ドル円見通し 5月13日深夜からの戻り一巡、株安・米長期債利回り低下で急落(5/24)

米中対立の深刻化を嫌った株安・債券高・米10年債利回り低下が背景となって、23日夜には110円割れからの急落商状となって109.40円台まで下げた。

ドル円見通し 5月13日深夜からの戻り一巡、株安・米長期債利回り低下で急落(5/24)

【概況】

5月13日にかけての株安が一服したとして13日深夜安値109.02円からは出直りとなり、日々戻り高値を切り上げつつ高値を試してきたのだが、22日未明高値110.67円からの反落が続き、23日夜には110円割れからの急落商状となって109.40円台まで下げた。米中対立の深刻化を嫌った株安・債券高・米10年債利回り低下が背景だ。

米連銀FOMC議事録公開はサプライズ無しで通過していたが、米NYタイムズ電子版が米政府は中国の防犯・監視システム最大手杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)との取引制限を検討していると報道したためにNYダウは22日に前日比100.72ドル安と下落していたが、23日は日中からダウ先物が大幅下落となり、上海総合株価指数も1.36%安と下落、日経平均も132.23円安と下げた。
23日夕刻にはドイツの5月PMIやIFO景況指数等が予想を下回ったことでユーロが一段安となり、メイ首相辞任観測等からポンドも下げたため、クロス円での円高の一方ではドル・ストレートでドル高だったが、米国市場時間に入ると4月の米新築住宅販売が予想を下回り、5月の米PMIも製造業とサービス業共に予想を大きく下回ったためにユーロが反騰する等によりドル安感が強まり、ドル円の下落も加速した。

【株安に歯止めかかるか、世界連鎖的な株安継続に入るか】

米国は大統領令により中国IT大手ファーウェイを米国市場から実質的に閉め出し始めたが、ハイクビジョンへと規制対象が拡大する動きとなったために、米中貿易戦争が関税拡大だけでなく企業取引規制へ広がることにより今まで以上に先行き不安が拡大した。中国製スマートフォン販売中止の動き等、同盟国にも影響が出始めているが、23日は中国商務省の高峰報道官が「米国が貿易協議を続けたければ誠意を示して誤った行動を正すべきだ」などと記者会見で発言した事も不安を増長した。ただ終盤にはトランプ大統領がG20での米中首脳会談への期待を示し、ファーウェイ問題も米中協議対象としたことでダウもやや戻して終了した。
NYダウは前日比286.14ドル安で一時は400ドル以上の下落だった。米10年債利回りは2.293%と前日の2.393%から低下したが、一時は2.292%をつけて2017年10月以来の低水準となった。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万1000件となり前週比1000件減少して市場予想の21万5000件を下回ったが、失業保険受給者総数は167万6000人で1万2000人増加して市場予想の167万人を上回った。米商務省が発表した4月の新築戸建住宅販売件数は季節調整済みで前月比6.9%減の67万3000戸(年換算)となり4ヵ月ぶりのマイナスで市場予想の67万5000戸を下回った。

【半値戻しに届かず失速】

5月23日の日足は前日比0.74円の円高ドル安であり大陰線と言える。4月24日高値からの下落は翌日の前日比0.59円の円高ドル安となった陰線から始まっており、昨年10月4日天井からの下落時も同0.63円の円高ドル安の陰線から始まっているので、前日比で0.50円を超える陰線は下落再開の合図となりやすい。
4月24日から5月13日までの下げ幅は3.37円だが、その半値は110.70円であり、22日未明高値はわずかに届かなかった。その後の下落により13日深夜以降の上昇幅の3分の2を解消しているため、13日深夜安値割れを回避できるのか割り込んで一段安へ進むのかが試される状況となっている。
仮に5月13日安値を割り込む場合はチャート上の下値支持線は1月31日安値108.50円、1月3日の暴落時における終値107.51円等へ段階的に切り下がる可能性がある。また4月24日からの下落規模が昨年11月から今年1月3日への下落時や1昨年12月から今年3月への下落時並に発展する可能性も出てくるのではないかと警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月13日深夜安値から4日目となる5月17日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして次の高値形成期となる22日から24日にかけての間への上昇を想定してきたが、5月23日朝への下落で弱気転換目安とした110.20円割り込み前回ボトムからも3日を経過したために23日朝時点では22日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定した。またボトム形成期を22日夜から24日夜にかけての間とし、110.50円超えへ進めない内は23日夜、24日へ続落する可能性があるとした。
23日深夜へ大幅続落し、その後も安値圏での横ばいに止まっているので引き続きボトム形成中とみるが、前回のサイクルボトムを20日夜安値とした場合はボトム形成期が週明けまで延長される可能性もあると注意する。また小反発を入れてから週明けへ一段安する場合は連続的な弱気サイクル入りにより来週中盤へボトム形成期がさらに延びる可能性もあると思う。強気サイクル入りは110円台回復からとし、その場合は25日未明から29日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では22日に遅行スパンが悪化し、23日夕刻への下落で先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンが抵抗となって戻り売りにつかまりやすいと注意する。いったん遅行スパンが好転しても再び悪化するところから下げ再開と一段安を警戒する。

60分足の相対力指数は23日深夜の下落で20ポイント割れまで急低下しているので売られ過ぎ状態にあるが、相場の安値更新に対する指数のボトム切り上げによる強気逆行はみられないのでまだもう一段安の可能性がある。安値更新に対して強気逆行が見られて45ポイント以上へ切り返すか、現状から50ポイント超えへ上昇の場合はさげ一服で戻りに入る可能性を考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.40円を支持線、109.75円抵抗線とみておく。
(2)109.75円を下回るうちは109.40円割れから13日深夜安値109.02円試しとする。109円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、109円割れをスルーで続落の場合は108.75円前後、週明けへの続落で108.50円以下を目指す流れとみる。また109.50円以下で終了なら週明けも続落しやすいとみる。
(3)110.70円台では戻り売りにつかまりやすいとみるが、110.75円超えからは上昇再開の可能性を優先して110円試しとする。110円超えからは110.20円台への上昇を想定する。また110円以上を維持して終了なら週明けも続伸の可能性ありとするが、110円に到達してから109.70円割れへ下げる場合は小反発一巡による下げ再開を疑う。

【当面の予定】

5/24(金)
17:30 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 1.1%、予想 -0.1%)
17:30 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 6.7%、予想 4.7%)
17:30 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 1.2%、予想 -0.5%)
17:30 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 6.2%、予想 4.1%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 2.7%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 0.4%、予想 0.2%)

5/25(土)
トランプ米大統領来日 〜 5/28

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