ドル円予想と振り返り「今週も108円台でのもみあい濃厚」(週報6月第3週)

先週のドル円は冴えない一週間で終わりました。前週はまだ108円割れで買いなど動かないなりにも下側はやや広かったのですが、

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ドル円予想と振り返り「今週も108円台でのもみあい濃厚」(週報6月第3週)

今週の週間見通し

先週のドル円は冴えない一週間で終わりました。前週はまだ108円割れで買いなど動かないなりにも下側はやや広かったのですが、週初に対メキシコ関税が回避された分、ドルが底上げした動きとなり、108円台前半が買いと週を通してのレンジもわずか64銭となりました。これは過去20年間(ユーロスタート以降)でも6番目の値幅の狭さを記録しています。

なかなか動きがとりにくい中、円売りポジションにも変化は無く売買どちらのサイドにも動ける状態です。材料的には先週も書いた通り米国政策金利が来月にも利下げされるとの思惑や、香港における逃亡犯条例撤回のデモが200万人を超える状況など、ドル売り、あるいはリスクオフによる円買いにバイアスがかかりやすい地合いにあると考えています。

利下げ思惑の急速な前倒し思惑が広がる中で、今週はFOMCが開催されます。市場参加者は、思惑で過剰に反応する傾向はありますが、現状はさすがに今週のFOMCでの利下げを考える参加者は少なく、今回は現状維持がほぼ決定的かと思われます。現状、そして先行きの景気に対する見方、さらに来月以降の利下げ見通しについてFOMCメンバーがどのように見ているか、市場参加者の思惑とのつき合わせ作業になるかと思います。

前回3月時点よりもハト派の見通しとなる可能性が高いと見ていますが、さすがに市場参加者の思惑にまでは近づかないとも見ています。おそらく年後半で1回の利下げというところが平均値になるのではないでしょうか。その場合、これまで利下げを織り込んできた向きがどう反応するかですが、やはりFOMCメンバーも利下げという点を取るのか、あるいは市場の織り込み度よりも弱いと見るのか、市場の動きについては悩ましいところです。

個人的には、既にかなりの利下げを織り込んで動いていますので、市場の思惑よりもハト派スタンスが弱い場合には、ポジション調整から利下げ思惑がやや後退し、それを受けての株売り、そして為替市場は株価の下げを見てのリスクオフとなるのではないかと思います。現在のドル円を取り囲む材料としては、実際のドルが底堅い値動き以上にドル安・円高に動き可能性の方が高いのではないか、そのように見ています。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

前回から目立った変化も無く、4月高値からの下降チャンネル内での動きを続けています。やはり、年初来安値と高値の61.8%押しが107.76であったことは下値のターゲット達成感があったようです。またチャンネルは着実に低下していますので、上のレジスタンスまでの距離も狭くなっていて本日時点で109円を割り込み、5月末に割り込んで下げトレンドを確定させる前の安値5月13日安値の109.02とも近い水準にあります。大きく109円は引き続き強いレジスタンスにあると見てよいでしょう。

ただ、材料的にもテクニカルにも下に動きやすいと言っても、週明けの水準が108円台半ば、先週の動きを見ていても108円は簡単には割り込まないイメージです。トランプ大統領の発言次第ではぶれる可能性はありますが、それでも新たなリスクオフ材料でない限りは108円が底堅いと言えます。

今週も108円台前半から半ばを中心としたもみあいを継続しやすいと考え、108.00レベルをサポートに109.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月17日(月)
**:** 南ア市場休場
16:00 トルコ3月失業率
21:30 米国6月NY連銀製造業景況指数
23:00 米国6月NAHB住宅市場指数
26:00 ドラギECB総裁講演

6月18日(火)
10:30 豪州1〜3月期住宅価格指数
10:30 豪中銀理事会 議事要旨公表
16:00 トルコ4月鉱工業生産
17:00 ドラギECB総裁講演
18:00 ユーロ圏5月CPI
18:00 ドイツ6月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏6月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏4月貿易収支
21:30 米国5月住宅着工・建設許可件数
23:00 カーニー英中銀総裁講演
**:** FOMC(〜19日)


6月19日(水)
17:00 南ア5月CPI
17:30 英国5月CPI
18:00 ユーロ圏4月建設支出
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見

6月20日(木)
07:45 NZ1〜3月期GDP
**:** 日銀金融政策決定会合
15:30 黒田日銀総裁会見
17:30 英国5月小売売上高
20:00 英中銀MPC、議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
23:00 ユーロ圏6月消費者信頼感速報値
29:00 カーニー英中銀総裁講演


6月21日(金)
08:30 本邦5月CPI
16:15 フランス6月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ6月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国6月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国5月中古住宅販売件数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月10日(月)
週明けのドル円は、週末にトランプ大統領が対メキシコの制裁関税を無期限延期するとの発言を受け株価とともにリスクオンの円売りの動きとなりました。欧州市場序盤までじり高の展開をたどり一時108.72レベルの高値をつけました。しかし、その後は株価の伸び悩み、クロス円での売りも出てじり安、NY市場ではトランプ大統領がG20サミットに習主席が出席しないと制裁関税発動との話や、マンハッタンでヘリが墜落との話も重なって108.32レベルまで下押し後、やや戻しての引けとなりました。

6月11日(火)
ドル円は、NY市場までは株価の上昇に支えられてじり高の展開となり、NYの朝方には前日高値を上抜け108.80レベルの高値をつけました。しかし、NY市場に入ってからはダウの下げとともにドル円も売られて東京前場の水準に押して引けました。


6月12日(水)
ドル円は、前日にごく目先の高値をつけた感が強まり上値の重たいスタートを切りましたが、東京市場ではじり安となった株価を横目で見ながらドル円も円高気味で海外市場入り。その後もじりじりと水準を下げNY市場では弱めのCPIも手伝って一時108.22レベルまで水準を切り下げましたが、ユーロドル下げの動きから東京前場の水準にドルが買い戻されての引けとなりました。

6月13日(木)
東京前場のドル円は、弱い株価とともに円高に動き一時前日安値を下回る108.17レベルをつけました。しかし108円割れにはドル買いオーダーが見えていることもあって、後場以降は株価とともに反発、NYの昼前には東京朝方の高値に並ぶ水準へと戻しました。しかし、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃についてトランプ大統領がイランを非難したことからリスクオフを経て引けにかけてはやや戻しと上下ともに行き切らない展開が続きました。


6月14日(金)
前日NY市場の流れを継続し東京市場のドル円は上値の重たいスタートを切りました。欧州市場序盤には株価指数先物が下げる動きに追随し、一時108.16レベルの安値をつけ安値圏でもみあいのままNY市場に入りました。NY市場の朝方に発表された経済指標が予想よりも強かったことから週末を前にしたポジション調整の買い戻しが入り、後場に入ると急速にユーロドルが水準を切り下げたことからドル円も一段高となり108.59レベルまで買われて高値圏での引けとなりました。

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