今週の週間見通し
先週のドル円は、基本的に株価に沿った動きを続けましたが、週初と比べると日米の主要株価指数が大幅高となったことから、ドル円も週初の108円台前半から109円台後半へ年初来高値を更新とすっかりリスクオン相場となった一週間でした。
主要な材料としては継続中の米中通商協議において進展が見られることのヘッドラインが週半ば以降連日目立っていたことです。制裁関税の引き下げや停止といった話も出てきていることから、ようやく昨年初の米中間の関係がこじれる前の状況に戻ってきたと言えますが、この間に実際に中国の景気減速が米国にも波及していることを実感させるニュースが出てきたことから米中双方が譲歩する方向に動き始めたという印象です。
しかしながら昨年一年間の、特にトランプ大統領の態度を見ていると、完全に合意に至るまでは安心できませんし、ここで合意してもしばらくは昨年後半の悪影響は残るでしょうし、ブレグジット対案が本日示される等、不確定要因が多いことです。そのため現行水準から更なるリスクオンに動けるかとなると為替市場については難しいところだと思います。米金利との金利差拡大は見込めませんし、米中協議の次は日米間の協議もあるでしょうから110円の大台、そして昨年鉄板のレジスタンスとなった114円台を考えると、110円よりも上ではドル売りオーダーがかなり並んでいるものと考えられます。
そして、金利差拡大に至っては現状では金利差縮小を見込む向きも一定数出てきています。先週の段階でCME(シカゴマーカンタイル取引所)のFF先物の取引状況から想定される12月末の政策金利が現状維持と見る参加者が70%でコンセンサス、+25bpの利上げを見込む参加者が12%に対して、−25bpの利下げを見込む参加者が18%と、現状維持以外の参加者では利下げを見込んでいる参加者の方が多いという状況です。
そうしたことを考えると目先の米中間の協議進展思惑だけでリスクオンに動ける値幅は限定的だと思います。ただ2月には米朝首脳会談が開かれる予定というニュースも入ってきていますので、このあたりも材料にする向きは出てくるかもしれません。個人的に年初からまったく想定外の動きとなっていることもありますが、どうも最近のリスクオンの動きには正直なところしっくりきません。為替市場を取り囲む環境からは好材料も悪材料もあるため、本来ならば中立と読む方が自然だとしつこく考えています。
やや個人的な見方のバイアスがかかっているかもしれませんので、テクニカルな面から見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
下値としては3日安値104.90、そして上値は先週末に年初来高値を更新してきましたので12月下旬の戻り高値(111.41)と2018年高値(114.55)の2点から戻しのターゲットを計算します。すると前者では78.6%(61.8%の平方根)戻しが110.02(青のターゲット)、後者では半値戻しが109.73(赤のターゲット)と110円の大台近辺がひとつの戻しのターゲットとなっていることがわかります。
当然、その上にもターゲットは存在しますが、今週のところはいったん110円の大台は引っかかる水準と考えてよいでしょう。いっぽう下値は108円水準がかなり底堅いこと、またその上では108円台半ばが1月上旬の戻り高値でした。ドル円の場合、あまり大きなレンジは通常ではないため、今週は108.50レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月21日(月)
**:** NY市場休場
11:00 中国10〜12月期GDP
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
16:00 ドイツ12月PPI
**:** ブレグジット代替案提示
**:** ユーロ圏財務相会合
1月22日(火)
**:** 日銀会合(〜23日)
18:30 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感指数
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感指数
24:00 米国12月中古住宅販売件数
30:45 NZ10〜12月期CPI
**:** ダボス会議(〜25日)
1月23日(水)
08:50 本邦12月貿易統計
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:45 フランス1月企業景況感
17:00 南ア12月CPI
23:00 米国11月住宅価格指数
24:00 米国1月リッチモンド連銀製造業景況指数
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
**:** 安倍首相演説(ダボス会議)
1月24日(木)
09:30 豪州12月失業率
16:00 南ア10〜12月期消費者信頼感
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
21:45 ECB理事会
22:30 ドラギECB総裁会見
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国1月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国12月景気先行指数
25:00 週間原油在庫統計
1月25日(金)
08:30 本邦1月東京区部CPI
18:00 ドイツ1月ifo企業景況感
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月14日(月)
週明けは東京市場が休場となる中でダウ、日経と株価指数先物が下げる動きに追随し、アジアン時間にドル円は108円台半ばから前半へと下げる動きが目立ちました。欧州市場では一時107.99レベルの安値をつけましたが、107円台では買いオーダーが残っていたこと、また株価指数先物が反転上昇する動きとなったことからドルも反転。株価は行って来いとなったもののドル円は戻り売りも根強く108円台前半で上値の重たい地合いのまま引けました。
1月15日(火)
ドル円は株価と歩調を揃えた一日となりました。東京市場では買い、欧州市場では売り、NY市場では細かな上下はあったものの買いと、完全に株価のミラー相場となっていました。NY後場には英国のブレグジット案採決前後のポンドの大きな動きにも影響は受けず比較的底堅い地合いのまま引けました。
1月16日(水)
ドル円は株価に沿った値動きとなりました。早朝こそ英国議会でブレグジット案が否決されたことを嫌気して、株安円高が先行しましたが、108円台半ばよりも下では買いも根強く東京時間は底固めといった状態が続きました。海外市場に移ると株価指数先物が押しを挟みながらもじり高、NY市場ではダウが上昇する動きとともにドル円も109.20レベルまで上昇後に若干押して引けました。
1月17日(木)
ドル円は連日株式市場のミラー相場状態が続き、為替市場の材料が少ない中、株価指数が東京市場では下げ、海外市場に移ってからは上げとなったことから、ドル円も同様の動きを辿りました。NY市場では米国の対中制裁関税引き下げ検討のニュースを好感しダウが前日高値を超える動きとなったことからドル円も109.40レベルまで水準を切り上げ、やや押して引けました。
1月18日(金)
ドル円は金曜も株高を背景としたリスクオン相場が続きましたが、海外市場に移るとあっさりと109.50レベルを上抜ける動きとなりました。NY市場では前日同様に米中通商協議進展のヘッドラインをきっかけにダウが大幅高、その動きを見てドル円も109.89レベルまで上伸しました。さすがに米国3連休前の110円トライまでは無く、引けにかけては若干押して引けました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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