<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドルがしっかり。週の半ばまでは冴えない値動きで、下値を探る展開だったが一変。週末には112円台を再び回復し、年初来高値に面合わせする局面も観測されていた。
前週末にかけて実施された「米中通商協議」は、進展こそあったとされるが、結局合意には至らず。実際、米ホワイトハウスからは「かなりの作業が残っている」との発表が観測されている。そうしたなか、寄り付いた週明けのドル/円は111.60-65円でオープン後、週の半ばにかけてはじり安推移となり、一時110円台まで値を下げてきた。
しかし、週間安値である110.84円を示現したのち、ドルは一転して反騰高。週末にかけて112円台に乗せてくるなど「行って来い」の様相を呈し、週末にはそのままドルの高値圏、112.00-05円で取引を終え、越週している。
なお、為替市場はユーロやポンドを中心に、なかなかの荒れ模様。ともに対円では週間安値から2円程度の上昇をたどっていた。また、仮想通貨も引き続き荒っぽい値動きが目につく展開で、ビットコインは週末にかけて5300ドル台から4900ドルまで大きく値を下げる局面もあったようだ。
一方、週間を通して注目された材料は、「英国情勢」について。
前者は、市場で注視されていた12日の「英国離脱延長期限」を前に、英紙テレグラフ「英首相、離脱めぐる2回目の国民投票検討」、ブルームバーグ「EU、年末までの離脱延期を英国に提案する公算大きい」などといったように、様々な報道が連日相次いだ。そうしたなか、10日に実施されたEU臨時首脳会議で、「10月までの英離脱期限延期で合意」が決定。発表前後の値動きは鈍かったが、その後週末に向けたポンド高の一因になっていたことは間違いない。
そのほか単発モノとして、「日銀が紙幣を20年ぶりに刷新へ、一万円札に渋沢栄一氏ら」、米農務長官「日米協定、TPP超える自由化を望む」、麻生財務相「今回は消費増税を予定通り実施するつもり」、聯合ニュース「北朝鮮、金正恩氏を国務委員長に再推戴」、「米韓首脳が会談、トランプ氏は冒頭に『3回目の米朝会談はありうる』と発言」−−などといった発言や報道が観測されている。
<< 今週の見通し >>
ドルは先週末にかけて112円台を回復、年初来高値である112.13円に面合わせしてきた。チャートを見てもドルの基調は強く、続伸が期待されている。112.13円の年初来高値を超えれば、少し遠いが昨年ドル高値の114.55円がターゲットとなりそうだ。
しかしながら、材料的には先週末にかけてのドル高・円安基調を不安視する声も少なくない。そのひとつは、15-16日に実施される「日米通商協議」だ。ちなみに、同会合について、先週末に麻生財務相は「対日貿易交渉、米は急がず」などと楽観的な見解を示していたが、朝日新聞など一部新聞は「ムニューチン米財務長官、日米通商協議に『為替条項』を盛り込みたいと指摘」と報じている。そして、その場合には一定以上のドル高・円安レベルを容認しないことになる可能性も否定できない。なお、今週末は主要な欧米市場などが休場となるほか、日本は徐々にゴールデンウイークの10連休をにらんだ動きとなりそう。リスクヘッジや、保有ポジションの持ち高調整の動きなどにも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、先週末に記録した年初来高値に近い112.10円レベルの攻防が注視されている。リスクという意味では上向き。仮に年初来高値をしっかりと超えれば昨年高値の114.55円が視界内に。
ただ、上値トライが失敗に終わるようだと、チャートは年初来高値と今回高値でダブルトップをつけた格好になりそうだ。スグにということではないものの、再び110円割れへ向けたドル安進行も否定できなくなる。
一方、材料的に見た場合、4月のNY連銀製造業景気指数や3月の小売売上高といった米経済指標が相次ぎ発表される予定となっている。また、ゴールドマンサックスなど米金融大手の決算発表や、米地区連銀総裁やFRB幹部による講演予定も少なくない。それらも波乱要因となりかねないだろう。
そのほか、先で指摘した15-16日の「日米通商協議」、米財務省による半期に一度の「為替報告書」発表なども気掛かりだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.70-112.70円。ドル高・円安については、先週高値も近い年初来高値の112.13円をめぐる攻防にまずは注視。抜けると明確な上値メドは見出しにくいが、強い抵抗となると113円半ばから後半であるため、上値は波乱含みとなるかもしれない。
対するドル安・円高方向は、まず111.80円レベル、そして200日線が位置する111円半ばなど短期的にもサポートは多い。よって大崩れする展開も見込みにくいが、逆にそれらを下回ると、なし崩し的なドル安進行も。(了)
オーダー/ポジション状況
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