ドル円株価などに一喜一憂しつつ、基本はレンジか
17日の東京市場は、ドルが冴えない。一時はドルが買い進められ、1週間ぶりに110円台を回復したものの勢い続かず。その後は調整的な動きに押されている。
ドル/円は109.80-85円で寄り付いたのち、じり高推移。日経平均といった株価が堅調に推移したことを材料に買い進められ110円台をワンタッチした。
しかし、上海株などアジアの株価が対照的に弱含みとなったこともあり、日経平均も伸び悩み。すると、為替市場もそれにあわせてドル売り・円買いが優勢に。109.55円レベルまで値を下げ、16時時点では109.60-65円で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、仮想通貨ビットコインは本日も荒っぽい値動き。早朝段階では7800ドル前後で推移していたものが、突如7100ドル割れまで急落した。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」について。
引き続き米中間の鍔迫り合いが目につく。ロイターが「中国、米関税措置発表の週に米国産豚肉発注を大量キャンセル」と報じ話題を集めるなか、米国務長官から「17日からファーウェイとの取引禁止に」との発言が聞かれていた。そうしたなか、朝日新聞は「日米貿易交渉で、日本車の対米輸出制限が浮上する可能性が出てきた」と指摘。一部で思惑を呼んだものの、その後茂木再生相が「米国から日本に自動車輸出制限を求めることないと確認」と発言、報道を否定している。
そのほか単発モノとして、「欧州委、三菱UFJなど5行に為替不正操作で罰金課す」、「英首相、6月に退陣時期表明へ」、38ノース「北朝鮮ミサイル発射場で施設整備継続を確認」、韓国大統領府高官「北朝鮮への食糧支援は同胞として検討」、日銀総裁「来年春を超えて現在の低金利維持する可能性は十分にある」−−などといった発言やニュースが報じられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ここ最近、為替の動きを左右する一因になっている株価だが、本日はマチマチ。日経平均は堅調だったが上海や香港などアジアの株価は冴えない。また、本稿執筆時の欧米株価先物も小安い値動きだ。こうした流れを継ぎ、欧米時間の本取引でNYダウなどがさらに弱含む展開となれば、為替市場は一段のドル安・円高に傾斜しても不思議はないだろう。109円割れトライに向けた動きをたどる可能性もある。
材料的に見た場合、「北朝鮮」そして「イラン」をめぐる情勢は徐々に緊迫感を増してきた。とくに後者のイランについては、トランプ氏が「軍事的な選択肢を排除しない」姿勢を示していたことが気掛かりだ。また、それとは別に引き続き「米貿易問題」が注視されている状況にも変化はない。カレンダー的に、本日「これ」といった予定があるわけではないのだが、日米そして中国による要人発言や具体的な対応などには注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、本日の東京時間に110円を一時超えるもワンタッチ程度。「しっかり」抜けることはできなかっただけでなく、そののち109円半ばまで押し戻されてもいる。つまり、過去1週間から10日程度推移している109円台を中心とした1円レンジには依然としてとどまったままで、いまだ方向性は乏しいと言わざるを得ない。予断は許さないものの、引き続き足もとの1円レンジのなかで、次の方向性を探る動きを見込む展開が予想されている。
一方、材料的に見た場合、4月の景気先行指数や5月のミシガン大学消費者信頼感指数速報など幾つかの重要な米経済指標が発表されるほか、ウィリアムズNY連銀総裁による会合参加、クラリダ米FRB副議長の講演なども予定されている。昨日は、住宅着工件数など発表された米経済指標が軒並み良好で、それを受けたドル買いが目についただけに、同様展開にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.10-110.10円。ドル高・円安方向は、本日東京を含め、過去1週間から10日程度で最低3度はドルの戻りを阻んできた110円前後の攻防にまずは注視。抜ければ、一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する110.30円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、109.35円レベルに弱いサポートあり。それを割り込めば、15日安値の109.15円、直近安値の109.02円前後がターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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