ドル円 18日以降のボックス内で下げ止まる(1/30)

米連銀のFOMCが始まった。25日にWSJ電子版が米連銀による保有資産圧縮計画が早く切り上げられる可能性があると報じた。

ドル円 18日以降のボックス内で下げ止まる(1/30)

ドル円 18日以降のボックス内で下げ止まる

【概況】

1月3日の暴落一巡で戻しに入り、当初の1月8日戻り高値109.08円を超えたところから110円試しに向かったが、1月19日、23日、24日と三度のトライは未達成に終わり、25日夜からはドル全面安の流れで失速した。
1月28日も続落で始まり1月29日午前には109.13円をつけて1月23日未明安値と並んだが、109円割れへは進まずに29日夜には109.54円まで戻した。
1月18日以降は110円手前を抵抗、109円割れを回避してボックス型持ち合いを形成しているが、現状もその範囲にある。1月29-30日のFOMC、日本時間31日未明のパウエル議長会見、30-31日の米中閣僚級協議、2月1日の米雇用統計、また英国のEU離脱を巡る混乱、米政府機関一部閉鎖はいったん解除されたものの再び閉鎖される懸念がくすぶる事など、金融市場全般を取り巻く状況が混沌する中で重要イベントの連続に入る。その前夜情勢としてボックス圏で様子をうかがっているところと言える。

米コンファレンス・ボードが発表した1月の消費者信頼感指数は120.2となり前月の126.6から低下し、市場予想の124.7を下回った。また10月のケースシラー住宅価格指数は前年同月比で4.7%となり市場予想の4.9%及び前月の5.0%を下回った。市場反応は限定的だったが、米国の景況感や住宅関連統計では悪化傾向が見られる。

【FOMC始まる】

米連銀のFOMCが始まった。25日にWSJ電子版が米連銀による保有資産圧縮計画が早く切り上げられる可能性があると報じた。米連銀は昨年12月のFOMCで2019年2回の利上げ予想を示し、その時は保有資産圧縮の早期切り上げには否定的だった。しかし10月から年末への世界連鎖株安や、米中問題、政府機関閉鎖問題等を踏まえて年明けからは金融引き締め姿勢が鈍化してきており、「利上げに対する忍耐」を強調し始めている。保有資産圧縮についても検討余地がある印象を与えてきた。このため今回のFOMCでは12月段階からの姿勢変更が示されるのではないかとの観測も強まっている。
米連銀が金融引き締め姿勢を緩める場合や利上げを当面見送る姿勢を示す場合、また資産圧縮の早期切り上げ方針を示す場合はドル安のトリガーとなりかねない。逆に従来姿勢の維持を強調する場合はドル高感が再燃すると思われる。

【英国のEU離脱問題】

英下院では29日に英政府のEU離脱方針をめぐる審議が行われ、離脱延期の動議は否決されたが、離脱案の大幅修正を求める動議を賛成多数で可決した。与野党ともに「合意なき離脱」を回避しようとしているがEU側は修正に対して否定的な姿勢を示しており、29日の為替市場ではユーロはしっかりだったがポンドは30日未明へ急落している。
EUのトゥスク大統領報道官は英国の動きについて「離脱案は再交渉されない」としたが、離脱の延期については「英国から理にかなった要請があればEU27カ国で検討し全会一致で決定する用意がある」と述べた。

英ポンドはメイ首相によるEUとの離脱協定案が1月15日に議会で否決されたことで一旦急落したが、その後は楽観を取り戻して上昇してきた。しかし3月末の離脱開始まであと2か月と迫る中で英国側の混乱が続いている状況は徐々に「合意無き離脱」による市場混乱リスクを拡大してゆくことも懸念すべきと市場も再認識し始めるのではないかと思われる。
ポンド安発生の場合はドル高ポンド安と円高ポンド安によりドル円にとっては中立的と思われるが、その他の問題と重なるとリスク回避感を拡大するものとして円高反応が強まる可能性がある。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月25日夜からの下落で109.50円を割り込んできたために1月23日深夜高値と25日深夜高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を30日未明までの間とし、29日朝時点では28日夜の戻り高値109.52円を超える場合はいったん強気サイクル入りとした。29日深夜高値で109.54円まで上昇したため29日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は29日深夜高値を含めて30日深夜までの間と想定するが、前回のサイクルトップが25日深夜高値とのダブルトップだったため2月1日深夜まで延長される可能性もあると注意する。109.20円割れからは弱気転換注意とし、29日午前安値109.13円割れからは新たな弱気サイクル入りとして2月1日から5日にかけての間への下落を想定する。

ドル円 18日以降のボックス内で下げ止まる

60分足の一目均衡表では25日夜からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、29日深夜への上昇で遅行スパンは好転している。先行スパンが抵抗帯となっているので、先行スパン突破からは上昇に弾みが付きやすいとみるが、再び先行スパンから転落するところからは下げ再開注意とし、両両スパン揃って悪化するところからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月29日午前安値109.13円を下値支持線、29日深夜高値109.54円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.13円を割り込まないうちは109.54円超えから110円手前を試す可能性ありとするが、109.54円を超えても109.50円以上を維持できずに109.20円割れへ失速する場合は下げ再開注意とする。
(3)109.13円割れからは新たな弱気サイクル入りとして108.75円から108.50円にかけてのゾーンを試すとみる。108.50円台では買い戻しも入りやすいとみるが、109円以下での推移が続く場合は31日以降へ続落しやすいと注意する。重要イベントでの弱気反応が続く場合は1月10日安値107.74円まで下値目処を引き下げてゆく。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

1/30(水)
08:50 (日) 12月 小売業販売額 前年同月比 (11月 1.4%、予想 0.8%)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.9%、予想 1.7%)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 10.4、予想 10.3)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 107.3、予想 106.9)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感確報値 (速報 -7.9、予想 -7.9)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.1%、予想 -0.9%)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.7%、予想 1.6%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (12月 27.1万人、予想 17.8万人)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -0.7%、予想 0.5%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

1/31(木)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.0%、予想 -0.5%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 1.5%、予想 -2.3%)
09:01 (英) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -14、予想 -13)
09:30 (豪) 10-12月期輸入物価指数 前期比 (前期 1.9%、予想 0.3%)
10:00 (中) 1月 国家統計局製造業PMI (12月 49.4、予想 49.3)
14:00 (日) 12月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (11月 -0.6%、予想 2.0%)

17:55 (独) 1月 失業率 (12月 5.0%、予想 5.0%)
19:00 (欧) 12月 失業率 (11月 7.9%、予想 7.9%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP速報値 前期比 (前期 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP速報値 前年同期比 (前期 1.6%、予想 1.2%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 19.9万件、予想 21.1万件)
23:45 (米) 1月 シカゴPMI (12月 65.4、予想 60.0)

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