【概況】
ドル円は4月24日高値112.39円からの下落により5月13日には安値で109.02円をつけてこの間の下げ幅は3.37円となった。その後は株安一服でリスクオン心理がやや回復、またユーロやポンドの下落基調を背景にドル高が進んだためにリバウンドに入っている。13日深夜以降、戻り高値は14日、17日、20日と切り上がり、安値も15日深夜、17日夜、20日夜と切り上げてきたが、21日夜の上昇で110.67円まで高値をさらに切り上げている。4月24日からの下げ幅に対する半値戻しが110.70円であり、ほぼ半値戻しを実現した状況だ。
米国は中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)を事実上米国市場から締め出す大統領令を発動して市場に警戒感が強まっていたが、米商務省はファーウェイに対する禁輸措置を一部緩和すると発表した。ソフトウエア更新や不具合修正等については8月9日までの3カ月間は暫定的に米企業との取引を容認するとした。これを受けてNYダウが197.43ドル高と上昇してドル円にとっては押し上げ材料となった。
英国のEU離脱問題に関し、メイ首相が2度目の国民投票実施に向け準備中と報じられたことでポンドとユーロが深夜にかけて一時的に上昇したがこの上昇は長続きせずに深夜からいずれも反落したため、ドル円への影響は軽微だった。
米不動産業者協会(NAR)が発表した4月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比0.4%減の519万戸となり市場予想の535万戸を下回ったことはドル安要因だったがドル円はさほど反応しなかった。
【半値戻し以上へ続伸できるかどうか試される】
日本時間23日未明にFOMC議事録の公開がある。米連銀は昨年末時点での利上げ継続方針から転換して年内の利上げ見送り姿勢を示し、市場は利下げの可能性もあると受け止めてきたが、前回FOMCでは状況次第では利上げの可能性も残るスタンスだった。議事録要旨により年内の利下げ確率が高まるか、もう1回の利上げ可能性が残るのか、市場も見定めたいところだ。
4月24日から5月13日への下落に対する半値戻し110.70円に迫ってきている。直前の下落幅は3.37円であり、昨年3月26日底からの上昇期における5月29日への下落幅3.27円、8月21日への下落幅3.38円等と変わらない。それらは上昇トレンド途中での中間調整としてその後の一段高へ進む起点となった。
ただ今回は3月25日安値を割り込んだことにより、1月3日底からの底上げパターンを崩してしまっている。安値を切り下げても下落幅の半値戻し以上へ切りかえせばレンジ拡張型の持ち合いとして高値更新へ進む可能性も出てくる。しかし半値戻し前後の水準から失速して5月13日安値を割り込めばレンジ拡張型持ち合いとはならずに4月24日高値を起点とした下落が二段下げへと発展し、さらに三段下げ型へと進む可能性が高まる。
いずれへ向かうのか、FOMC議事録公開からの市場反応で決まってくるのではないかと思われる。仮に議事録公開後も上昇継続なら4月24日高値112.39円超えを試し、113円台を伺う可能性も出てくると思う。逆に公開後の下落で5月13日安値を割り込んでゆく展開になれば1月3日暴落時の終値107.51円、さらに1月3日安値104.82円を目指す流れとなりかねない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月13日深夜安値から4日目となる17日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして次の高値形成期となる22日から24日にかけての間への上昇を想定してきた。22日未明へ高値を切り上げた後はやや下げているがまだ上昇余地も残るが、FOMC議事録公開も控えているので目先はポジション調整的にやや押され気味の展開となりやすいところかもしれない。110.20円以上を維持するか、一時的に割り込んでも切り返す内は高値更新余地ありとみるが、110.20円割れから続落の場合は弱気サイクル入りを疑う。
FOMC議事録から続伸の場合は23日の日中から24日にかけての間への上昇継続とみる。また議事録公開前に110.20円割れまで下げてから反騰入りする場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性を検討する。議事録公開前は上昇し、公開後に急落の場合はサイクルトップをつけての下落期入りとして23日の日中から24日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夜からの上昇で遅行スパンは好転、16日以降は先行スパンを上回る状況を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りの可能性を優先して先行スパン試しとし、先行スパンから転落して続落となる場合は13日深夜からの戻り一巡による下落期入りと考える。議事録公開後に遅行スパン悪化状況なら下落継続とみるが、遅行スパンが悪化しても議事録公開から再び好転する場合は新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は17日から20日への高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せていたが、21日朝時点では40ポイント台まで下げてもその後に切り返すならもう一度高値を更新してくる可能性があると指摘した。21日夜の上昇で逆行ラインを突破して80ポイントまで上昇したが、かなりの買われ過ぎと思われるので再び50ポイント割れまで下がる可能性があるが、仮に40ポイント台まで下げてもその後に60ポイント超えへ上昇する場合はもう一段高へ向かいやすくなるとみる。40ポイントを割り込む急落となる場合は戻り一巡による下げ再開を疑う。また22日未明高値を超えた後にもう一段高する段階で指数のピークが切り下がる弱気逆行が出現する場合は当面のピークをつけての下落期入りを疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.20円を支持線、22日未明高値110.67円を抵抗線とみておく。
(2)110.20円を上回るうちは高値更新から110.70円台、さらに111円手前を試す可能性ありとみる。110.70円以上は反落警戒とするが、FOMC議事録公開から一段高入りする場合は111円台序盤への上昇を想定する。
(3)110.20円割れからは下げ再開の可能性を優先し、110円割れからは17日夜安値109.50円試しを想定する。議事録公開から下落反応の場合は13日深夜からの戻り一巡による下落期入りの可能性ありとし、110円割れの状況が続く内は13日深夜安値109.02円試しへ向かうとみる。
【当面の主な予定】
5/22(水)
10:30 (日) 原田泰日銀審議委員、金融経済懇談会出席・会見
14:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、香港で講演
16:00 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、フランクフルトで講演
17:30 (英) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 0.2%、予想 0.7%)
17:30 (英) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 1.9%、予想 2.2%)
17:30 (英) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 1.8%、予想 1.9%)
17:30 (英) 4月 小売物価指数 前月比 (3月 0.0%、予想 0.9%)
17:30 (英) 4月 小売物価指数 前年同月比 (3月 2.4%、予想 2.8%)
17:30 (英) 4月 生産者物価コア指数 前年同月比 (3月 2.2%、予想 2.2%)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、会合挨拶
23:10 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会議の開会挨拶
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
5/23(木)
欧州議会選挙 〜 5/26
インド総選挙
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行(SARB)政策金利 (現行 6.75%、予想 6.75%)
15:00 (独) 1-3月期GDP改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (独) 1-3月期GDP改定値 前年同期比 (速報 0.7%、予想 0.7%)
15:00 (独) 1-3月期GDP改定値 季調前 前年同期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
16:30 (独) 5月 製造業PMI (4月 44.4、予想 44.8)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI (4月 55.7、予想 55.4)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI (4月 47.9、予想 48.2)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI (4月 52.8、予想 53.0)
17:00 (独) 5月 IFO景況指数 (4月 99.2、予想 99.2)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件、予想 万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.0万人、予想 万人)
22:45 (米) 5月 製造業PMI (4月 52.6、予想 53.0)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI (4月 53.0、予想
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (3月 69.2万件、予想 67.7万件)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 前月比 (3月 4.5%、予想 -2.2%)
26:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁、パネル討論会
オーダー/ポジション状況
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