米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
昨日(10日)、3月19日・20日開催分のFOMC議事要旨が公表されました。
以下は要旨内の一部分のみを訳していますのでご了承ください。
FRBメンバーの経済見通し及び金融政策の決定
(保有債券償還後の扱いについて)
委員会は、経済や金融市場の動向を見据えながら、保有債券の減少ペースを、今後四半期毎に緩める方向にいく方針を持っている。
・保有債券を現行の毎月償還300億ドル減少から、2019年5月以降150億ドルに減少する。
・連邦準備制度公開市場勘定(SOMA)で保有している債券の減少を2019年9月までで止める。
・長期的視野国債を保有することで、エージェンシー債や不動産担保付エージェンシー債の減少については容認する。
2019年10月初から、エージェンシー債で償還された資金は国債に再投資する。これは最大月200億ドルを上限とする。最大を越える金額についてはエージェンシー債に再投資する
(その他の保有債券の扱いについては略)
(金融政策について)
委員会は将来にFFレートの目標レンジを調整する必要がでてくるまでは忍耐強くなり、バランスシート政策にも柔軟になることを確認した。
(スタッフによる経済回顧)
3月19日・20日までに入手した情報を見ると、労働市場は引き続き強い。第1四半期のGDPは堅調だった第4四半期よりは鈍化した。消費者物価は2%以下だったが、食品やエネルギー以外の消費支出物価指数(PCE)は2%に近い数値だった。失業率はここ2ヶ月間3.8%になった。民間雇用者のコスト指数は昨年12月末で、12か月間ベース3%の上昇だった。これは年初より早い上げである。
鉱工業生産指数は1月下がったが、2月回復した。製造業生産高はここ2ヶ月減少した。
家計の消費支出は年が変わる頃に減速した。1月は若干回復した。失業率の改善は消費を下支えしている。
住宅投資は第1四半期に緩んだ。これは住宅価格上げと住宅金利上昇による影響である。名目の貿易収支は11月縮小したが、12月に拡大した。輸出は11月・12月を減少した。輸入は11月減少したが、12月拡大した。
(金融市場の状況)
(主な内容は略しますが、概ね1月のFOMCよりは改善してリスクアセットへの投資が拡大していると分析し、米国金利は下がったとして指摘しています。ドル指数は幾分上昇したとコメントしています。)
(スタッフによる経済見通し)
3月のFOMC迄に入手したデータを見ると、予想より下がったと見ている。第1四半期は、消費と民間投資の低下で減速見込みだが、スタッフの見通しでは、第1四半期の減速は一時的で、第2四半期は堅調に推移すると予想。2019年と2020年のGDPは、幾分弱くなるかもしれないが、当初の予想に収まる見込み。
スタッフのインフレ見通しは3月のFOMCで少し下方修正した。これは消費者物価の下げを受けたものである。コアPCEインフレは今年1.9%のままである。
経済の上方要因としては、家計支出と企業投資が当初予想よりも早く拡大見込みである。これは雇用改善と減税効果によるもの。下方要因としては、最近の弱い経済指標、貿易政策、海外の経済成長などが米国GDPにネガティブである。
(金融政策)
委員達は現状の経済活動状態や将来の見通しを検討した結果、FFレートを2.25〜2.5%レンジで維持することを決定した。雇用の最大限の拡大と2%インフレ目標を達成するために、金融政策の変更時期やその幅の調整について経済状況を勘案しながら決定することで合意した。
(金融政策投票者):パウエルFRB議長、ジョン・ウィリアムズ、マイケル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、ジェームス・ブラード、リチャード・クラリダ、チャールズ・エバンス、エスサー・ジョージ、ランダル・クォールズ、エリック・ローゼングレン
全員一致で合意し、金融政策に反対する投票はなし。
(上記出所:FRB HP)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
今回の議事要旨は繰り返しが多く、ハト派への転換を強調している感じがあるとエコノミストは指摘しているようです。FRBにとって1月と3月の大きな違いは株価の反発であり、金融市場が冷静さを回復したことに安堵していると思われます。
FOMC議事要旨後の株式市場は小幅高となり、NYダウはマイナスがプラス、ナスダックとS&P500は上げ幅を拡大しました。
一方で、米金利は反落したことで、再度ネガティブイールドの状態になることが予想され、逆イールドになった場合に、リセッション入りか否かの議論が蒸し返されることもありそうです。
(2109年4月11日15:30、1ドル=111円11銭、1ユーロ=1.1276ドル)
オーダー/ポジション状況
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