ドル円見通し 10月からの下げ幅の半値戻し(1/22)

21日は米国市場がキング牧師誕生日の祝日休場だったために動きは限定的だった。午前の下落で109.45円まで下げたがその後はほぼ横ばいに終わっている。

ドル円見通し 10月からの下げ幅の半値戻し(1/22)

【概況】

1月3日午前に数時間で4円以上の暴落となり104.82円の安値を付けて2018年3月26日安値104.63円に迫ったが底割れを回避しひとまず戻しに入った。暴落時は特段の新規材料はなくテクニカルな売り連鎖と心理的なパニックが原因と思われるが、ひとまず安値を出し切ったことで出直りに。最初の2週間は109円前後から108円弱までのレンジ内推移にとどまって市場も暴落直後の不安心理を継続して慎重な動きだったが、日米株の連騰によりドル円における市場心理もややリスクオン優勢となって戻り高値を試し始めた。1月16日に109.18円へ高値を切り上げ、週末19日未明には109.88円を付けて110円に迫った。
21日は米国市場がキング牧師誕生日の祝日休場だったために動きは限定的だった。午前の下落で109.45円まで下げたがその後はほぼ横ばいに終わっている。

【中国GDP伸び鈍化】

中国国家統計局が21日に発表した10−12月期のGDPは前年比6.4%となり、前期の6.5%から伸びが鈍化したが市場予想と一致した。2018年通年の伸び率は6.6%で2017年から0.2%低下したものの中国政府が目標としてきた6.5%前後という水準を上回った。ただ伸び率の低下は天安門事件のあった1990年以来28年ぶりの低水準だった。
国家による統制下での統計のため実勢はさらに悪いのではないかとの見方もある。米中貿易戦争による年後半の駆け込み需要分や最近の鉱工業生産や物価上昇率等の統計を見れば今後もさらに景気減速が続くだろうと思われる。仮に米中通商協議が中国側の大幅な譲歩によって妥協的解決が図られれば中国の輸入が一時的に拡大する可能性はあるが、米国による規制を受け入れてのものとなれば従来のような高成長は望めなくなる。中国景気減速がさらに鮮明化するならば世界景気の腰を折る可能性も考えられるところだ。
国際通貨基金(IMF)は21日に2019年の世界経済見通しにおいて世界全体の成長率予想を従来の3.7%から3.5%へ下方修正している。

【ブレクジット】

1月15日に英国とEUによる離脱協定案が下院で否決され、メイ首相が信任投票にかけられた。不信任案は否決され、メイ首相は21日までにEU離脱の代替案を示すとしてきた。21日にメイ首相はアイルランドとの国境問題での修正を行う方針を示したが具体策は示さず、また他の項目でも抜本的な変更姿勢を示さなかった。このため新たな修正案についても議会で否決される可能性が強まったと思われる。またEU側も従来は修正協議には応じないとしているので協議は難航すると思われる。
合意での離脱、合意無き離脱、離脱の撤回と英国の選択肢は3つ。しかし議会動向をみるかぎりはこのまま合意無き離脱へ突き進む可能性も高いのではないかと思われる。

英ポンドは1月15日夜から16日未明に急落したがその後にV字反発して18日には急落前水準を上回った。21日はやや下げたものの大きな動きにはなっていない。今後は混乱度合いが金融市場全般にネガティブな影響を与えるのかそうでもないのかを慎重に見定めるというところだろうか。3月末の離脱期限が迫る中ではいずれドル円にとっても大きな材料になってくると思われるが、今のところは市場も冷静だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは1月17日夕安値108.68円を直近のサイクルボトムとした強気サイクルで推移している。17日朝高値を基準として今回の高値形成期は22日午前から24日午前にかけての間と想定されるが、サイクルトップは短縮されることも多いので109.25円を上回るうちは上昇余地ありとみるが、109.25円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先し、109.00円割れからは弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる22日夕から24日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月15日に先行スパンを突破した。遅行スパンも概ね好転を続けているが19日未明高値からの上げ渋りで実線と交錯している。先行スパンから転落しないうちは上昇継続性ありとし、一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開とする。先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は18日から19日未明への高値切り上げ時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せているのでやや下げやすい状況にあると思われる。50ポイント割れから続落の場合は30ポイント台後半へ下降しやすくなるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.45円、次いで109.25円を下値支持線とし、19日未明高値109.88円を上値抵抗線とみておく。
(2)既に10月からの下げ幅の半値戻し109.68円を超えているので、現状から110円台序盤までのゾーンは高値警戒圏とみる。一時的に110円台序盤へ乗せても維持できずに21日午前安値109.45円を割り込む場合は下落再開を警戒する。
(3)109.45円割れから弱気転換注意とし、109.25円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して109.00円から108.75円にかけてのゾーンを試すとみる。108円割れではいったん買い戻しも入るとみるが109.25円以下での推移が続くうちは22日夜、23日の日中へさらに安値を更新しやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/22(火)
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議) 1/25日まで、スイス・ダボス
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
18:30 (英) 11月 失業率・ILO方式 (10月 4.1%、予想 4.1%)
19:00 (独) 1月 ZEW景況感・期待指数 (12月 -17.5、予想 -18.5)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (11月 532万件、予想 523万件)

1/23(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀「経済・物価情勢の展望レポート」
06:45 (NZ) 10-12月期消費者物価 前期比 (前期 0.9%、予想 0.0%)
06:45 (NZ) 10-12月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.9%、予想 1.8%)
08:50 (日) 12月 貿易統計・通関ベース、季調前 (11月 -7373億円、予想 -353億円)
08:50 (日) 12月 貿易統計・通関ベース、季調済 (11月 -4922億円、予想 -2907億円)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
23:00 (米) 11月 住宅価格指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%))
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 -8、予想 -2)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感 (12月 -6.2、予想 -6.5)

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