ドル円見通し 日足は3日続落の陰線、戻り高値切り下がりを破れるかどうか(4/11)

週明けはドル安感が再燃して円高ドル安基調での推移に入り、8日夜、9日夜、10日夜と毎晩の安値更新となっている。

ドル円見通し 日足は3日続落の陰線、戻り高値切り下がりを破れるかどうか(4/11)

【概況】

3月25日安値109.72円までの下落で米FOMCの年内利上げ断念等によるドル安がひとまず一巡したためにドル高がぶり返して4月5日高値111.82円まで丸2週間上昇した。しかし4月5日の米雇用統計後はイベント通過感で失速、週明けはドル安感が再燃して円高ドル安基調での推移に入り、8日夜、9日夜、10日夜と毎晩の安値更新となっている。
3月25日から4月5日までの上昇幅は2.10円であり、その半値押しは110.77円、3分の2押しは110.42円である。現状から110.50円前後までの下げから切り返して111.50円超えへ進めば、3月25日からの上昇に対する調整安を消化して新たな上昇へ進む可能性が高まるだろうが、ジリ安基調が続き、戻り高値を切り下げた後に安値を更新するパターンが続く内は3分の2押しレベルを割り込むところから調整安レベルを超えた下落期入りとなりやすいところだと思う。

【ECB理事会、FOMC議事録はサプライズ無し】

10日夜は欧州中央銀行(ECB)の定例理事会があったが、市場予想通りに政策は現状維持とし、前回会合で提示された「政策金利は少なくとも2019年末まで据え置く」とした方針を再確認した。理事会後の会見ではドラギ総裁が「ユーロ圏経済は今年さらに減速した」「年内は弱さが続くだろう」と述べたため、ECBの緩和姿勢が当分は継続する印象が強まった。ただユーロは22時台にいったん下げたがその後の反発で元の水準まで戻しており、4月2日以降のややジリ高での戻り歩調を維持している。

米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は全体の前年同月比が1.9%上昇となったが米連銀の物価目標である2.0%を下回ったことで米連銀の利上げ棚上げ姿勢を妨げないと受け止められたようだ。コアCPIの前年同月比は2.0%で市場予想及び前月の2.1%をやや下回った。

11日未明には前回の米連銀FOMCの議事録が公開された。前回会合ではメンバーの年内利上げ予想中央値をゼロ回としたが、議事録には特に新たなサプライズは無く市場反応は限定的だった。議事要旨では「経済見通しの動向と見通しへのリスクから判断するとFF金利誘導目標レンジを年内変えずにいることが正当化される公算が大きいと過半数の参加者が予想した」とされた。また「FF金利誘導目標の適切なレンジに対する見解は今後のデータや他の動向に基づいてどちらの方向にも変わり得るとの考えを幾人かの参加者が示した」とも記された。今後の経済指標がかなり良好になってゆき、米中貿易戦争問題が解決、株高基調が続くようなら米連銀も利上げの可能性を探り始めるかもしれないが、トランプ大統領がすぐに利下げすべきと批判を繰り返していることや、新たに追加されるであろう理事等がトランプ大統領寄りとなれば当面は現状維持が続き、株安等が発生すれば利下げの可能性も探り始めるということも考えられる。

ECBと米連銀のハト派姿勢、米消費者物価も想定内ということで米欧の長期債利回りは低下傾向を継続しそうだ。米10年債利回りは3月28日から4月5日まで戻していたがその後は失速しており9日、10日と続落して2.47%近辺へ下げている。米2年債利回りは2.32%で3か月物TBレートの2.4225%を尚下回っている。日米金利差面ではドル売り円買い圧力が継続しやすい状況と思われる。

欧州連合(EU)は10日にブリュッセルで開いた臨時首脳会議で4月12日に期限の迫った英国のEU離脱期限を再延期することで合意した。新たな延期期限は今年10月末と報じられている。ひとまずブレクジットによる現実的な大混乱が近々に発生することはなくなった。リスク問題がひとまず先送りされることはドル円にはややプラスと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月3日午前安値を前回のサイクルボトムとして上昇したが、4月2日高値から3日目となる4月5日夜高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクルに入ったとし、今回の安値形成期を4月8日から10日午前にかけての間と想定してきた。10日朝時点では111.40円超えからは強気サイクル入りとしたが10日夜高値は111.27円に止まってその後に安値を更新している。
4月9日夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れにより既に新たな弱気サイクルに入っている可能性がある。このため10日夜高値を超えない内は12日夜から16日夜にかけての間への一段安を警戒する。
10日夜高値を上抜く場合は11日未明安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改め、4月5日夜高値を基準として11日の日中から12日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8日午前の下落で先行スパンから転落したが、11日未明安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい処にある。遅行スパン悪化中は安値試しとするが、10日夜高値111.27円を超えるところからは遅行スパン好転中の高値試しへ切り替える。ただし先行スパンに引っかかって失速するようなら遅行スパン悪化からの下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は8日から11日未明への安値更新に対して指数のボトムがほぼ横ばいに止まっているので強気逆行の可能性があるが、相場が戻しきれずにいる。50ポイント以上を維持し始める場合は上昇継続性があるが、50ポイントを超えても維持できずに早々に失速する場合は一段安へ進みかねないところだ。また30ポイント割れへ下げる場合は逆行破りによる下落の加速も警戒される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月11日未明安値110.83円を下値支持線、10日夜高値111.27円を上値抵抗線とみておく。
(2)10日夜高値を超えない内は11日未明安値割れからの一段安警戒とし、その場合は111.50円から110.42円(3月25日からの上昇に対する3分の2押し)を試すとみる。また110.80円以下での推移が続く内は12日も安値を試しやすいとみる。
(3)10日夜高値超えからは強気サイクル入りとして111.50円試しを想定する。111.50円以上は反落警戒とするが、111.27円を上回っての推移なら12日も高値を試しやすいとみる。

【当面の予定】

4/11(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(12日まで、ワシントン)
文在寅韓国大統領訪米、米韓首脳会談
北朝鮮、最高人民会議第14期第1回会議招集

10:30 (中) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 1.5%、予想 2.3%)
10:30 (中) 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 0.1%、予想 0.4%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.3%、予想 1.3%)

21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 1.9%、予想 1.9%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.4%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 20.2万件、予想 21.0万件)
22:00 (米) クラリダFRB副議長、国際金融協会年次総会で講演
22:40 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
22:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ツイッターで質疑応答
29:00 (米) ボウマンFRB理事、講演

4/12(金)
英国のEU離脱延長期限

未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル建て (2月 41.2億ドル、予想 81.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元 (2月 344.6億元、予想 0.0億元)
15:00 (独) 3月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (2月 0.3%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産・前月比 (1月 1.4%、予想 -0.6%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産・前年同月比 (1月 -1.1%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数・前月比 (2月 0.6%、予想 0.4%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (3月 98.4、予想 98.4)

オーダー/ポジション状況

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