ドル円 1月3日暴落後の戻り高値を更新(1/17)

1月3日の暴落で年末年始の下げはひとまず一服したとはいえ、状況的には積極的なドル高円安ないしはクロス円全般での円安が加速してゆくには決め手を欠いている。

ドル円 1月3日暴落後の戻り高値を更新(1/17)

【概況】

1月3日の大暴落一服で108円台へ戻した後、1月8日高値109.08円、10日安値107.74円からはレンジブレイクできずに横ばいが続いていたが、17日未明に109.19円まで上昇して1月8日高値をわずかに超えた。17日午前には109円を割り込んでいるので上昇基調を継続するには109円台への回復、維持する必要がある。109円台を維持できずに108.75円以下へ下げる場合はやや高値を切り上げたものの109円前後から108円前後までの持ち合いの範囲に留まる展開か、1月3日暴落後の戻りを二段上げ型としてわずかに高値を切り上げたものの戻り一巡となって下げ再開となる可能性も考えられる。
1月3日の暴落で年末年始の下げはひとまず一服したとはいえ、状況的には積極的なドル高円安ないしはクロス円全般での円安が加速してゆくには決め手を欠いている。

【NYダウのリバウンド】

10月に暴落的に下げたNYダウは12月26日安値から反騰し、1月4日に746.94ドル高の大幅上昇から5連騰、11日から14日にかけては小反落したが15日の155.75ドル高、16日の141.57ドル高と連騰して戻り高値を更新してきた。12月に一段安する前が24000ドルを支持線とした持合いだったが、そこまで回復した状況にある。日経平均もNYダウ程の勢いはないがダウと同じく12月26日安値からのリバウンドを継続して2万円台を回復している。ダウや日経平均の反騰と比較すればドル円の戻りは鈍く、1月3日暴落の後遺症がある印象だが、ひとまず株安拡大への不安感は和らいでいる。
しかし米中通商問題はまだ先行き不透明で、米国政府機関の閉鎖が過去最長記録を更新中、米経済指標の弱さも目立ち始めている状況にあっては暴落し過ぎの反動での戻りにも限界があると思う。日経平均が2万円割れ、ダウが23000ドル割れへと再び崩れ始めれば株安拡大不安の再燃としてドル円も同調して崩れると思われる。

【ベージュブック】

米連銀(FRB)が16日に発表した12地区連銀景況報告(ベージュブック)では「大半の地区で景気は控えめから緩やかに拡大」したが伸びは鈍化し、「多くの地区で楽観が後退した」とされた。この報告書は1月29日と30日に開催される次回FOMCの判断材料となる。
今年に入ってからはパウエル議長や地区連銀総裁らが利上げへの姿勢を後退させ、今週もカンザスシティー連銀総裁やミネアポリス連銀総裁が追加利上げの必要はないとの姿勢を示している。昨年12月に示された2019年2回の利上げ、2020年1回の利上げという利上げ継続姿勢は緩んできており、当分は追加利上げが見送られるのではないかと市場はみているようだが、株価が元気を取り戻せば利上げ継続による株安というトランプ大統領による米連銀批判の根拠も薄れるため、再び追加利上げの姿勢が強まる可能性もある。今後の金融危機再発に備えれば、その対処としての利下げ効果を発揮するためにもある程度の金利水準へ引き上げておきたいところだろう。景気への刺激が中立かやや抑制的な水準という利上げ終点の目安は年末の株暴落のような状況が発生すれば引き下がり、株反騰が続けば引き上げられるものだ。

【ブレクジット】

英国のEU離脱問題も混迷が続いている。英議会下院は15日夜にメイ政権が提出したEUとの離脱協定案を大差で否決したが、16日は野党提出の内閣不信任案を否決した。メイ首相は1月21日までに代案を示すとしている。3月30日から離脱が発行する。それを止めるには3月29日までに離脱撤回か、離脱時期の延期合意が必要であり、できなければ合意無き離脱というハードランディングへ向かう。英ポンドは16日未明へ急落したがその後に反騰しており、今のところは為替及び株式市場ではこの問題によるパニックは発生していない。しかし離脱撤回の確率が極めて低いとすれば1月21日までに代替案での英議会合意が得られなければ合意無き離脱による混乱リスクが全面化する可能性が一挙に高まるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落後の1月8日戻り高値を前回のサイクルトップとし、10日安値をボトムとして強気サイクル入りしてきた。17日未明への上昇で8日の高値を超えたが既に8日高値から7日目に入り、10日安値からも5日目に入っているので、現状は1月14日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルと仮定する。11日深夜高値を基準として今回のトップ形成期を16日深夜から18日深夜にかけての間とすればすでにトップアウト注意期にあるため、108.70円を上回る内はまだ上昇余地ありとするが、108.70円割れを弱気転換注意とし108.50円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して17日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では17日未明への上昇で遅行スパン好転と先行スパンを上抜いた状況が維持されている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は15日日中高値と17日未明高値との間では指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため下落再開注意と思われる。50ポイントを割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからさらに低下する場合は30ポイント台前半への下降を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.70円、次いで108.50円を下値支持線、17日未明高値109.19円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.70円を上回る内は109.19円超えから109円台中盤を目指す上昇の可能性ありとするが、109.00円から109.50円までのゾーンは戻り売りに崩されやすいと考える。このため109.19円を超えた後に108.70円割れするところからは下げ再開と仮定する。
(3)108.70円割れを弱気転換注意、108.50円割れからは先行スパン転落となるため弱気サイクル入りと仮定して108円前後試しへの下落を想定する。108円前後ではいったん押し目買いも入りやすいとみるが、株安再発やリスク回避的材料で急落商状の場合は107円台後半へ下値目処を引き下げる。

【当面の主な予定】

1/17(木)
阪神大震災から24年
G20財務相・中央銀行総裁代理会議(18日まで)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.75%、予想 6.75%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年同月比 (速報 1.6%、予想 1.6%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICPコア指数、改定値) 前年同月比 (11月 1.0%、予想 1.0%)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 年率換算件数 (11月 125.6万件、予想 126.0万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 年率換算件数 (11月 132.8万件、予想 128.8万件
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 22.0万件)
24:45 (米) クオールズFRB副議長、講演

1/18(金)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数 前年同月比 (11月 0.8%、予想 0.3%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数(生鮮食料品除く)  前年同月比 (11月 0.9%、予想 0.8%)
08:30 (日) 12月 全国消費者物価指数(生鮮食料品・エネルギー除く) 前年同月比 (11月 0.3%、予想 0.3%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -1.1%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 1.4%)
18:00 (欧) 11月 経常収支 季調済 (10月 230億ユーロ)
18:00 (欧) 11月 経常収支 季調前 (10月 266億ユーロ)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.4%、予想 -0.8%)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 3.6%、予想 3.5%)

23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.6%、予想 0.2%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 78.5%、予想 78.5%)
23:05 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (12月 98.3、予想 96.4)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

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