リスクはドル安方向だが、底堅いイメージも(12/10夕)

週明け10日の東京市場は、小幅にドル安。先週安値である112.23円に一時面合わせする局面も観測されている。

リスクはドル安方向だが、底堅いイメージも(12/10夕)

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週明け10日の東京市場は、小幅にドル安。先週安値である112.23円に一時面合わせする局面も観測されている。

先週末に、「フランスで政権抗議デモ、2000人を拘束」との報道や、「中国、CFOの逮捕状撤回を要求」などファーウェイに関する複数の報道が観測されている。そうしたなか取引が始まった週明けのドル/円相場は、リスク回避の円買いが優勢。先週末よりもドル安・円高である112.60円前後で開始したのち、日中安値の112.20-25円まで値を下げた。日経平均株価が一時500円を超える下げ幅を記録したことを嫌気した面もあったという。
しかし、日中安値を付けたのち、むしろドルは底堅く、112円半ばまで小反発。16時時点では112.45-50円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、先週は週間を通して荒れ模様の展開をたどっていた仮想通貨は、総じて平穏。先週は乱高下が目立ったビットコインキャッシュもおおむねレンジ取引に終始している。

一方、材料的に注視されていたものは、「ファーウェイ関連報道」と「英国情勢」について。
前者は、前述した「中国、CFOの逮捕状撤回を要求」との報道のほか、カナダメディア「CFOは制裁違反で虚偽説明の疑い」、クドロー米NEC委員長「CFO逮捕は対中協議に影響なし」、在日中国大使館「日本のファーウェイ排除方針を非難」−−などといった報道や発言が相次ぎ観測されている。
対して後者は、英保健相「合意なきブレグジットが最長6ヵ月の港の混乱招く」との発言や、英紙「メイ首相、11日の下院採決を延期か」との報道に加え、別の英紙「ジャビッド内相が保守党党首選で準備」、「メイ氏、ブレグジット否決なら政権奪われかねないと発言」といった内閣の存亡にかかわる報道も思惑をよんでいた。

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リスクという点ではドル安方向にバイアスがかかりそうだが、11月安値の112.30円に近い112.20-25円を今回も割り込めなかった。これで少なく見積もっても3回以上はトライし、いずれも跳ね返されてきたことになる。短期的には、むしろドルが底堅いイメージすら窺えるなか、112.20-30円レベルの攻防には引き続き注意を払いたい。
材料的には、米中貿易戦争の行方が依然として注視されている。実施された米中首脳会談で「90日間の休戦」決定後、トランプ米大統領からは「中国との交渉は順調に進んでいる」といった楽観的なコメントが聞かれる一方で、米USTR代表は「対中協議の90日間は厳格な期限」といった強いプレッシャーをかけていた。「ファーウェイのCFO逮捕」が協議にどう影響を及ぼすのかも注目だ。なお、日米についても、米通商代表部が週末に「10日に公聴会、44団体が対日交渉で意見交わす予定」と発表している。参加者のなかに、米最大労組の全米自動車労組の名前もあることで、円安誘導批判などの可能性を懸念する声も聞かれていた。

テクニカルに見た場合、先週報じたように、ここ最近は112.23-114.23円という2円レンジを形成、本日の東京時間には下限割れを試したが、見事にサポートされた感を否めない。チャートを見るとレンジ下限である112.20-30円は、とくに重要なテクニカルポイントというわけではなかったものの、直近だけで少なくとも2度止まっているだけに、目先は注目度が増している状況だ。引き続き攻防には要注意。
それに対するドルの抵抗は、本日112.65-70円に位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限や、先週末高値の112.93円、113.24円などとなる。

一方、材料的に見た場合、10月の雇用動態調査という米経済指標が発表されるものの、正直なところ市場の関心は高くない。影響は基本的に限定的か。米国ファクターとしては、先で取り上げた「米通商代表部による、対日交渉の公聴会」を注視したい。
また、11日に需要イベントを控えている英国とイタリアを中心とした欧州情勢も予断許さず。本日では、週末に4週連続でテロが発生したフランス情勢、マクロン大統領が実施する予定の演説に注目か。内容如何ではユーロ相場が一時的に荒れる展開もありそうだ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、112.10-113.10円。ドル高・円安方向は、先週末高値の112.93円が最初の抵抗に。抜ければ、113円台を回復し、5日高値も近い移動平均の25日線などが位置する113.30円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日を含めて直近だけで2度下げ止まった112.20-25円の攻防にまずは注視。割り込めば、112円割れが視界内に。

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