ドルは年初来高値更新、続伸期待が高い(週報3月1週目)

先週のドル/円は、ドル高・円安。一時112円台を示現し、年初来高値を更新するなど週間を通してドルの強さが目についた。

ドルは年初来高値更新、続伸期待が高い(週報3月1週目)

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先週のドル/円は、ドル高・円安。一時112円台を示現し、年初来高値を更新するなど週間を通してドルの強さが目についた。

前週末に、注目の米中閣僚級貿易協議において、「輸入拡大・為替が大筋合意」と報じられたものの、それほど目立った影響は見られず。週明けのドル/円は、110.60-65円と前週末のNYクローズと大差ないレベルで寄り付いている。
その後しばらくは111円挟みのレンジ取引をたどるなか、週半ばの27日には110.35円という週間安値を記録。しかし、週末にかけては一転してドル戻り高基調をたどると、111.23円の年初来高値を突破し、そのままの勢いで112円台まで上昇している。週末NYは、112円台を維持できなかったが、それでも111.95円前後のドル高値圏で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、「米朝協議絡み」と「米貿易問題」について。
前者は、2日間の日程で行われた米朝首脳会談の初日が終わった段階では和やかな友好ムード、各国メディアも好意的な論調を報じていたが、2日目の協議でまさかの決裂。会談は予定より早く終了したうえ共同声明の発表も見送られている。北朝鮮非核化の先行きが一気に不透明感を増した感もある。
対して後者は、米中貿易協議が終了し、取り敢えずヤマ場を越えたなか、米通商代表部代表が「中国の為替操作は疑いない」、「中国による追加購入だけでは、通商合意には不十分」と指摘、返す刀で「日米貿易協議は3月にも開始したい」と発言していた。その後も、米NEC委員長「中国は外為市場介入の報告が必要」、トランプ大統領「米中協議で物別れもあり得る」などといったやや厳しめのコメントが聞かれている。
そのほか、引き続き「英国情勢」や「パウエルFRB議長の議会証言」、突然台頭した「インドとパキスタンの紛争激化」報道なども折に触れてマーケットで話題となっていた。

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テクニカルには、年初来高値(111.23円)ならびに、その少し上(111.30円レベル)に位置する移動平均の200日線が強い抵抗となっているとみられたが、先週にかけて一時112円台を回復するなど、それらテクニカルポイントをしっかりと上抜けてきた。リスクは間違いなくドル高方向で、さらなる上値トライには注意を払いたいところだ。ちなみに、昨年ドル高値114.55円を起点とした下げ幅の76.4%戻しは112.05-10円となり、先週記録したドル高値に近い。クリアに越えていければ、フィボナッチの観点では100%戻しとなる114.55円も視界内に捉えられかねないだろう。

前述したように、先週は一時112円台を示現するなど、ドル一段高が進行しているが、材料的にはむしろドル安を予感させるものが多い気も。そのひとつは、まさかの交渉決裂となった「米朝協議」に関してで、週末には北外務次官が「非核化に相応の措置なければ新たな道」などと発言し、米国をけん制したと報じられている。今後の動静如何では地政学リスクの再燃から為替市場が円高に振れる可能性も否定できない。また、閣僚級会合を終え一服した様にみえた「米中貿易協議」に不穏な動きが見られることも気がかりだ。さらには、日米貿易問題についても、米USTRが「日本は自動車・農業分野の市場開放を」とした報告書を発表するなど風当たりは強まっている。予断は許さないかもしれない。

テクニカルに見た場合、一時112円台を回復するなど、基調はドル高にバイアス。先週高値である112.05-10円は、フィボナッチで見た際のテクニカルポイントにあたることは若干気掛かりだが、抜ければまずは112.25-30円、そして113.15-20円などが意識されそうだ。それらを超えると、いよいよ昨年高値114.55円が名実とも視界内に。
対するドルのサポートは、移動平均の26週線が位置する111.60円前後、そして同200日線が位置する111.30円レベルなどとなる。


一方、材料的に見た場合、2月のISM非製造業指数や12月の貿易収支、2月の雇用統計といった重要な米経済指標が相次ぎ発表されるほか、米地区連銀総裁などによる講演も相次ぐ見込みだ。そちらも一応要注意。
また、前述した「米中貿易協議」や「米朝首脳会談」に関する動きのほか、5日から10日間程度の日程で実施される見込みの「中国全人代(=全国人民代表大会、国会に相当)」を警戒する声も少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.20-113.20円。ドル高・円安については、先週高値である112.05-10円の攻防にまずは注視。抜ければ112.35-40円そして113.15-20円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線も近い、これまでの抵抗だった111.23円が最初のサポート。割り込んだ場合には111円割れ、110円半ばなどを目指す展開となりそうだ。

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