ドル円 短期上昇も中期的には下降へ転換(週報4月第1週)

先週のドル円は押しを挟みながらも緩やかなドル高円安トレンドを続け、月曜安値の金曜高値とFOMC以降のドル安の動きから転換する動きを見せました。

ドル円 短期上昇も中期的には下降へ転換(週報4月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は押しを挟みながらも緩やかなドル高円安トレンドを続け、月曜安値から金曜高値とFOMC以降のドル安の動きから転換する動きを見せました。期末を控えていることもあって動きは鈍かったものの、110円割れには大きな買いオーダーが見られたこともあり、110円台後半の売りオーダーをこなしての上昇です。目立った材料が無い中で、個人投資家もリスクオンに動きやすかった様子です。

今週は新元号発表あり新年度という感じが強まりますが、週末には米中通商協議が進展しているとのニュースもあって、早朝から一段のリスクオン相場となっています。日銀短観は予想よりも弱かったものの株式市場は新元号期待もあるためか大幅高、それにつられる動きで111円台の下値を固める朝方の動きとなっています。今週は米中通商協議進展のその後、また英国議会で否決された離脱案など海外で継続中のイベント、そして米国雇用統計といったあたりが材料となりますが、それでもドル円に大きなインパクトを与えるものではありません。

そうした意味では、これまでのドル高・円安地合いを継続しやすいのですが、米中通商協議に目途が立てば、最近は話題になっていないものの次は日米間の協議がテーマに上がってきますし、為替条項の話も現段階ではわかりません。つまり、短期的にはドル高となりやすい流れが続いても中期的には、安心してドルを買い続けられる状況ではありません。FOMC以降の米金利低下や年後半の利下げ思惑など、全体として考えるならばドル売りに繋がりやすい材料の方が多いと思われます。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

1月4日からの上昇チャンネル(ピンク)は先々週の週末終値で下抜けた後に、再びチャンネル内へ戻す動きとはなっていますが、これは週末終値で抜けたという点は重視したいと思います。また3月高値以降は高値を切り下げる動きを続けていますので、先週初の段階ではまだ確定できなかった下降チャンネル(青)へと大きな動きは転換したと見ています。

そうなると、短期的には上昇トレンドであったとしても中期的には高値を切り下げる下降チャンネルの中で、今週は111円台半ばを緩やかに低下しているレジスタンスライン(太い青線)にこそ注目したいところです。既に高値は3月高値(112.19)で確定し、短期的な安値も3月安値(109.71)で確定したと見ると、それに対する短期の上げは61.8%戻しの111.20から78.6%(61.8%の平方根)戻しの111.61となり、ちょうどレジスタンスラインはその間を下げていくこととなります。

一方で、先週の110円の大台の底堅さを考えると、いまだ買いオーダーは残っていて、部分的には110円台前半へと上がってきていると見られます。総合的に考えると今週は110.20レベルをサポートに111.60レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月1日(月)
 **:** 欧州・英国夏時間
08:50 日銀短観
09:30 豪州3月NAB企業景況感
10:45 中国3月MarkIt製造業PMI
11:30 新元号発表
16:00 トルコ3月製造業PMI
16:50 フランス3月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ3月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏3月3月製造業PMI改定値
17:30 英国3月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
18:00 ユーロ圏2月失業率
21:30 米国2月小売売上高
22:45 米国3月製造業PMI改定値
23:00 米国3月ISM製造業景況指数
23:00 米国2月建設支出
23:00 米国1月企業在庫
28:10 カナダ中銀総裁講演


4月2日(火)
09:30 豪州2月住宅建築許可件数
12:30 豪中銀政策金利発表
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI
21:30 米国2月耐久財受注

4月3日(水)
09:30 豪州2月貿易収支、小売売上高
10:45 中国3月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ3月CPI
16:50 フランス3月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ3月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI改定値
17:30 英国3月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月小売売上高
21:15 米国3月ADP全国雇用者数
21:30 (アトランタ連銀総裁講演)
22:45 米国3月サービス業PMI改定値
23:00 米国3月ISM非製造業指数
23:30 週間原油在庫統計
**:** 米中通商協議(閣僚級)

4月4日(木)
06:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
20:30 ECB理事会(3月7日)議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
26:00 (クリーブランド連銀総裁講演)


4月5日(金)
**:** 香港、中国市場休場
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
15:45 フランス2月貿易収支
21:30 米国3月雇用統計
28:30 (アトランタ連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月25日(月)
ドル円は週明けの日経平均株価が大幅安となったことを受け、一時109.70レベルと金曜安値を割り込む場面も見られました。しかし、株価下げ止まりの動きとともにドル円でも買い戻しが入り、週末終値近辺へと戻した後は、方向感がはっきりせず、終日大きく下げた後の調整相場といった状態が続きました。


3月26日(火)
ドル円は日経平均株価に買い戻しが入ったことを好感して買いが先行しましたが、仲値以降は実需売りも出て昼過ぎには109.99レベルの安値をつけました。しかし110円割れにも実需買いが控えていたことから反発、欧州市場で前日高値を超えるとドル買いが広がりました。NY市場前場には110.69レベルの高値をつけ、その後は110円台半ばでもみあいのまま引けました。


3月27日(水)
ドル円は期末を控えて動意薄の展開が続きましたが、全般に上値は重く欧州市場序盤には日経先物が下げた動きも重なって110.24レベルまで下押ししました。その後は110円台半ばまで買い戻しは見られたもの、NY市場以降はもみあいのまま引けました。

3月28日(木)
ドル円は期末前の売りが出たこともあって東京前場は売りが先行、欧州市場序盤には110.02レベルの安値をつけました。しかし、110円の大台以下では引き続き買いが並んでいたことから自律反転、株高の動きにも支えられてNYの朝方には110.83レベルの高値をつけ、引けにかけては若干押して引けました。


3月29日(金)
ドル円は110円台後半で細かな上下を挟みながらも底堅い値動きを続けました。株価が夜間取引も含めて底堅かったこともありますが、基本的に年度末ということもあって目立った動きは無いままでの月末クローズとなりました。

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