ドル円三角持合下放れ、1年周期の下落(12月4週)

12月20日、ドル円日足は1.38円幅の大陰線で下落し、10月4日以降の三角持合いを下支えてきた104日移動平均を割り込み、

ドル円三角持合下放れ、1年周期の下落(12月4週)

【概況 三角持合い下放れ】

12月20日、ドル円日足は1.38円幅の大陰線で下落し、10月4日以降の三角持合いを下支えてきた104日移動平均を割り込み、持ち合い下放れとなった。世界連鎖株安が深刻化したことによるリスク回避円高が持ち合いからの転落を招いた。
10月4日高値以降は高値ラインが11月12日、12月13日と切り下がり、下値ラインは104日移動平均に支えられ、同線をザラバで割り込んでも切り返して12月6日、10日、18日まではぎりぎりのところで踏みとどまっていた。しかし日米株の暴落的続落により持ち合い下放れに至った。
この三角持合いについて本欄は、概ね1年周期の天井・底打ちサイクルで見れば昨年11月6日天井に続く天井を10月4日付けた可能性があり、前回天井の昨年11月6日天井から1月序盤までの三角持合い形成と同様の位置づけとし、下放れからの下落期入りへ向かいやすい状況と指摘してきた。

12月20日は前日比1.38円幅の大陰線だが、10月26日安値も割り込んでこれまで継続してきた底上げパターンも崩れた。この崩れ方は同じく1年サイクルの天井をつけた後に三角持合いを形成してから崩れた、今年1月下落における1月10日の前日比1.23円幅の大陰線と同様の意味を持っていると思う。その時も104日移動平均を割り込んだとろから暴落状況に入っていった。
米連銀のFOMCは今年4回目の利上げを決定し、2019年の利上げ予想回数中央値を下方修正、2020年には利上げ終了の見通しを示したが、株安続行中の利上げ決定だったこと、量的緩和で抱え込んだ資産売却によるバランスシート圧縮が継続することとなったために株式市場は失望、株安が加速した事により為替市場もリスク回避の円高に走った。21日から24日への状況は「売りが売りを呼ぶ負のスパイラル」に陥っている印象も与える。

【円高株安・米長期金利低下の相関暴落=2015年型】

ドル円と日経平均、米長期金利は相関しやすい。例外は日銀が異次元緩和を行った2014年に米長期金利が低下する中でドル円と日経平均が上昇した時に見られるが、一般的には株安=債券買い・長期債利回り低下=日米金利差縮小とリスク回避で円高という相関が発生する。その転形が2015年6月から2016年6月への下げ相場だった。
上述したようにドル円は1年周期の天井をつけて三角持合いを形成してそこから転落したという流れだが、日経平均とNYダウの下落規模は1月天井後の2月暴落時を超えており、同様の相関と言っても今回の方がスケールが大きくなる可能性がある。
NYダウは12月24日安値までの下落率がおよそ20%となった。トランプラリーの神通力も消えてきたこと、米中協議が年明けから始まり3月までは関税強化合戦が留保されるものの決裂なら冷戦並の貿易戦争へ突入しかねない状況にあること、原油暴落とエネルギー関連株安、史上最高値更新続きの楽観が悲観へと一挙に変わったことで土台が崩れてきている。

過去の大幅調整安は1998年の21%、2015年は16.3%である。20%も超えるとリーマンショックやITバブル崩壊時並の暴落認定となってゆくと警戒される。下落幅的には既にリーマンショック以来の下げ方だが、値位置が当時よりも高いために率で考えた方がよいだろう。

【1年周期の下落期として当面のポイント】

【1年周期の下落期として当面のポイント】

概ね10か月から1年周期の天井・底打ちサイクルで推移してきたが、今回の三角持合い下放れにより、昨年11月6日天井から11か月目となる10月4日高値で天井をつけて下落期に入ったと思われる。このサイクルの次の底形成期は3月底を基準として来年2月から4月にかけての間と想定される。当面は3月からの上昇幅の半値押し=109.58円前後が下値目処と思われるが、半値押しでは済まずに、10月4日から10月26日への下げ幅=三角持合いの値幅をもう一つ分としてE計算値108.20円を目指す可能性も警戒される。
仮に2016年型の円高規模に発展する場はその時と同様に高値から10円規模の下落で3月底へイッテコイとなる可能性も警戒される。
年明けからは日米通商協議もより具体化してくる。米国からの要求には為替条項が入っていることが週末に示されているので、年末年始は円高へ進みやすい状況が続くと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)心理的には110円、次いで8月21日安値109.77円、3月からの上昇幅に対する半値押し109.58円、10月26日への下げ幅の二倍値108.20円等を段階的に試してゆく可能性が懸念される。
(2)12月14日からの下落では下げ一服での戻り高値が切り下がり、さらに安値を更新するパターンが続いているため、リバウンドとして2日から5日程度の戻りを入れる場合は直前の戻り高値(現状では21日高値111.45円を超える必要があり、できない内は一段安警戒を優先する。
(3)短期的なリバウンドを超えて大きく戻すためには12月20日の大陰線を解消する=112.50円を超える反騰が必要と思われる。
(4)概ね3か月前後の底打ち周期では10月26日安値を基準として1月後半への下落、長引く場合は2月への下落継続が懸念される。そこは1年周期のサイクルにおける底打ちとも重なるので大きなリバウンド期になると思われるが、年内はよほどポジティブなサプライズがなければ安値試しを継続しやすいと思う。

【当面の主な予定】

12/25(火)
休場、豪、NZ、シンガポール、香港、メキシコ
休場 独、仏、英、スイス、南ア、カナダ、米国
14:00 (日) 10月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 100.5)

12/26(水)
休場 豪、NZ、香港、英、仏、独、スイス、南ア、カナダ
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨(10月30-31日分)
13:00 (日) 黒田東彦日銀総裁、経団連審議員会で講演
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (9月 5.1%、予想 4.8%)
24:00 (米) 12月 リッチモンド連銀製造業指数 (11月 14、予想 15)

12/27(木)
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 0.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
23:00 (米) 10月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売 年率換算件数 (10月 54.4万件、予想 56.6万件)
24:00 (米) 12月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (11月 135.7、予想 133.0)

12/28(金)
08:30 (日) 11月 失業率(10月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 11月 有効求人倍率(10月 1.62、予想 1.63)
08:30 (日) 12月 東京都区部消費者物価(生鮮食料品除く) 前年同月比(11月 1.0%、予想 0.9%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前月比(10月 2.9%、予想 -1.7%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前年同月比(10月 4.2%、予想 0.4%)
08:50 (日) 11月 小売業販売額 前年同月比(10月 3.5%、予想 2.1%)
15:00 (日) 東京証券取引所、大納会
22:00 (独) 12月 消費者物価指数 前月比(11月 0.1%、予想 0.3%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数 前年同月比(11月 2.3%、予想 1.9%)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数(11月 66.4、予想 61.0)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比(10月 -2.6%、予想 1.0%)

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