ドル円見通し株安懸念でFOMC後の反発鈍い(12/20)

12月20日未明、米連銀FOMCは市場予想通りに今年4回目の利上げを決定、フェデラルファンド(FF)レート誘導目標レンジを2.25%〜2.50%に引き上げた。

ドル円見通し株安懸念でFOMC後の反発鈍い(12/20)

【概況 FOMC反応】

12月20日未明、米連銀FOMCは市場予想通りに今年4回目の利上げを決定、フェデラルファンド(FF)レート誘導目標レンジを2.25%〜2.50%に引き上げた。
FOMC参加者17人による2019年の利上げ予想回数中央値を2回とし、9月時点の3回から下方修正した。2020年の利上げ予想回数も1回、2021年を0回として2020年での利上げ終了見込みを示した。また2019年の実質GDP伸び率見通しは2.3%として9月時点(2.5%)から下方修正、インフレ見通しも下方修正した。
概ね市場予想通りの内容だったが、期待先行でドル安が進んでいた中では想定以上のハト派的な内容ではなかったとして発表後にドルは反発、NYダウも大幅下落となり、ドル円は発表前安値112.09円から112.66円まで戻したものの株安懸念もあって上昇は限定的なものに止まり、112.50円を割り込んで終了した。

【FOMCメンバーによる主な見通し】

@ 2019年の利上げ回数予想
 5回 0人(前回1人)、4回 0人(前回4人)、3回 6人(前回4人)、2回 5人(前回4人)、1回 4人(前回1人)、ゼロ回 2人(前回2人)
A 2020年の利上げ回数予想 
3回 2人(前回1人)、2回 3人(前回6人)、1回 4人(前回2人)、ゼロ回 8人(前回7人)
B FF金利中央値
2018年 2.375%(前回 2.375%)、2019年 2.875%(前回 3.125%)、2020年 3.125%(前回3.375%)、2021年 3.125%(前回3.375%)、長期 2.75%(前回3.0%)

2019年の利上げ予想回数の中央値は2回だが、利上げ3回予想が6人で最多、2回が5人、1回が4人だったことはまだ2019年に3回の利上げが行われる可能性も残っているという印象を市場に与えた。株安継続中だったことであるいは利上げが見送られるのではないかとの若干の期待もあったところで利上げが粛々と決定されたことも発表後のドル安反応を限定的なものにして株安継続を招いた。
声明文の文言では「FF金利誘導目標の若干のさらなる緩やかな引き上げが、持続的な景気拡大、力強い労働市場、中期的にFOMCが対称的な物価目標としている2%近辺のインフレ率と整合性があると予想している」とした中で、「さらなる利上げ」のフレーズが継続されたことが心理的には利上げ終了接近感よりも利上げ継続感を意識させたともいえる。

【株式市場は為替市場以上に失望】

発表前後の為替市場、株式市場動向をみると、市場は発表内容以上にもう少しハト派的なものを期待していたのだろう。それが想定通りだったことで先行きへの期待感が膨らまなかった。
NYダウは一時500ドル以上の下落となり終値では351.98ドル安と下落した。ダウは12月14日の496.87ドル安、17日の507.53ドル安と週末週明けの2日間で千ドル以上の大幅下落となって10月3日以降の安値を更新していたが、この日の安値で23162.64ドルをつけて2月暴落時につけた4月2日安値23344.52ドルを割り込み、2017年10月以来1年2か月振りの安値となった。4月2日安値を割り込んだということは、2月暴落前の1月26日高値と、それをわずかに更新した10月3日高値をダブル天井とした下落継続に入りやすい状況に入った印象だ。株安中の利上げ、トランプ大統領による利上げ批判にもかかわらず利上げを決定した事への失望もあるだろう。

またFOMCを通過した後には年明けからの米中通商協議の開始、その決裂への不安も拡大してゆく可能性もあり、暫く株安が続く可能性、それによるリスク回避の円高も継続やすい状況が続くと思われる。
日経平均は18日の391.43円安から19日に127.53円安と続落して10月26日安値を割り込んだ。20日前場も続落している。
米10年債利回りも株安債券高により2.76%へ低下、日米金利差縮小による円高圧力も継続している。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月17日夜の下落で12月13日未明安値を割り込んだために18日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとし、今回の安値形成期を18日未明から20日未明にかけての間と想定した。18日夜安値からいったん戻したものの19日午前に安値を更新したため19日午前時点ではまだボトム形成の下落が続いているとしたが、18日深夜へ112.62円まで戻してからの安値更新のため、18日夜安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りし始めた可能性もあるとした。
20日早朝への反発で18日深夜高値を上抜いたため、20日未明安値を直近のサイクルボトムと仮定する。高値形成期を20日早朝高値を含めて21日夜にかけての間とする。また、20日未明安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして21日夜から27日にかけての間への下落を想定する。
20日未明へ安値を更新してから戻り高値を若干切り上げたため、チャートパターンはレンジ拡張型の逆三角持合いの可能性がある。

60分足の一目均衡表では20日早朝への上昇で遅行スパンが好転したが、先行スパン下限が抵抗となっている。20日早朝高値を上抜く場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを突破できない状況で遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開として安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、20日未明安値112.09円を下値支持線、20日早朝高値112.66円を上値抵抗線とみておく。
(2)新たな安値更新回避の内は20日早朝高値超えから113円前後試しへ向かう可能性ありとするが、113円前後では戻り売りにつかまりやすいとみてその後の112.50円割れからは下げ再開注意とする。
(3)20日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして111円台前半への下落を想定する。
(4)日足においては104日移動平均を20日未明安値で割り込んだが終値では上回った。12月6日深夜、10日午前、18日夜、20日未明と104日移動平均との攻防が続いているが、次の安値更新では切り返せずに104日移動平均割れからの続落へ進みやすいと注意する。

【当面の主な予定】

12/20(木)
(日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 据え置き)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:00 (欧) 10月 経常収支 季調済 (9月 169億ユーロ)
18:00 (欧) 10月 経常収支 季調前 (9月 241億ユーロ)
18:30 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.3%)
18:30 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 2.2%、予想 2.0%)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利 (現行 0.75%、予想 据え置き)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 12.9、予想 16.0)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 20.6万件、予想 21.9万件)
24:00 (米) 11月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.00%)

12/21(金)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.4%、予想 0.8%)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価コア指数・生鮮食品除く 前年同月比 (10月 1.0%、予想 1.0%)
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感調査 (12月 10.4、予想 10.3)
18:30 (英) 7-9月期 四半期経常収支 (前期 -203億ポンド、予想 −222億ポンド)
18:30 (英) 7-9月期 GDP、改定値 前期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
18:30 (英) 7-9月期 GDP、改定値 前年同期比 (速報 1.5%、予想 1.5%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP、確定値 前期比年率 (改定値 3.5%、予想 3.5%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比 (10月 -4.4%、予想 1.7%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 0.1%、予想 0.3%)

22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費・確定値 前期比 (改定値 3.6%、予想 3.6%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE・確定値 前期比 (改定値 1.5%、予想 1.5%)
24:00 (米) 11月 個人消費 前月比 (10月 0.6%、予想 0.3%)
24:00 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.5%、予想 0.3%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前月比 (10月 0.1%、予想 0.2%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感 速報値 (11月 -3.9、予想 -4.3)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.5、予想 97.5)
24:00 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 2.0%、予想 1.8%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (10月 1.8%、予想 1.9%)

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