人が年内利下げを予想した他(内、7人が年2回=50bpの利下げを予想)、C2019年および2020年の物価見通しでは下方修正も見られました(2019年1.8%→1.5%、2020年2.0%→1.9%)。更に、DパウエルFRB議長記者会見では、「世界経済の先行きにリスクが見られる」「多くの委員は利下げが適切だと認識」などハト派的な見解が示されました。上記@からDを受けて市場では「総じてハト派的」と受け止められ、米年内利下げ観測を織り込む形で、ドル売りに拍車がかかりました。
一方、ユーロドル相場は、冴えないドイツ5月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想0.1%)を背景に上値の重い展開が続きましたが、ハト派な米FOMCを受けてドル売りが強まると、NY時間には一時1.1254まで急伸しました。もっとも、90日移動平均線(1.1254)や、一目均衡表転換線(1.1265)を前に戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。結局1.1225付近まで押し返されてのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B39営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。米墨貿易摩擦の緩和や、G20での米中協議進展への期待などから、リスク回避ムードは幾分後退しましたが、中東を巡る地政学的リスクや、世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題、米独関係悪化懸念など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、ドル円の上値余地は乏しいと考えられます。
米FRBがハト派姿勢を鮮明に打ち出すなど、米長期金利低下の観点でも、ドル売り圧力は強まりそうです。ボリンジャーバンドのミッドバンド(108.71)付近では戻り売りが強まると見られ、事実昨日も108.58をトップに伸び悩む動きとなりました。本日の日銀金融政策決定会合が、「事実上のゼロ回答(追加緩和の可能性を滲ませつつも、副作用を警戒して、市場にサプライズを与えるような具体的な手段には踏み込めない)」と見なされれば、「日銀の金融政策手詰まり感→追加緩和期待の剥落→日本とその他各国との金融政策格差の縮小」との連想を通じて、円高圧力が強まる可能性もありそうです。当方では、短期的にも中長期的にも「ドル安・円高」をメインシナリオとして予想いたします。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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