3月25日安値を頭とした逆三尊から昨年10月高値を目指すか?
【概況】
3月25日からの上昇が4月5日の米雇用統計までで一巡して週明け8日から11日未明まで凡そ1円幅の円高ドル安となっていた。しかし11日夜から反騰入りし、12日も続伸して13日未明には112円台を回復、4月5日高値を超えて3月5日高値に迫った。
4月10日夜は米消費者物価指数伸び率が市場予想を下回ったことでドル安だったが、11日未明に公開されたFOMC議事録では年内の利上げ再開を模索する主張も複数参加者に見られたことからドル安にブレーキがかかり、11日夜は米生産者物価指数や週間失業保険申請件数が良好だったことでドル高がぶり返し、米長期債利回りも上昇したためにドル高円安となった。
12日は中国経済指標が楽観的にリスクオン心理を助長したことでドルストレートではユーロや豪ドルが上昇したが、株高が加わったことでクロス円での円安感が強まってドル円は上昇した。
【中国景気への楽観が株高円安に寄与】
中国税関総署が発表した3月貿易統計では対米貿易黒字が205億ドルとなり、前月の147億ドルから急増した。昨年11月に過去最高の355億ドルまで膨らんだ後は縮小していたが再び増加に転じた可能性がある。春節(旧正月)連休の影響もあるのでぶれも大きいところだが、3月の輸出は前年同月比14.2%増と回復した一方で輸入は7.6%減となり米中貿易摩擦の影響も見られた。また中国自動車工業協会が発表した3月の新車販売台数は前年同月比5.2%減の252万台で9カ月連続で前年実績を割り込んだ。
これら統計発表時にはユーロ等の為替市場の動きは鈍かったが、17時に発表された融資統計やマネーサプライが予想を超えたことをきっかけとして17時過ぎからユーロ等の急騰が目立った。中国人民銀行が発表した3月の新規人民元建て融資は1兆6900億元(2515.9億ドル)で2月の8858億元から急増し、市場予想の1兆2000億元を大幅に上回った。
3月末時点の人民元建て融資残高は前年比13.7%増で約3年ぶりの高水準であり、市場予想の13.4%増を超えた。企業への大幅な資金供給が続いていることが当局による景気テコ入れが図られている印象を強めて株高反応を引き起こした。また3月のマネーサプライM2伸び率は前年比8.6%増となり市場予想の8.2%増及び2月の8.0%を上回った。
米中協議はまだ合意が見えていない。米中双方が通商協議合意後に双方を監視する機関を設立することでは大筋合意しているとの報道もあり、協議が徐々に進展してこの問題も解決する可能性はあるが、米朝首脳会談で席を立ってしまったトランプ大統領が合意にゴーサインを出すのかはまだ怪しいところだ。
NYダウは12日に前日比269.25ドル高の上昇となり、米10年債利回りは前日比0.07%上昇の2.57%となった。2年債利回りは2.40%で3か月物TBの2.4321%をまだ下回っているが、株高債券安・長期債利回り上昇によりドル円には上昇圧力となったようだ。問題はこの流れが週明けも継続できるかどうかにある。4月15日からは日米通商協議も始まる。
【逆三尊からの一段高か、三角持ち合いに留まるか】
1月3日安値からの3月5日高値112.12円まで2か月、上昇幅は7.30円となったが、3月5日高値から3月25日安値109.72円まで反落となり、下げ幅は2.40円となった。3月8日安値及び2月27日安値を割り込んだことにより、3月5日からの下落規模が3円超へと発展する可能性があると指摘したが、3月25日からは反騰してきた。
4月5日まで2.10円の戻りを入れたもののその時点では3月5日高値超えには至らず、4月8日から3日連続陰線(三羽烏)で下落したため、下げ再開からさらに3月25日安値を割り込むような下落期へ向かう可能性が高まった。しかし4月11日には直前の3日連続陰線を解消するような陽線で戻し、12日も続伸の陽線で4月5日高値を超えて3月5日高値に迫る112.09円を付けた。
(逆三尊型からの上昇ケース)
3月5日以降の展開では、3月25日への深い下落の両サイドに3月8日安値110.80円と4月10日安値110.83円があり、これらを両肩とすると逆三尊底型が出来る。逆三尊完成の目安は3月5日高値超えから続伸することであり、その場合は3月5日から3月25日への下げ幅の倍返しとなる114.52円を目指す可能性が出てくる。つまり昨年10月4日天井114.54円に迫るか超える可能性も出てくると思われる。その条件はドル高継続、米長期金利の下げ止まり、株高が加速するリスクオン心理の全面化が必要だ。週明けに3月5日高値を超え、その後も112円を割り込まないか、割り込んでも早々に回復する展開なら逆三尊からの上昇期入りの可能性がかなり高まると思われる。
(逆三尊失敗による下落ケース)
3月5日高値を超えないか、わずかに超えても失速して4月10日安値を割り込む場合、逆三尊型なりきれずに三角持合いの継続と考えられる。3月5日高値を超えない場合は抵抗線フラット型の三角持ち合いであり、3月5日高値をわずかに超えても失速するなら、高値ラインがやや切り上がり、支持線がフラットかやや切り下がるレンジ拡張型の逆三角持ち合いを形成する可能性がある。このため4月11日未明安値割れからは3月25日安値試しへ向かい、さらに3月25日安値割れからは逆三尊による上昇失敗での下落期入りとして、5月後半から6月にかけての下落で1月31日安値108.50円前後を目指す下落が想定されると思う。
【当面のポイント】
週明けは市場の空気も変わりやすい。前週も週末の4月5日夜に戻り高値を付けたが週明けから失速した。その前は週明け3月25日午前に安値を付けてから上昇期に入った。今回も週末2連騰をさらに押し上げるだけの強気材料で後押しされないと失速しかねないと注意しておく。
(1)当面の下値支持線を111.50円、上値抵抗線を3月5日高値112.12円とする。
(2)111.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、112.12円超えから続伸に入る場合はまず112.50円前後への上昇を想定する。さらに押し上げ材料がつけば4月5日夜高値から11日未明安値までの下げ幅の倍返しで112.81円前後を目指すとみるが、相当程度に株高継続とリスクオン心理が拡大する状況とならない限りは112円から112.50円までのゾーンは反落警戒圏と考えておくべきかもしれない。
(3)3月5日高値を上抜いた後の111.75円割れ、3月5日高値を超えない場合の111.50円割れからはいったん仕切り直しの下落が入りやすいとみる。111.50円割れからは111円試しとし、111円前後では押し目買いも入ってくると思われるが、日米通商協議関連やリスクオフ的な材料や株安を伴う下落発生の場合は11日未明安値110.83円を割り込む急落型の下落にも注意し、その場合は週後半にかけて110.50円割れへ向かう可能性もあるとみる。
※ 連騰や高値更新の場合は市場心理も強気へ傾斜しやすいのだが、万人総強気となると相場はその逆の流れとなることも多いものだ。(了)<14日20:55執筆>
【当面の主な予定】
4/15(月)
休 場 ソンクラーン振替休日 タイ
日米通商協議開始 16日まで、ワシントン
米財務省、半年次為替報告書の議会提出期限
北朝鮮故金日成主席誕生日
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (3月 3.7、予想 6.7)
26:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、経済情勢と金融政策について講演
4/16(火)
休 場 ソンクラーン振替休日 タイ
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 0.4%、予想 -0.2%)
17:30 (英) 2月 失業率(ILO方式) (1月 3.9%、予想 3.9%)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感期待指数 (3月 -3.6、予想 0.5)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.1%、予想 0.2%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.2%、予想 79.2%)
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 62、予想 64)
