ドル円 110円割れから一時反発、変化の攻防点(12/27)

クリスマス休場明けの12月26日、NYダウは序盤に続落して始まっていたが深夜から急騰に転じ、終値では前日比1086.25ドル高の大陽線

ドル円 110円割れから一時反発、変化の攻防点(12/27)

【概況】

12月20日に日足で1.38円の円高ドル安となる大陰線を出現させ、3月以降の上昇トレンド及び10月4日以降の三角持合いの支持線であった104日移動平均を割り込んでの急落となった。この結果、概ね1年周期の天井・底打ちサイクルにおいて昨年11月6日高値から11か月目となる10月4日でこのサイクルの天井をつけた可能性が高まり、三角持合いからの転落も昨年11月から今年1月にかけての三角持合い下放れに近い印象が強まった。この下落はクリスマス休暇前のNYダウ大幅続落による世界連鎖株安拡大への懸念が背景で、株安債券高による米10年債利回り低下によるドル売り円買い圧力も加わっていた。

クリスマス休場明けの12月26日、NYダウは序盤に続落して始まっていたが深夜から急騰に転じ、終値では前日比1086.25ドル高の大陽線で、1日の上昇幅としては史上最大記録となった。ナスダック総合指数も361.44ポイント高の急騰だった。NYダウは米中関係悪化、世界景気後退懸念、株安の最中に米FOMCが今年4回目の利上げを決定したことへの悲観、米大統領が暫定予算への署名を拒否して政府機関の一部閉鎖が始まったことや閣僚辞任による政治不安を背景として12月19日に351ドル安、20日に464ドル安、21日に414ドル安、24日に653ドル安と大幅続落してきた。26日の急騰は直前暴落の2日分を解消するものとなった。

NYダウ急騰の直接的なきっかけとなる材料はクリスマス商戦が良好との報道程度で、あとはトランプ大統領が米連銀の利上げを批判する一方で25日に「米企業は記録的とも言える数字をたたき出している。従って私は今がとてつもない買いの好機だと思う。まさに素晴らしい買いの好機だ」と語ったことくらいだ。大統領が買い場だと言ったから上がったとは言い難いが、大幅下落に対する利食いと休暇明けの気分転換、年末のポジション調整での買い戻しに弾みがついた結果と思われる。直前暴落がひどかった分、リバウンドも大きいという事だろう。
NYダウ急騰により米債券が売られて10年債利回りは2.72%から2.809%へと上昇、ドル指数も上昇、株安の反作用で大幅上昇してきたゴールドが10ドルを超える急落となり、ドル円も反騰した。

【「勢力線」か「化け線」か】

ドル円は日足で1.17円幅の陽線。25日には一時110円を割り込んで109.99円をつけてから111.40円までの上昇幅は1.44円。1円を超える上昇のため日足は大陽線と言えるが、下落途中の大陽線は翌日以降へ続伸なら上昇再開の合図としての「勢力線」と呼ばれるが、一時的に売り方が狼狽して踏み上げただけのものなら狼狽一巡で再び下げ始める「化け線」に終わることもある。そのため、大陽線の中心値以上を維持する内は続伸余地ありとし、陽線連続なら強気再開とするが、中心値を割り込む場合は化け線による下落再開を疑い、大陽線を打ち消す下落からは下げ再開が加速すると判断してゆくところだ。
今回は中心値の110.75円を上回るか、一時的に割り込んでも早々に切り返すなら上昇余地ありとし、三角持合い転落の目安となった104日移動平均(現在112.32円)を今度は抵抗線として試しにかかる可能性が出てくる。110.75円を割り込む場合は下げ再開を警戒し、12月25日安値109.99円割れからは今回の戻り幅の倍返しの下落で108円台半ばを目指すと考えてゆく。

昨年11月天井後の三角持合いから転落し、今年1月に下落が加速したところでは、1月17日へ3.22円下落した後に1月18日へ1.32円幅と今回のような戻りを入れたが、その後は一段安に終わっている。また1月26日へ一段安した後には2月2日の大陽線で2.19円幅の反発を入れたが翌日に大陰線でこれを解消し、更に一段安へと進んでいった。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月21日未明の急落で前回ボトムとした20日未明安値を割り込んだために底割れからの弱気サイクル入りとして21日夜から27日にかけての間への下落を想定してきたが、26日朝時点では20日未明安値から4日を経過して110円割れから下げ渋っていたために25日午後安値を直近のサイクルボトムと仮定し、底割れ回避の内は26日の日中から27日午前にかけての間への上昇を想定するとした。
27日未明の急騰によりサイクルトップ形成中と思われるが、既に前回サイクルトップから5日目に入っているため戻りは短命の可能性がある。111円割れを弱気転換注意、110.75円割れからは弱気サイクル入りと仮定して次のボトム形成期となる28日から年明けへの下落を想定する。27日夜へ続伸する場合はサイクルトップ形成の延長入りとして28日への上昇継続余地ありとするが、年明けからの反落警戒とする。

60分足の一目均衡表では27日未明の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンを突破した。26本基準線を上回る内は高値試し優先とするが、高値更新できずにジリ安の場合は明朝へ遅行スパンが悪化してゆく可能性があるので、26本基準線割れからは弱気転換注意、先行スパン転落からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は27日未明の急騰で70ポイントを超えて買われ過ぎ警戒圏に来ている。弱気逆行は見られないが55ポイント割れへ下げる場合は下げ再開注意とみる。また27日未明高値を超えたところで指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生として下げ再開警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.00円、次いで110.75円を支持線、27日未明高値111.40円を抵抗線とみておく。
(2)111円を上回るか一時的に割り込んでも切り返す内は高値更新余地ありとし、111.40円超えからは111.50円台、さらに111.70円台への上昇を想定するが、111.70円以上は反落警戒とみる。
(3)111円割れから続落の場合は110.75円試しとし、110.75円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して110.50円前後への下落を想定する。110.75円以下での推移中は28日にかけて110.25円から110.00円を試す可能性ありと注意する。

【当面の主な予定】

12/27(木)
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 0.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
23:00 (米) 10月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売 年率換算件数 (10月 54.4万件、予想 56.6万件)
24:00 (米) 12月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (11月 135.7、予想 133.0)

12/28(金)
08:30 (日) 11月 失業率 (10月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 11月 有効求人倍率 (10月 1.62、予想 1.63)
08:30 (日) 12月 東京都区部消費者物価(生鮮食料品除く) 前年同月比 (11月 1.0%、予想 0.9%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前月比 (10月 2.9%、予想 -1.7%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (10月 4.2%、予想 0.4%)
08:50 (日) 11月 小売業販売額 前年同月比 (10月 3.5%、予想 2.1%)
15:00 (日) 東京証券取引所、大納会
22:00 (独) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 0.1%、予想 0.3%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 2.3%、予想 1.9%)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 66.4、予想 61.0)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 -2.6%、予想 1.0%)

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