ドル円見通し 1年前を上回る円高規模に発展(1/4)

1月3日朝、オセアニア市場時間にかけて暴落商状に陥った。

ドル円見通し 1年前を上回る円高規模に発展(1/4)

ドル円見通し 1年前を上回る円高規模に発展

【概況】

12月25日に109.99円まで下落した後は110円割れを回避していたが、年明け早々に110円を割り込んで安値更新に入り、1月2日安値では108.70円を付けた。
1月3日朝、オセアニア市場時間にかけて暴落商状に陥った。ベンダーによっては105円ちょうど、104.82円や104.29円等の安値を示現した。新年早々で取引の厚みのない時間帯での売り連鎖暴落だったが、暴落一巡後に買い戻されて3日深夜には108.29円を付けたが108円台は維持できずにいる。
3日の暴落時には英ポンドが1.23992ドルまで下げて31日深夜高値から3%を超える下落。ユーロドルも3日午前時点で2日午後高値から凡そ2%の急落、豪ドルも売られてドル・ストレートではドル全面高となった。この為替市場の混乱は新年早々で取引参加者が少ない中で売りの連鎖反応が発生したためと思われるが、2019年の年頭における金融市場全般への不安感を示したものと思われる。

1月2日の米債券市場で10年債利回りが2.62%まで低下して2018年1月以来11か月振り低水準となったが、3日には2.55%まで続落した。30年債利回りは11月2日のピークで3.46%を付けたが1月3日は2.69%まで低下している。
NYダウもアップルの業績下方修正等を嫌気して3日は前日比660.02ドル安と大幅下落、ナスダック総合指数も202.44ポイント安と下げた。株安債券高=米長期債利回り低下は金融市場全般への不安を示しており、為替市場ではリスク回避的にクロス円での円高、ドルストレートでのドル高を招きやすい。米長期金利低下を踏まえればドル円での円高ドル安が継続しやすい状況で新年を開始したと思われる。

世界景気減速への懸念も各種経済指標で目立つ。1月2日に発表された中国財新の12月製造業PMIが49.7ポイントへ低下して強弱分岐点の50を割り込んだ。
3日に発表された米経済指標ではADP民間雇用統計での非農業部門就業者数が27.1万人増となり市場予想の17.8万人増、前月の17.9万人増を上回ったものの、12月のISM製造業景況指数は54.1となり市場予想の57.9及び11月の59.3を大幅に下回っており、景況感の悪化が顕著となっている印象だ。

【早くも昨年3月底へ余裕なし】

昨年10月4日高値の後に高値更新へ進めず、104日移動平均を下値支持線としてレンジ縮小型の三角持ち合いに入った段階で、2017年11月6日天井後の三角持ち合い形成と2018年3月26日への下落時並みの円高ドル安局面に入る可能性があると指摘してきた。2017年11月6日高値が概ね1年サイクルの天井であり、2018年10月4日高値で同様に1年サイクルの天井を付けた可能性が高いという見立てによるものだった。
104日移動平均を割り込んだ12月20日は前日比1.38円幅の陰線で、状況的には2018年1月10日に1.23円幅の陰線で104日移動平均割れ及び三角持ち合いから転落した時と類似状況とした。12月26日の反発についても2018年1月17日に下げ渋りの反発を入れたのと同レベルの動きとして年末年始の一段安警戒とした。

12月25日寄稿の週間展望では中勢見通しとして「110円、次いで8月21日安値109.77円、3月からの上昇幅に対する半値押し109.58円、10月26日への下げ幅の二倍値108.20円等を段階的に試してゆく可能性が懸念される」と書いた。また12月からの下落は円高株安と米長期金利低下の相関暴落による2015年6月から2016年6月への大規模下落期に近いとも書いた。
現状の下落規模は2017年11月天井後の2018年1月からの下落時を超えており、週足レベルにおいては2015年6月からの下落途中における2016年2月の下落時に近い印象がある。ここ2年間の騰落レベルを超える変動率情勢に入ってきていることも念頭に入れておく必要がありそうだ。

【1日で4円幅を超える大暴落陰線と下ヒゲ】

日銀黒田バズーカ第二弾と言われた異次元金融緩和拡大の2014年10月31日の急騰でも1日のレンジは3.30円幅のドル高円安だった。
2015年8月24日の暴落は高値から5.84円幅、前日比3.66円幅の暴落陰線で、長い下ヒゲを付けてその後は凡そ2か月間を持ち合い、3か月後にはこの日の暴落分を解消したが、そこで力尽きて2016年暴落へと進んだ。
2016年6月24日のブレクジットショックでは高値から安値まで7.77円幅、前日比3.95円幅だったがすでに半年の大幅下落の末期だったことで底打ちとなった。その他にも1日で4円、5円を超える急騰急落は何度か発生しているが、今回もそれらに匹敵するレベルの値動きといえる。

暴落陰線の場合、長い下ヒゲを付けて、その下ヒゲ部分を翌日以降もつぶさずに推移すれば、ひとまず売り物一巡で落ち着くこともある。大陰線のローソク足部分の中心値以上へ戻した状況を続ければ悪抜けによる反騰入りの可能性も出てくる。しかし長い下ヒゲをつぶしにかかる続落の場合はまだ途中の暴落に過ぎず、続きの暴落へと発展してゆくことが考えられる。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

(1)長い下ヒゲのついた暴落陰線のため、概ねローソク足実体部分の中心値である108.325円を抵抗線とし、108.325円を超えてその後も108円以上維持してゆけないうちは一段安警戒と思われる。
(2)107.50円以下での推移が進む場合は日足の長い下ヒゲをつぶしにかかるため下落再開の可能性が高まると注意し、107円割れからは105円前試しへ向かうとみる。チャート上の下値支持線は2018年3月26日安値104.63円まで見当たらない状況といえるため、仮に104.63円を割り込む場合は2016年6月24日安値99.04円まで下値目途を引き下げる。
(3)108.325円を超え、その後も108円台を維持する推移が続く場合はひとまず暴落一服として暴落開始前水準の109円台序盤まで戻す可能性ありとするが、108.50円から109円台序盤にかけては段階的な戻り売りゾーンとなりやすいとみる。(了)<8:40執筆>

【当面の主な予定】

1/4(金)
10:45 (中) 12月 財新サービス業PMI (11月 53.8、予想 53.0)
17:55 (独) 12月 失業率 (11月 5.0%、予想 5.0%)
17:55 (独) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 52.5、予想 52.5)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI改定値 (速報 51.4、予想 51.4)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI (11月 50.4、予想 50.7)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.8%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 4.9%、予想 4.2%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICP速報値 前年同月比 (11月 1.9%、予想 1.8%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICPコア指数速報値 前年同月比 (11月 1.0%、予想 1.0%)

22:30 (米) 12月 非農業部門雇用者数前月比 (11月 15.5万人、予想 17.7万人)
22:30 (米) 12月 失業率 (11月 3.7%、予想 3.7%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 (11月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前年同月比 (11月 3.1%、予想 3.0%)
24:15 (米) パウエルFRB議長、イエレンFRB前議長、バーナンキFRB元議長がAEA参加
     アメリカ経済協会年次総会で共同インタピューに応じる

1/5(土)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、AEAパネル討論会に参加
24:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、AEAパネル討論会に参加
26:30 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、AEAパネル討論会に参加

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