<< 先週の回顧 >>
先週のドル円は、終わってみればドルが小じっかり。週のザラ場ベースでは一時109円割れをうかがうなど、直近安値を更新する局面も見られたが、週末にかけては逆にドルの買戻しが優勢に。110円台を回復している。
前週末に、「トランプ氏、総額5000億ドル超の対中輸入品に関税課すことを指示」したことに対し、中国サイドは「対話姿勢を維持しつつも報復」の姿勢を見せるなか、週明けの取引が始まった。前週末を109.90円レベルで大引けたドル円は109.70-75円と、わずかにドル安・円高で寄り付いている。
その後ドルは週間安値である109.02円まで下落するも、109円は割り込めず。すると、週末にかけては逆にドルがじりじりと買い進まれ、ついには110円台回復となった。110.20円レベルの週間高値を示現したのちも下がらず、NYは110円台に乗せたまま、越週している。
なお、先週は仮想通貨ビットコインが週間を通して荒れ模様。それも一方向に動いたのではなく、7000-8300ドルといったかなりワイドなレンジ内で乱高下をたどっている。非常に激しい往来相場だった。
一方、週間を通して注目された材料は、「米中貿易問題」について。
9-10日に実施された「米中閣僚級協議」を終え、喫緊の課題ではなくなった感もあるが、引き続き市場の注目度は高く、また実際に関連発言報道なども週を通して多い。先の米中対立報道が典型事例だが、週央以降はロイター「トランプ米大統領、輸入車への関税賦課を半年延期の構え」の報道に加え、米財務長官「近く訪中する可能性あり」、トランプ氏「米中貿易協議の合意は近い」といった要人発言が対立の緩和、摩擦軽減観測につながっていたようだ。
そのほか単発モノとして、米農務長官「日本は米産農産物の輸入拡大を」、米誌「ボルトン米大統領補佐官解任の可能性が浮上」、共同通信「日米首脳、27日会談で最終調整」、「トランプ氏、FRBに利下げを要求」、麻生財務相「為替問題、米財務省はUSTRほど激しく言って来ない」、「英首相、6月に退陣時期表明へ」−−などといった発言やニュースが報じられていた。
<< 今週の見通し >>
先週は、週末にかけて110円台を回復するというドル高・円安傾向で大引けたが、こうした流れが今週も続くと予想する向きはそれほど多くない。少なくとも、イケイケドンドンでドルが一段高をたどる可能性は考えにくいように思われる。
ドル高に限界があると考える理由は大きく2つあり、うちひとつは米国を中心に株価が依然として冴えないこと。実際、先週末のNYダウやナスダックなど米株は前日比マイナス圏で大引けている。仮に、米株などの下落傾向が続くとすれば、ドルの上値を抑えることは想像に難くないだろう。
また、もうひとつの理由は材料面だ。「北朝鮮」そして「イラン」をめぐる情勢は徐々に緊迫感を増してきたほか、23日からはじまる「欧州議会選挙」をめぐる懸念なども、リスク回避志向に繋がりかねない。さらに、引き続き市場のメインイシューとなっている「米貿易問題」についても、「米国が中国の通信機器大手ファーウェイを米市場から締め出す」ことを発表するなど、なかなか解決の糸口が見いだせない状況。ドル高の足かせ要因として意識されそうだ。
テクニカルに見た場合、週末のNYクローズでも110円台を回復。わずかながらレンジを上抜けてきた感があるものの、前述したようにいまひとつ強気になりきれない面も残る。
ちなみに、そんなドルの上値メドは4月高値112.40円を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる110.30円レベル。抜ければ半値戻し110.70円や、移動平均の25日線などが位置する111円前後がターゲットとなりそうだ。対するサポートは、先週安値109.02円となる。
一方、材料的に見た場合、4月のシカゴ連銀全米活動指数、5月のカンザスシティ連銀製造業活動指数といった米経済指標が幾つか発表される予定となっている。正直、市場の関心がそれほど高い指数は少ないものの、先週は発表された米経済指標が良好な内容となり、それがドル買い要因となっていた面もあるだけに、今週も予断を許さないだろう。
また、米通貨当局者の講演が相次ぐ見込みであるうえ、21日に実施される予定の「日米貿易交渉事務レベル協議」や、米国ファクターではなく欧州ファクターとして23-26日に行われる「欧州議会選」の行方なども気掛かりだ。
そんな今週のドル円予想レンジは、109.00-110.90円。ドル高・円安については、フィボナッチポイントの110.30円をめぐる攻防にまずは注視。抜けると、110.70円や111円前後などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末安値の109円半ばが最初のサポート。先週は週末にかけてドルの下値を切り上げてきていることで、109円半ばを割り込むようだと損切りを誘発し、一時的にせよ下げが加速する可能性もある。
オーダー/ポジション状況
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