ドル円見通しリスク回避感強まって円安進まず(2/8)

7日には米CNBCテレビ等がトランプ米大統領と習近平主席が首脳会談を開く可能性は「非常に低い」と報道した。

ドル円見通しリスク回避感強まって円安進まず(2/8)

ドル円見通しリスク回避感強まって円安進まず

【概況】

1月31日の米連銀FOMCにおける利上げ棚上げと保有資産圧縮計画の早期切り上げ見通し等から1月31日深夜に108.50円の安値をつけたが、2月1日の米雇用統計が予想以上の強さだったことでドル高が巻き返して109円台を回復、さらに2月4日深夜には110.15円をつけて1月後半からの壁だった110円を突破した。その後は上昇一服で上げ渋りとなり、6日は豪ドルの急落やトランプ大統領の一般教書演説がリスクオン心理を鼓舞するものにならなかったとしていったんは109.53円まで下げたが、7日は全般的なドル高が継続して再び110円に到達した。
7日高値は110.08円に止まり新たな高値更新へ進めずにいたところ、米中首脳会談が行われない見通しが報じられたことや欧州圏の成長率見通し下方修正等からリスク回避感が強まって失速、深夜には109.60円まで下げた。
NYダウは一時360ドル超の下げとなり、終値も220ドル安と下落した。米10年債利回りも2.666%へ低下、30年債利回りも3.00%へ低下した。

【米中首脳会談無し】

米中通商協議については来週北京での閣僚級協議が予定されているが、7日には米CNBCテレビ等がトランプ米大統領と習近平主席が首脳会談を開く可能性は「非常に低い」と報道した。トランプ米大統領も7日に記者団に対して米中貿易協議の期限である3月1日までに習主席と会談する予定はないと述べた。またクドロー米国家経済会議(NEC)委員長もテレビインタビューで米中協議については「かなり大きな隔たりがある」と述べている。
米中協議進展への楽観的な期待感が株高を助長してきたのだが、一転して悲観ムードが再燃し始めている印象だ。

【欧州の景気減速】

EUの欧州委員会は2019年のユーロ圏成長率を昨年11月の1.9%から1.3%へ下方修正した。また2020年の見通しも1.7%から1.6%へ引き下げた。各国別でもドイツの2019年成長率を従来の1.8%から1.1%へ、フランスを同1.6%から1.3%へ、イタリアを同1.2%から0.2%へ総じて引き下げた。昨年後半から欧州の経済指標は鈍化傾向を示しているが、米中貿易戦争の影響により今年もさらに成長鈍化が顕著になるとの見通しだ。
ユーロドルは1月31日高値1.15141ドルの後は下落が続いている。7日夜は小反発したものの8日未明には再び下げ始めている。
英ポンドは7日夜に英中銀のカーニー総裁が「EU離脱の霧」の影響で投資が劇的に落ち込むと述べたことでいったん急落し、その後に利上げの可能性を示唆したために反発しているが、1月26日からの下落基調の範囲にある。

ドル指数は7日夜のポンド反騰時に一旦下げたものの、終値ベースでは1月31日底から6連騰となっている。米連銀の利上げ棚上げ姿勢等は本来はドル売り材料だが、FOMCを通過したことでひとまず売り一巡したことに加え、ユーロやポンドの下落基調や、6日の豪ドル急落(豪中銀総裁の利下げ可能性示唆)や7日のNZドル急落(四半期失業率予想外に悪化)、新興国通貨も下落しているために米10年債利回り等が低下傾向にもかかわらず相対的にドルが押し上げられるという図式になっている。

ドル指数の上昇はドル円にとっては上昇要因だが、クロス円での円高がその効果を相殺しているために2月4日高値以降は新たな高値更新へ進めず、逆に円高感も強まり始めている印象だ。ドルストレートではドル高基調でもクロス円での円高が勝ればドル円も下げに転じかねない。ひとまずは1月3日暴落からのリバウンドを継続して1月23日深夜高値109.99円を超えて二段上げ型に入ったのだが、二段目が伸びずに失速するケースも警戒されるところだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月31日深夜安値をサイクルボトムとして2月4日深夜から6日深夜にかけての間への上昇を想定していたが、4日深夜高値からは新たな高値更新へ進めずに前回ボトムからも3日を経過したために6日朝時点では4日深夜高値を直近のサイクルトップとした。6日夜へ下落したがその後の反騰で110円に到達したために7日朝時点では6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、6日夜安値割れ回避の内は7日夜から11日深夜にかけての間への上昇余地ありとした。7日高値で110円台をつけたものの高値更新へ進めずに失速して6日安値割れに余裕が乏しくなっている。
6日安値109.53円を割り込まないうちは8日の日中から11日深夜にかけての間への上昇余地ありとみるが、6日安値割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りとして11日から13日にかけての間への下落を想定する。

ドル円見通しリスク回避感強まって円安進まず

60分足の一目均衡表では7日未明への上昇で先行スパンを上抜けたが7日夜の反落で再び転落した。その後は先行スパンを挟んでの揉み合いとなっている。4日深夜高値と6日安値の範囲内での騰落が続いているので、6日安値割れ回避の内は遅行スパン好転からの上昇再開余地ありとするが、6日安値割れからは新たな弱気サイクル入りにより遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月6日安値109.53円を下値支持線、4日深夜高値110.15円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.53円を上回る内は109.90円超えから4日深夜高値試しとし、高値更新の場合は110.30円から110.77円(6日夜への下げ幅の倍返し)前後へ上昇する可能性ありとみる。110.30円以上は反落注意だが、109.90円以上を維持して終了なら週明けも高値を試す可能性ありとみる。
(3)109.75円以下での推移中は下向きとし、109.53円割れからは新たな弱気サイクル入りとみて109円台序盤(109.20〜109.00)試しへ向かうとみる。109円以下は反発注意だが、6日安値を割り込んだ後も109.75円以下での推移なら週明けも続落しやすいとみる。(了)<9:30執筆>

【当面の主な予定】

2/8(金)
休 場 (中) 旧正月
北朝鮮 朝鮮人民軍創建日(建軍節)
09:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁講演
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告
14:00 (日) 財務省 2018年末の「国の借金」
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 205億ユーロ、予想 180億ユーロ) 
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 214億ユーロ、予想 233億ユーロ)

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