ドル円見通し 暴落後の戻り継続だが上値も重い(1/9)

ドル指数は1月3日から7日まで3日間の続落だったが8日は4日ぶりに戻した。ユーロが反落、ポンドも下げ、ドル円のジリ高が継続

ドル円見通し 暴落後の戻り継続だが上値も重い(1/9)

【概況】

1月3日午前に104円台まで暴落的な下げとなったが、当日に107円台を回復、3日の日足は高安レンジが4.30円で、翌朝終値へ戻したために長い下ヒゲをつけた。下ヒゲ幅は2.69円で高安レンジの半分強となり、いわゆる「たくり足」型となった。たくり足発生の場合、その下ヒゲ部分を浸食せずに戻り高値を切り上げれば底打ち反騰期待から上昇を継続させやすく、下ヒゲを潰すところからは下げ再開感が強まるという切り分けで考えるのだが、4日に108円台回復、7日朝へ高値を切り上げて8日午後には109.08円をつけた。109円台を維持できずに9日未明には108.44円まで下げたがその後は108円台後半で確りしている。

3日の暴落は年明け早々で出来高が薄い時間帯に発生したパニック的な現象だったようだが、それだけ株式市場の先安懸念、世界的な景気後退への懸念、金融市場全般への不安感が市場心理の根底にあったために発生したと思われる。1月4日の米雇用統計が予想以上の強い数字だったこと、4日深夜のパウエル議長発言が米連銀の利上げ姿勢を緩める印象を与えたことで株式市場が反騰入りし、市場全般の不安心理も落ち着いてリバウンドに入ったという状況だろう。
1月4日から8日にかけてはダウが3連騰、日経平均も7日と8日は連騰した。ダウも日経平均も年末の戻り高値を上抜いて二段戻し型に発展しているので株暴落不安は一服だが、先行きの不安解消と全面的な楽観回復というには時期尚早だろう。
ドル指数は1月3日から7日まで3日間の続落だったが8日は4日ぶりに戻した。ユーロが反落、ポンドも下げ、ドル円のジリ高が継続したことが背景だが、株の反騰により米長期債が売られて10年債利回りが連騰していることもドル安に歯止めをかけている。

【米中次官級通商協議 3日目】

1月7日から米中の次官級通商協議が北京で始まったが、9日も延長協議されている。トランプ大統領が協議は順調に進んでいるとツイートしたことも8日の株高に寄与しているようだ。しかし交渉決着までの期間は3月末である。米中貿易戦争及び米国の米国第一主義とした保護主義の全面化は、米ソ冷戦終結後の米国を盟主としたグローバリズムと新興大国中国による覇権争いの本格化、新たな冷戦局面入りの可能性も懸念される大問題であり、簡単には決着しないと思う。米中関係改善期待報道があれば株式市場の楽観がやや勝るだろうが、ネガティブ報道が出始めれば悲観を再発すると思われる。
日米通商協議も始まるが為替条項が入っていることを為替市場も忘れるわけには行かないため、暴落一服でのリバウンドにも自ずと限界があるのではないかと思う。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落時の安値を直近のサイクルボトムとして上昇期に入った。3日午後からのリバウンドは静かな展開ではあるが、年末年始を挟んでの暴落商状発生であるためサイクルの展開も不整脈的な転調となりやすい。

8日午後に109円台に到達してから108.44円までいったん下げたため、1月8日午後高値を直近のサイクルトップと仮定する。新たな高値更新へ進まない内は3日午前安値を基準として9日の日中から10日午前にかけての間への下落を想定する。10日午前を超えて続落の場合は7日昼過ぎの安値を直近のサイクルボトムと改めて14日にかけての間までボトム形成が延長される可能性を考える。逆に10日の日中から夜にかけての上昇で8日高値109.08円を上抜く場合は、7日昼過ぎ安値をボトムとした強気サイクルと改めて7日朝高値を基準に10日朝から14日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いた。相場の上昇角度が緩いために遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上抜いた状況は継続している。このため先行スパンを上抜いた状況を維持する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン転落からは戻り一巡による下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9日未明安値108.44円を支持線、8日午後高値109.08円を抵抗線とみておく。
(2)109.08円を超えない内は108.44円割れからの下落により108.00円、さらに107円台後半試しへ向かう可能性ありとする。9日夜へ下落し、10日午前も続落の場合は107円前後試しまで下値目処を引き下げる。また107.50円割れから続落の場合は1月3日の長い下ヒゲが潰され始めるので下落再開感がかなり強まる可能性があると注意する。
(3)109.08円超えからは強気サイクル入りとして109.68円(10月4日から1月3日への下げ幅の半値戻し)、昨年8月21日安値109.77円等のある109円台中後半試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

1/9(水)
英議会、EU離脱案の審議再開
米中次官級通商協議継続3日目(北京)
11:00 (米)トランプ米大統領が不法移民対策に関する国民向け演説
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 183億ユーロ、予想 186億ユーロ)
16:00 (独) 11月 経常収支 (10月 159億ユーロ、予想 248億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 失業率 (10月 8.1%、予想 8.1%)
22:20 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
23:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁講演
24:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、オンラインでの質疑応答
25:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁裁講演
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨12月18-19日開催分

1/10(木)
09:00 (日) 日銀支店長会議
09:30 (日) 黒田東彦日銀総裁発言
10:30 (中) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 2.7%、予想 1.6%)
10:30 (中) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 2.2%、予想 2.1%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)速報値 (10月 99.6、予想 99.5)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.5万件)
22:35 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
26:00 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演
26:40 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁講演

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