【概況】
1月19日高値109.88円の後は110円の壁を超えられず、下値は23日未明と29日午前に109.13円の同値をつけて持ち合いを形成していた。31日未明のFOMC声明及び議長会見からドル全面安となり109.13円を割り込んで持ち合いを下放れした。31日早朝安値108.79円からさらに日中夜間と続落して31日深夜には108.50円の安値をつけたが、その後はユーロ安等によりやや持ち直している。
31日に発表された米経済指標は弱い印象だったため深夜にかけてはドル安円高が進んだ。
米商務省が発表した11月の新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比16.9%増の65万7000戸で市場予想の57万戸及び前月の56万2000戸(速報値54万4000戸から上方修正)を上回ったものの、販売価格の中央値は前年同月比11.9%低下の30万2400ドルとなり2年ぶりの低水準だった。
週間の新規失業保険申請件数は前週比5万3000件増の25万3000件となり市場予想の21万5000件及び前週の20万件(速報値19万9000件から上方修正)を大幅に上回った。米政府機関閉鎖が影響していると思われる。
深夜からはドル高円安となったが、きっかけはユーロの反落と思われる。バイトマン独連銀総裁がドイツの成長率は直近の予想を大幅に下回る公算だと述べたことでユーロが急落した。FOMC後には上昇して1月25日以降の高値を更新していたが、1日未明への下げでFOMC後の上昇分を吐き出している。
【FOMC反響】
31日未明のFOMCで米連銀は金融政策を市場予想通りに現状維持としたが、利上げ棚上げの可能性と保有資産圧縮ペースの減速や早期終了の可能性を示唆したためにドルは全面安となった。昨年12月のFOMCでは利上げ継続姿勢を示して保有資産圧縮についても計画通りに進めるとしていたが、年末までの株安や政府機関閉鎖、米中貿易戦争問題や景気減速感を強める指標悪化等により連銀の姿勢もかなり緩んだ印象だ。パウエル議長は会見で「政策金利は既に中立水準にある」と述べたことでもう利上げが行われず、2020年には利下げがあるのではないかという見方も出始めている。
【トランプ大統領動向】
トランプ大統領発言等で金融市場も一喜一憂することが常態化してきたが、現状では米中協議、米連邦予算問題、債務上限の期限切れ問題等が焦点となっている。
1月30日から米中閣僚級通商協議が行われてきたが、31日にはトランプ大統領は劉副首相と会談して習主席の親書を受け取り、2月に習主席と首脳会談を行うと述べた。中国が合意したがっていること、大量の米国産農産物購入の意向があるとしたが、首脳会談までは両国の合意に至らないとした。
米政府機関閉鎖は3週間の期限で解除されているが、期限後の予算を巡ってはトランプ政権と議会との溝が埋まっていない。31日にトランプ大統領は歳出法案に国境の壁予算が含まれない場合は2月15日以降に新たな政府閉鎖が始まると警告した。非常事態宣言も検討されている。
米連邦債務上限は3月1日が期限となるため、2月中には上限引き上げに関して連邦予算と共に焦点化してくると思われる。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月29日午前安値を前回のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期は29日深夜高値を含めて30日深夜までの間として底割れからは弱気サイクル入りと想定していたが、31日未明の急落で29日午前安値を割り込んだために31日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとした。今回の安値形成期は29日午前安値を起点として2月1日の日中から5日にかけての間と想定される。31日深夜安値からやや戻しているものの日柄が浅いため109円台序盤までを戻り抵抗とし、108.70円割れからは下げ再開とみる。
60分足の一目均衡表では25日夜からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。31日深夜安値からの反発で遅行スパンは好転し始めている。遅行スパン好転中は先行スパン突破を試す可能性ありとみるが、再び悪化するところからは下げ再開とみる。
1月19日高値以降の109円台での持合い幅は0.86円であり、持ち合い転落により持ち合い幅をもう一つ分差し引いた下値目処は108.27円。それに加えて当面するチャート上の節目は1月10日安値107.74円及び1月3日の暴落でつけた長い下ヒゲを潰すところとなる1月3日終値107.51円等が考えられる。
持ち合いからの転落のため、戻り抵抗は転落した持ち合い下限の109.13円を中心に109円台序盤までと考える
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.70円を下値支持帯、転落前の持ち合い下限である109.13円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.70円を割り込まない内は109円台序盤への上昇余地ありとするが108.70円割れからは下げ再開とみる。米雇用統計から上昇の場合は109.40円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とする。
(3)108.70円割れからは下げ再開とし、31日深夜安値108.50円割れからは108.27円、さらに108円前後試しへの下落を想定する。米雇用統計や米中問題等でのトランプ大統領発言で円高が加速する場合は107円台後半まで下値目処が切り下がる可能性ありとみる。
【当面の主な予定】
2/1(金)
10:45 (中) 1月 財新製造業PMI (12月 49.7、予想 49.7)
17:55 (独) 1月 製造業PMI改定値 (速報 49.9、予想 49.9)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI改定値 (速報 50.5、予想 50.5)
18:30 (英) 1月 製造業PMI (12月 54.2、予想 53.5)
19:00 (欧) 1月 消費者物価・HICP速報値 前年同月比 (12月 1.6%、予想 1.4%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価・HICPコア指数速報値 前年同月比 (12月 1.0%、予想 1.0%)
22:30 (米) 1月 非農業部門就業者数 前月比 (12月 31.2万人、予想 16.5万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 3.2%、予想 3.2%)
24:00 (米) 1月 ISM製造業景況指数 (12月 54.1、予想 54.2)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 90.7、予想 90.8)
オーダー/ポジション状況
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