ドル円、米長期金利急低下で一時109円台半ば割れ
海外時間の為替概況
23日の海外市場でドル円は急落。前日報じられた米政府による「監視カメラ最大手の中国ハイクビジョン社(杭州海康威視数字技術)への禁輸措置検討」が尾をひく中、米中対立激化を嫌気したリスク回避ムードがグローバルに広がりました。米中貿易摩擦の激化→世界的な景気先行き懸念→世界的な株安→リスク回避の円買いへの連想からドル安・円高が活発化すると、NY時間に発表された米5月製造業PMI(結果50.6、予想52.6)、米5月サービス業PMI(結果50.9、予想53.5)、米4月新築住宅販売件数(結果67.3万件、予想67.5万件)など一連の冴えない米経済指標も重石となる中、NY時間には一時109.46まで下げ幅を広げる展開となりました。この間、米ダウ平均株価が一時前日比448ドル安まで急落した他、米10年債利回りも2.38%→2.29%まで急低下(2017年10月以来の低水準)。通貨オプション市場ではリスクリバーサルが急拡大(円コールオーバーの拡大)するなど、一昨日までの楽観ムードから一転、足元で急速に円高リスクを織り込む動きが広がりを見せております。
一方、ユーロドル相場は下落後に急反発。欧州時間に発表されたユーロ圏5月製造業PMI(結果47.7、予想48.1)や、ユーロ圏5月非製造業PMI(結果52.5、予想53.0)、ドイツ5月Ifo景況感指数(結果97.9、予想99.1)が軒並み冴えない結果となったことでユーロ売りが活発化すると、年初来安値1.1111を割り込み、一時2017年5月以来、約2年ぶり安値となる1.1108まで下げ幅を広げました。しかし、1.11割れを前に下げ渋ると一転、米長期金利低下→ドル売りの流れが支援材料となり、引けにかけて1.1187まで急反発するなど、荒々しい値動きとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は結局、一目均衡表雲下限(110.86)、90日移動平均線(110.75)、一目均衡表基準線(110.71)、21日移動平均線(110.47)など重要チャートポイントが密集する110円台半ばから後半を抜け切れず反落に転じました。5/13に付けた安値109.02をボトムに始まった短期的なドル高・円安トレンドは8日間の時を経て早くも崩された格好です。昨日は110円台前半で押し目を拾っていたプレイヤーのロスカット(損失覚悟のドル売り・円買い)を巻き込む形で一時109.46まで下げ足を速めました。米中対立激化やイランやトルコを巡る地政学的リスク、英国情勢の不安定化、欧州経済を巡る先行き不透明感など、ファンダメンタルズ的な不安要素がドル円・クロス円の上値を抑制する展開が続いております。本日も世界的な株安連鎖→米長期金利低下を背景にリスク回避的な円買いが続くと見られ、状況次第では、109円割れを試す動きも視野に入ります。ドル円、クロス円の続落リスクに警戒が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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