ドル円見通し 週末への下落に対して半値を戻す(3/13)

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は12日の米上院財政委員会の公聴会で、中国との通商協議は大詰めの時期で合意に向けた「最後の数週間」になると述べた。

ドル円見通し 週末への下落に対して半値を戻す(3/13)

ドル円見通し 週末への下落に対して半値を戻す

【概況】

ドル円は3月2日高値112.07円と3月5日高値112.12円でダブルトップ型を形成して下落に転じて3月8日安値110.80円まで下落した。2月末からのドル高を背景とした上昇が続かず、2月25日まで反騰してきたNYダウが3月日から8日へ5日間続落、3月7日にECBが年内利上げを見送り量的緩和政策を再開するとしたことでユーロ円が急落、3月8日には大幅高してきた上海総合株価指数が4%を超える急落となったこと、さらに8日夜の米雇用統計で非農業部門就業者数の伸びがわずか2万人増に止まるサプライズだったことが下落の背景だった。
しかし米雇用統計も平均時給が予想以上に伸び、失業率も改善、就業者数も3か月平均なら18万人超と好調さの範囲とすれば悪くない内容だったとしてドル円の下落も一服、111円台を回復した。
週明けは上海株が反騰入りし、NYダウや日経平均も反発したことに支えられ、12日夜には111.46円をつけて3月5日深夜からの下げ幅に対する半値戻しを実現したが、111.50円以上へ進めずにやや膠着感がある。

3月12日に米労働省が発表した2月の消費者物価指数は全体の前月比が0.2%上昇で市場予想と一致したが、コア指数の前月比は0.1%で市場予想の0.2%を下回った。前年同月比では全体が1.5%上昇で予想の1.6%を下回り、コア指数も2.1%で予想の2.2%を下回った。全般に伸びが鈍化したために米連銀の追加利上げ棚上げ姿勢に寄与するものとしてドル安要因となったが、市場の反騰はさほど大きくなかった。

【英国のEU離脱問題混迷、米中協議も大詰めだが見通せず】

3月11日夜にメイ首相がEUと離脱修正案で合意し12日に議会採決を行ったが反対391、賛成242で否決された。英国議会は13日に「合意なき離脱」の是非を採決、14日には離脱日延期要請の採決を行う見通しだが、月末の離脱期日が迫る中で混迷感も強まり始めた。英ポンドは3月11日まで下落基調が続いていたがEUと修正合意により12日午前まで急伸していた。12日夜の否決による失望から急落して反騰分を吐き出している。ドル円にとってはポンド円での円高とリスク回避感により上値を押さえる材料となった。13日から14日にかけてはこの問題での波乱も続く。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は12日の米上院財政委員会の公聴会で、中国との通商協議は大詰めの時期で合意に向けた「最後の数週間」になると述べた。また 知財権侵害や国家主導の産業政策等の構造問題や中国に合意を順守させる仕組み等で「重要な課題は依然として残っている」と指摘し、「合意の履行が確保できなければトランプ大統領は合意を受け入れないだろう」と述べた。
米朝首脳会談が破断したことにより米中協議も合意へ至らないのではないかとの懸念も残ったままだ。米中首脳会談の日程も決まっていないのは合意に至らない可能性も継続していることを示す。この問題を引きずることはドル円にとってもプレッシャーとなる。また日米通商協議もこれから始まるため、その内容如何によっては円高圧力が一挙に高まる可能性も警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日高値と3月5日深夜高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして7日深夜から12日未明にかけての間への下落を想定してきたが、3月5日未明安値から4日目となる3月8日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて反発に入った。今回の高値形成期は5日深夜高値を基準として8日深夜から12日深夜にかけての間と想定されるが、前回のトップ形成が短縮されたため、今回は次のボトム形成の手前までは伸びる可能性がある。12日夜安値111.11円を支持線とし、上回る内はトップ形成への上昇余地ありとするが、12日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12日夜の反落では先行スパンからの転落を回避し、13日午前では先行スパンから上抜けている。このため先行スパンから転落しない内は遅行スパン好転からの高値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12日午前から12日夜への高値更新時に指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行気配となっている。50ポイントを割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月12日夜安値111.11円を下値支持線、12日夜高値111.46円を上値抵抗線とみておく。
(2)111.11円を上回るうちは111.46円超えから111.70円前後を目指すとみるが、111.70円以上は反落注意とする。ただしリスクオン心理を拡大させる材料を伴って111.70円を超える場合は112円をもう一度試しにかかる流れと考える。
(2)111.11円割れからは弱気サイクル入りとして3月8日安値110.80円試し、割り込む場合は110円台前半への下落を想定する。特にリスク回避感が拡大する材料を伴って下落する場合は110円台序盤まで下値目処を引き下げる。(了)<9:40>

【当面の主な予定】

3/13(水)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.9%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 -4.2%、予想 -2.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 2.0%、予想 1.9%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前月比] (1月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前年同月比 (1月 2.6%、予想 2.6%)
21:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 1.2%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 0.1%、予想 0.1%)
23:00 (米) 1月 建設支出 前月比 (12月 -0.6%、予想 0.4%)
26:00 クーレECB理事、講演

3/14(木)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
11:00 (中) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 5.7%、予想 5.5%)
11:00 (中) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 8.2%、予想 8.1%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前月比 (1月 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (1月 1.6%、予想 1.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.3万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 -0.5%、予想 0.3%)
23:00 (米) 1月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (12月 62.1万件、予想 62.5万件)

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