ドル円 戻り鈍く株安を意識した円高懸念(12/6)

米国株式市場が休場の5日、日経平均株価は前日比116円72銭安、上海総合指数終値は0.61%安、ドイツDAX指数は1.19%安と下落した。

ドル円 戻り鈍く株安を意識した円高懸念(12/6)

【概況】

12月1日の米中首脳会談を好感して12月3日は株高ドル安となりドル円も3日朝には113.82円まで上昇したものの、その後はドル安に圧されて下落、4日には日経平均が538.71円安と急落、NYダウも799.36ドル安と大幅下落となり、ドル円もリスク回避による円買いで急落となった。米中貿易戦争問題でいったん楽観したものの合意内容には不透明感があること、協議決裂の場合には関税戦争が全面化しかねないとの懸念から初期の楽観論が後退したことが株安のきっかけだった。もう一つの背景としては米国の一部期間での長短金利逆転による先行きの景気後退不安があるともされる。
5日は故ブッシュ(父)元大統領の「国民追悼の日」により株式市場と債券市場が休場だったが、休場前の4日には米10年債利回りが3%割れへ低下した。2000年のITバブル崩壊や2008年リーマンショックの前にも逆転現象が発生しているが、先行きの景気減速に対する警戒感が長期金利を低下させ短期金利と逆転するものと解釈される。米国株式市場が休場の5日、日経平均株価は前日比116円72銭安、上海総合指数終値は0.61%安、ドイツDAX指数は1.19%安と下落した。

トランプ米大統領は4日に自分はタリフマン(関税男)だとツイートして市場の米中問題解決期待に水を差したが、5日は「中国は米国産の大豆と液化天然ガスの輸入を再開する準備を始めた」とツイートして再び米中首脳会談の成果をアピールした。しかし市場は未だ疑心暗鬼であり、新たなポジティブ続報が出てこないと先行き不安が増長しかねない。6日朝の日経平均は続落開始、CMEのダウ先物も下落で再開している。

【10月4日からの三角持合い支持線試し】

10月4日高値114.54円から11月12日高値114.20円、11月28日高値114.03円と高値ラインはほぼ1直線で切り下がっている。安値ラインは10月26日111.37円、11月20日安値112.29円と切り上がってきたが、この安値を結ぶ支持線に対して12月4日に前日比で0.83円の陰線となった安値112.57円ではわずかに割り込んでいる。その後は新たな安値更新を回避しているので三角持合いの範囲内ぎりぎりにあるが、12月4日安値を割り込む場合は支持線割れ、三角持合い下放れへ傾斜する。また112.50円割れから続落し始める場合は8月21日安値と10月26日安値を結ぶ支持線も割り込んでくることとなるため円高ドル安感が強まると警戒される。
それら支持線割れを回避して26日移動平均113.31円を超えてくれば三角持合いに止まって今度はその抵抗線突破、上放れを目指す可能性も回復すると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月29日夜安値を前回のサイクルボトムとしていたが、12月3日朝高値からの下落で底割れしたために5日朝時点では弱気サイクル入りとした。また今回のボトム形成期は29日夜安値を基準として12月4日夜から6日深夜にかけての間と想定し、早ければ5日にもボトムをつけての反騰に入る可能性があるとしたが、113円台回復へ戻せない内は一段安警戒とした。
5日昼への上昇で113円をつけ、夜間に113.24円まで続伸したために5日未明安値を直近のサイクルボトムとする。新たな高値形成期は3日朝高値を基準として6日未明から10日朝にかけての間と想定されるが、6日未明高値から反落しているために既にサイクルトップをつけてしまった可能性がある。このため112.90円を上回る内は6日夜、7日にかけての上昇余地ありとするが113円割れ、112.90円割れと続落の場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して5日未明安値試しを想定し、さらに底割れからは8日未明から12日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5日夜への上昇で遅行スパンが好転したが先行スパン突破までは進めずに6日朝へ失速している。遅行スパン悪化、さらに先行スパンから転落の場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して遅行スパン悪化中の安値試しとする。先行スパン転落回避から6日早朝高値を上抜き返す場合はサイクルトップ形成の継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.90円を支持線、6日朝高値113.24円を抵抗線とみておく。
(2)113円を一時的に割り込んでも切り返す内は113.24円超えから113.50円前後試しへ向かう可能性ありとするが、その場合は113.50円以上を反落警戒圏とし、その後の113.20円割れから下落期に入りやすいとみる。
(3)112.90円割れからは弱気サイクル入りと仮定して5日未明安値112.57円試しへ向かうとみる。株安が深刻化する場合等は112.50円割れを目指す可能性ありとし、7日の日中へ112.25円前後まで下値目処を引き下げる。また113円以下の状況が続く内は安値更新へ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/6(木)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.3%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -2.2%、予想 -3.1%)
22:15 (米) 11月 ADP民間雇用者数 前月比 (10月 22.7万人、予想 19.5万人)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -540億ドル、予想 -550億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.4万件、予想 22.5万件)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 60.3、予想 59.2)
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.7%、予想 -2.0%)

12/7(金)
14:00 (日) 10月 景気先行指数(CI)速報値(9月 104.3、予想104.9)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比(9月 0.2%、予想0.3%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比(9月 0.8%、予想2.0%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP確定値 前期比(改定値 0.2%、予想0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP確定値 前年同期比(改訂値 1.7%、予想1.7%)
22:30 (米) 11月 非農業部門雇用者数 前月比(10月 25.0万人、予想20.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率(10月 3.7%、予想3.7%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比(10月 0.2%、予想0.3%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比(10月 3.1%、予想3.2%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数(11月 97.5、予想97.0)
29:00 (米) 10月 消費者信用残 前月比(9月 109億ドル、予想150億ドル)

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