ドル円 110円台中盤の持合い、戻りやや鈍い
【概況】
ドル円は週末のドル安要因で反落したがその後はややジリ高の持合いで推移している。19日はポンドが急伸しユーロも反発する等ドル安だったが、クロス円での円安もありドル円としては強弱均衡で膠着した動きに止まっている。
1月31日のFOMCにおける追加利上げ棚上げ姿勢への転換によりドル円は31日夜安値で108.50円まで下げたが、当面のドル売り材料消化としてドルが巻き返しの上昇となり、ドル高の流れに乗ってドル円も2月14日高値111.12円まで上昇した。ドル指数は1月31日から2月11日まで8連騰だった。
しかし2月14日の米小売統計が予想外に悪かったことで1月31日からのドル高が一巡、ドル円は2月15日安値110.25円まで下げた。
日銀の黒田東彦総裁が19日の衆院財務金融委員会で米国の利上げ可能性について問われ、「日米金利差が縮んで円高になり、経済に何らかの影響が出て2%の物価目標達成のために必要になれば追加緩和も検討していく」と述べたことが円安材料とされ、19日夕刻には110.81円まで上昇したものの勢いは鈍く110.50円前後まで再び押された。
【米中協議を見守る】
米中通商協議は先週の北京における協議から舞台をワシントンに移して継続中だ。2月19日からは次官級協議、21日からは閣僚級協議が行われる。トランプ大統領が3月1日の交渉期限について延長の可能性も示唆したことが米中合意期待を膨らませたが、19日には「極めて複雑な協議だ」「順調に進んでいる。これまで提言されたことを全て求めている」と述べた上で、「3月1日は魔法の期日ではない」として期限延長による合意形成の可能性を示唆した。
米通信社報道では米国側が為替相場の安定が重要との認識を米中間の覚書に盛り込むことを主張しているとういう。米中間の対立感もありつつも協議が覚書の文言にまで具体的に進展している印象を与えている。
米中通商協議が合意に達すれば、金融市場全般はリスクオン心理優勢となりドル円も株高円安がセットで進みやすい環境となる可能性がある。しかしドルストレートでのドル安がクロス円での円安に勝る場合はドル円は下落という可能性もあるだろう。合意内容が前向きなら株高だろうが、内容が中国不利で景気減速懸念をかえって強める場合は株安となりかねず、12月26日からV字回回復してきたNYダウの戻り一巡と下げ再開のきっかけにもなりかねない。いずれにせよ、状況推移を見定める必要がある。
【ドル指数の下落】
メジャー通貨の加重平均であるドル指数とその大きな構成要素であるドル円は概ね同調して動く。ユーロやポンドの比率が円よりも大きいために天井や底打ち日はかならずしも一致しないが、ドル指数の昨年2月16日底から12月14日高値へ上昇した時期にドル円も3月26日に底打ちし、10月4日からは三角持合いに止まったものの12月13日まで高値圏を維持した。1月3日にドル円は暴落したが、1月10日からのドル指数上昇と1月31日からの一段高と同調してドル円も戻してきた。
ドル指数は1月31日から8連騰した後、2月14日高値から失速している。概ね3か月から4か月周期での天井・底打ちサイクルで推移しており、昨年9月21日底から3か月半となる1月10日に底打ちし、昨年11月12日高値から3か月目の2月14日でこのサイクルのピークをつけて下落期入りしている可能性がある。2月14日高値の後はドル円も新たな高値更新へ進めずにいることから、ドル指数が続落の場合はドル円も同調的に下げに転じる可能性があると注意しておきたい。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日未明安値から4日半となる2月15日昼安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入った。今回の高値形成期は2月14日昼高値を基準として2月19日から21日にかけての間と想定したが、19日夕高値から反落したために既にサイクルトップをつけた可能性がある。2月19日安値110.44円を割り込まない内は20日夜から21日にかけて上昇継続余地ありとみるが、110.44円割れからは弱気サイクル入りとして20日午後から22日の日中にかけての間への下落を想定する。ただし弱気サイクル入りした場合もその後の上昇で2月15日以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとなる点に注意する。
60分足の一目均衡表では2月15日への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、19日への上昇で両スパンとも好転している。2月19日安値110.44円を上回る内は上昇余地ありとみるが、19日安値を割り込む場合は両スパン揃って悪化となるため遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月19日昼安値110.44円を下値支持線、2月19日夕高値110.81円を上値抵抗線とする。
(2)19日昼安値割れ回避のうちは110.81円超えから111円前後試しへ向かうとみる。新たな押し上げ材料が見られない場合は2月14日高値111.12円超えへ進めずに失速しやすいと考えるが、材料に裏打ちされて2月14日高値を上抜く場合は111円台中盤まで上値目処を引き上げる。
(3)110.44円割れからは2月15日からのジリ高による戻り一巡と仮定し、2月15日安値110.25円割れからは2月14日からの下落が二段下げ型に発展するために109.70円台から110.50円前後にかけての間への下落を想定する。(了)<9:45執筆>
【当面の主な予定】
2/20(水)
06:45 (NZ) 10-12月期生産者物価 前期比 0.8%(前期 1.5%)
08:50 (日) 1月 通関ベース貿易収支・季調前 (12月 -553億円、予想
08:50 (日) 1月 通関ベース貿易収支・季調済 (12月 -1836億円、予想
16:00 (独) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.4%、予想 -0.2%)
24:00 (欧) 2月 消費者信頼感 (1月 -7.9、予想 -7.8)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
2/21(木)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 2.16万人、予想 1.50万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 5.0%、予想 5.0%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
17:30 (独) 2月 製造業PMI (1月 49.7、予想 50.0)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI (1月 53.0、予想 52.9)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI(1月 50.5、予想 50.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI (1月 51.2、予想 51.3)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 22.9)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 17.0、予想 14.3)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 0.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 -0.4%、予想 0.3%)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (12月 499万件、予想 500万件)
24:00 (米) 1月 景気先行指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
オーダー/ポジション状況
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