4/17(水)
休 場 ジャイナ教マハビラ生誕日 インド
休 場 大統領選挙 インドネシア
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価 前期比 (前期 0.1%、予想 0.3%)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (前期 1.9%、予想 1.7%)
08:50 (日) 3月 通関ベース貿易統計 季調前 (2月 3390億円、予想 3677億円)
08:50 (日) 3月 通関ベース貿易統計 季調済 (2月 1161億円、予想 -2969億円)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 8.2%、予想 8.4%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 5.3%、予想 6.0%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (前期 1.5%、予想 1.4%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (前期 6.4%、予想 6.3%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 1.4%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -1.0%)
17:00 (欧) 2月 経常収支 季調済 (1月 368億ユーロ)
17:00 (欧) 2月 経常収支 季調前 (1月 93億ユーロ)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.2%)
17:30 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 1.9%、予想 2.0%)
17:30 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.8%、予想 1.9%)
17:30 (英) 3月 小売物価指数 前月比 (2月 0.7%、予想 0.2%)
17:30 (英) 3月 小売物価指数 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.6%)
17:30 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 2.2%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 2月 貿易収支 季調済 (1月 170億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支 季調前 (1月 15億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)コア指数改定値 前年同月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -511億ドル、予想 -535億ドル)
22:00 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
23:00 (米) 2月 卸売在庫 前月比 (1月 1.2%、予想 0.4%)
23:00 (米) 2月 卸売売上高 前月比 (1月 0.5%)
25:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
25:45 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
4/18(木)
休 場 聖木曜日 ノルウェー、フィリピン、メキシコ、コロンビア
米国 債券市場は午後2時までの短縮取引
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 0.46万人、予想 1.50万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 4.9%、予想 5.0%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 0.2%)
16:30 (独) 4月 製造業PMI (3月 44.1、予想 45.0)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI (3月 55.4、予想 55.0)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI (3月 47.5、予想 48.0)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI (3月 53.3、予想 53.2)
17:30 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.4%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 4.0%、予想 4.6%)
17:30 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 3.8%、予想 4.0%)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.2%、予想 0.9%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -0.4%、予想 0.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.6万件、予想 20.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 171.3万人、予想 172.2万人)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 13.7、予想 11.0)
22:45 (米) 4月 製造業PMI (3月 52.4、予想 52.8)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI (3月 55.3、予想 55.0)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 0.8%、予想 0.3%)
23:00 (米) 3月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.4%)
25:10 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
4/19(金)
聖金曜日
休 場 米国(外為通常取引、債券、株式、商品休場)
休 場 英国、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、ベルギー、イタリア、スペイン、オランダ、ノルウェー、
ギリシャ、ハンガリー、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インド、オーストラリア、
オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ、コロンビア、南アフリカ、
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数 前年同月比 (2月 0.2%、予想 0.5%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 0.7%、予想 0.7%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 116.2万件、予想 123.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 129.6万件、予想 130.0万件)
オーダー/ポジション状況
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