ドル円展望 20日からの二段戻し続く(11/28)

11月23日深夜に112.66円まで下げたが週明けの反騰で21日高値を超えて20日安値からの戻りが二段上げ型に発展した。

ドル円展望 20日からの二段戻し続く(11/28)

ドル円展望 20日からの二段戻し続く

【概況】

11月23日深夜に112.66円まで下げたが週明けの反騰で21日高値を超えて20日安値からの戻りが二段上げ型に発展した。27日未明に113.64円をつけてから午前にいったん113.38円まで小反落したが深夜にかけてのドル全面高を背景に一段高となり、113.80円台へ高値を切り上げている。
米連銀のクラリダ副議長の講演があったが「政策金利は景気を過熱も冷やしもしない中立水準により近づいている」と述べたことに対して市場はこれをまだ中立水準に達していないため利上げも継続する姿勢だと受け止めてドル高反応となった。29日未明にはパウエル議長講演、30日未明にはFOMC議事録公開も控えているため、12月FOMCでの利上げに対する地ならし的な発言ともみられる。

【各種要因】

英ポンドが一段安していることもドル高を助長した。11月25日のEU首脳会談で英国離脱協定が承認されたものの英国議会で否決されるのではないかとの懸念が継続していることが背景。またポンド安とともにユーロも対ドルで下落、11月20日以降の安値を更新している。最近のユーロ圏経済指標が予想よりも悪く、米国の保護主義拡大による影響も出ているのだろうと思われる。

米長期金利の指標である10年債利回りは11月7日から23日へ低下し、週明けはほぼ横ばい状態にある。日米長期金利差からは円高となりやすい環境だが、それ以上にドル高感が強いためにドル円も上昇しているという事だろう。NYダウが10月29日安値に迫ったものの底割れを回避、日経平均も10月26日安値割れをひとまず回避していることも円安に寄与している。

米中貿易戦争問題の不透明感もドル高感を強めている。トランプ米大統領と習近平中国国家主席は12月1日にブエノスアイレスでのG20における夕食の席で会談する予定とクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が27日明らかにした。同氏は「トランプ大統領は習主席との会談で状況が打破されると期待しつつも、進展が見られなければ追加関税を賦課する用意もある」と述べ、トランプ大統領も28日未明に同様の発言をした。
今年8月への米中協議不調では人民元安ドル高となったが、ドル円は3月26日底からの上昇基調を継続した。米中合意ならドル高反応という見方もあるが、リスクオンでの投機通貨買いでドルストレートではドル安へ進む可能性も考えられる。ただリスクオンで株高ならドル円ではドル高円安を継続しやすいと思われる。

【三角持合い型】

10月4日高値114.54円から11月12日高値114.20円へと高値が切り下がってから失速したため両高値によるダブル天井形成の可能性が考えられた。ダブル天井完成の目安はその谷間にある10月26日安値111.37円を割り込む必要があるがまだ距離がある。11月20日に112.29円まで下げたところから切り返したため、8月21日安値、10月26日安値、11月20日安値と底上げが続いている。この底上げラインを支持線とすれば現状は高値切り下がりで安値切り上がりのレンジ縮小型三角持合いという印象になる。

11月12日高値を上抜く場合は持合い上放れ開始としてまず10月4日高値への挑戦とし、高値更新なら一段高入りとして8月21日安値から10月4日への上昇波動を基準として同レベルのN字型上昇と仮定してN計算値116.14円を目指す可能性が出てくる。逆に11月20日安値を割り込めば安値切り上げパターンが崩れて三角持合い下放れとなるためまず10月26日安値111.37円試しとなり、さらに底割れからは3月26日からの上昇トレンド終了の可能性を優先して8月21日安値試しへ向かう可能性が高まると考えられる。

現状はまだ持ち合い中であり、上放れも下放れの可能性も併存しているが、基本は「持ち合いは持合い放れにつけ」という事だろうと思う。
因みに現状は10月4日高値も含めて概ね1年周期のサイクルにおける天井形成期だが、前回の1年サイクル天井は昨年11月6日高値であり、12月12日へのリバウンドとその後の揉み合いで三角持合いを形成し、結果は下放れであった。既に10月4日までは6か月の上昇であり、その後に高値更新へ進めずにいるところは前回の1年サイクル天井形成時に近い展開で下放れを引き起こす可能性に注意が要るところと考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月21日夜高値をサイクルトップとして下落したが、11月20日夕安値から3日目となる23日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて新たな強気サイクルに入ったとし、今回の高値形成期を26日夜から28日夜にかけての間と想定した。既に前回サイクルトップから4日を経過しているのでトップアウト警戒期にあるとし、113.50円を上回る内は28日夜にかけての上昇余地ありとするが、113.50円割れからは弱気サイクル入りと仮定して28日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。また114円前後まで高値を更新した場合では113.70円割れしてくるところからも弱気サイクル入り警戒とする。

60分足の一目均衡表では26日午前の上昇で先行スパンを突破し、遅行スパンも好転した。28日朝時点でも両スパン好転を維持している。高値更新が続けば遅行スパン好転も継続するが高値更新がストップすると遅行スパンも悪化しやすくなる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りと仮定して安値試し優先へ切り替える。その際は先行スパン下限への下落を想定する。

60分足の相対力指数は26日深夜上昇から28日未明への高値更新時において指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっているので55ポイント割れからは逆行からの下落入りと仮定して40ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を113.50円、上値抵抗を114.00円とみておく。
(2)113.50円を割り込まない内は114円前後試しとするが、114円到達の場合は114円台序盤を反落警戒圏とし、113.70円割れからは下げ再開を警戒する。
(3)114円に到達せずに113.50円割れへ下落する場合は弱気サイクル入りと仮定してまず113.25円前後への下落を想定する。リスク回避的な円高が発生する場合、特に株安再燃の場合は113円前後試しまで下値目処を引き下げる。また113.50円以下での推移中は29日の日中にかけても安値を試しやすい状況が続くと考える。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

11/28(水)
ロシア、トルコ、イランがシリア情勢めぐり協議(カザフスタン・アスタナ、29日まで)
21:00 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 10.6、予想 10.5)
22:30 (米) 7-9月期GDP改定値 前期比年率 (速報値 3.5%、予想 3.5%)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (9月 55.3万件、予想 57.5万件)
24:00 (米) 11月 リッチモンド連銀製造業指数 (10月 15、予想 15)
26:00 (米) パウエル米FRB議長、講演

11/29(木)
G20財務相会議(アルゼンチン・ブエノスアイレス)
17:00 (欧) ドラギECB総裁、講演
17:55 (独) 11月 失業率 (10月 5.1%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 11月 経済信頼感 (10月 109.8、予想 109.1)
19:00 (欧) 11月 消費者信頼感・確定値 (速報 -3.9、予想 -3.9) 
22:00 (独) 11月 消費者物価指数・速報値 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 個人消費 前月比 (9月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.4万件、予想 22.0万件)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前月比 (9月 0.5%、予想 0.8%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
28:00 (米) クリーブランド、シカゴ、フィラデルフィア、ミネアポリス、ボストン、ダラス各連銀総裁が討論会参加

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