ドル円 年初暴落後の高値も110円に届かず(1/24)

23日未明安値割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして26日未明から30日朝にかけての間への下落が想定される。

ドル円 年初暴落後の高値も110円に届かず(1/24)

【概況】

先週末の1月19日未明に109.88円まで上昇して1月3日大暴落後の戻り高値を更新し、23日未明は安値109.13円へいったん下げたが23日深夜への反騰で109.99円を付けてさらに戻り高値を切り上げた。110円へわずかに届かなかったことでその後はやや反落している。

1月3日午前の暴落で104.82円を付けて昨年3月26日底104.63円に迫ったが、やや過剰な暴落だったとして当日を長い下ヒゲのたくり足として107円台を回復し、16日までは概ね108円台での持ち合いが続いていたが、年末からの日米株反騰が続いたことや米中協議への楽観もあって株高が続行したためにドル円ももう少し戻り高値を試して良いのではないかとの市場心理が優勢となった。

NYダウは12月26日安値21712.53ドルからの反騰が続いて1月22日には24750.22ドルまで戻した。株高はリスクオン心理の拡大として安全資産の債券へシフトしていた投機マネーを株式市場へ還流させ、債券安による米10年債利回り上昇が日米金利差拡大としてドル高円安に寄与している。米10年債利回りは11月から年初まで大幅低下してきたが1月4日以降は上昇基調を継続。米10年債利回り上昇継続によりドル指数も1月10日からは反発基調で推移してきた。英国のEU離脱問題でポンドがやや楽観から上昇しているもののユーロは経済指標悪化等で下落基調が続いておりドル高要因となっており、ドル円の上昇にもつながっている。
ただ、株の反騰も12月後半の急落分を解消した現状水準では行き詰まりやすいところと思われるので、さらに株高継続となるには新たな押し上げ材料が必要と思われる。そのあたりを慎重に見ているところと1月3日暴落のトラウマがあるためにドル円も110円乗せからさらに一段高へ走るほどの積極的な強気感には至っていないという印象だ。

【日銀金融政策、手詰まり】

日銀は23日の金融政策決定会合で金融政策を現状維持としたが、展望レポートで物価見通しを下方修正した。2018年度のCPI見通しは0.8%(前回0.9%)、2019年度は0.9%(前回1.4%)、2020年が1.4%(前回1.5%)とされた。成長率見通しは2018年度が0.9%(同1.4%)と下方修正されたが、2019年度が0.9%(同0.8%)、2020年度が1.0%(同0.8%)と上方修正されている。最近の統計データ不正問題もあり当面の成長率見通しを引き下げざるを得なかったのだろうが政策の有効性を誇示するためには先行きで改善する数字を示す必要があったということだろう。
政策的にもマイナス金利継続は金融機関への援助にもあたるとの批判が強まり、物価上昇に有効性を発揮できていないことも問題だが、政治側が有効策を打ち出せない中で異常な金融緩和で株の買い支えを続けてきたことの限界露呈で手詰まりとなっている。アベノミクス当初は世界的な株高やドル高の流れに乗じたために一見して株高円安を推し進めたとの印象もあるが、海外市場動向依存で自力本願的なものではなかったことがその後の景気失速や年末の株急落によって示されている。

米中協議では大きな進展報道はないものの、トランプ大統領が「中国は合意を強く望んでいる」「様子を見る必要があるが、協議は非常にうまくいっている」と述べたことが株式市場には好感された。ハセット大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も3月1日の期限までの合意に楽観的な見方を示した。しかし中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長が米国の対イラン制裁に違反した疑いで逮捕された問題で、米政府が孟氏の身柄引き渡しをカナダに正式要請する方針を決めたこともあり、米中協議の行方はまだ不透明だ。
米政府機関一部閉鎖の長期化については懸念が強まっている。ハセット委員長はCNNテレビとのインタビューで「政府閉鎖が3月末まで続くと第1四半期の米成長率がゼロになる可能性」を示唆している。

【ダボス会議は低調】

スイスで毎年恒例のダボス会議が開催されているが、出席予定だったトランプ米大統領は政府機関の一部閉鎖を受けてキャンセル。マクロン仏大統領も反政府抗議デモへの対応で欠席。メイ英首相はEU離脱問題での混乱と議会対策で欠席。米中首脳会談の実現も期待されていたが取りやめとなって中国の習近平国家主席も欠席。インドのモディ首相も欠席した。会議に出席しているのはG7のなかでは安倍首相、メルケル独首相、コンテ伊首相だけとなっている。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは1月17日夕安値108.68円を直近のサイクルボトムとして上昇していたが、19日未明高値でサイクルトップを付けて23日未明へ下落した。23日朝時点では今回のボトム形成期を17日夕安値を基準として22日夕から24日夕にかけての間と想定し、すでに17日夕安値から3日を経過しているのでボトムを付けての反騰注意期とし、109.70円超えからは強気サイクル入りの可能性を優先して19日未明高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして23日深夜から28日朝にかけての間への上昇を想定するとした。
23日深夜への上昇で19日未明高値を超えているため現状は23日未明安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りと思われる。このため23日未明安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、110円前後では抵抗感も大きいために23日深夜高値をさらに更新してゆけないうちは19日未明高値と23日深夜高値によるダブルトップ形成から弱気転換する可能性がある。23日未明安値割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして26日未明から30日朝にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では23日未明への下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化が続いていたが、23日深夜への上昇で両スパンそろって好転した。しかしその後の反落により両スパンともに悪化しやすくなっている。先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとするが、109.35円割れからは先行スパン転落となり、遅行スパンも悪化してくるため下げ再開を警戒し、23日未明安値割れからの弱気サイクル入りでは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.35円を下値支持線とし、23日深夜高値109.99円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.35円以上での推移中は上昇余地ありとし、110円乗せからは110円台中盤への上昇を想定する。110円乗せを実現した後も109.50円を上回るなら25日への続伸を想定するが、110円台に乗せても維持できずに109.50円割れするところからは下げ再開とする。
(3)109.35円割れからは弱気転換警戒として23日未明安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして108円台後半への下落を想定する。新たな材料を伴って株安やリスクオフ要因が発生する場合は108円台前半まで下値目途を引き下げる。また23日未明安値を割り込んだ後も109.35円以下での推移が続く場合も25日にかけては安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/24(木)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 99.3)
17:30 (独) 1月 製造業PMI (12月 51.5、予想 51.4)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI (12月 51.8、予想 52.2)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI (12月 51.4、予想 51.3)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI (12月 51.2、予想 51.5)
21:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 173.7万人)
24:00 (米) 12月 景気先行指数 前月比 (11月 0.2%、予想 -0.1%)

1/25(金)
08:30 (日) 1月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く前年同月比 (12月 0.9%、予想 0.9%)
18:00 (独) 1月 IFO企業景況指数 (12月 101.0、予想 100.6)

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