ドル円 世界連鎖株安不安再燃で一時112円割れ(10/24)

株安からの逃避買いで米国長期債が買われて長期債利回りは低下、リスク回避と米長期債利回り低下によりドル安円高反応となった。

ドル円 世界連鎖株安不安再燃で一時112円割れ(10/24)

【概況】

10月23日は午前から日経平均が予想外の大幅下落となり、前日まで2連騰していた上海総合株価指数も急落、さらにNYダウ先物もアジア時間に一段安したことで世界連鎖株安不安が再燃、株安からの逃避買いで米国長期債が買われて長期債利回りは低下、リスク回避と米長期債利回り低下によりドル安円高反応となった。
日経平均は前日比604円04銭(2.7%)安の2万2010.78円へ大幅下落して8月16日以来となる2万2000円割れとなった。上海総合株価指数は19日に発表されたGDPが予想を下回る鈍化となったことで年初来安値を更新したが中国人民銀行総裁や習主席のテコ入れ宣言で反騰して22日も大幅続伸していたのだが、23日は2.26%安と反落した。
NYダウも序盤には500ドルを超える下落で10月11日安値を割り込んだが、25000ドル割れは11日と同様に買い戻されて下落幅の過半を解消したが終値は125.98ドル(0.5%)安の25191.43ドルでマイナスのまま終了した。

【2月の円高株安時の教訓】

世界連鎖株安が1週する中でドル円は深夜に111.95円をつけて18日夜のNYダウ反落でつけた19日未明安値111.96円をわずかに割り込んだが、その後はNYダウ反発により112.50円手前まで戻した。
10月11日の世界連鎖株安では10月10日夜高値113.27円から11日午前安値111.97円までの下げ幅は1.30円。11日の株式市場続落による12日未明安値までの下げ幅は1.43円だった。今回は22日夜高値112.88円から1円弱の下落幅に止まっている。NYダウが大きく戻したためだが、日経平均も10月2日高値からの下落が二段下げに発展、NYダウも同様の二段下げに入っているため先行き不安はまだ継続しやすい状況と思われる。
日経平均の下落規模は今年1月23日天井からの下落時に近いと指摘したが、その時は2月14日安値まで3179円安、いったん戻してからの一段安で3月26日まで3782円安となった。今回の下落は10月23日時点で2455円であり、下落角度は1月から2月への下落時並の類似性を維持しているのでまだ下落余地が残る印象だ。3月26日に日経平均が底を打ち、ドル円も底打ちしたことを踏まえれば今回も株安が収まらない内はドル円の一段安懸念が払しょくできないということになるのではないか。

今回の株暴落は当初のきっかけが米長期債利回り急騰に対する懸念だったが、そこにサウジ情勢が加わってきた。(米国に自主亡命中だった)サウジの反体制派記者殺害事件がサウジの外交・経済への大きなマイナスとなりサウジの巨額投資マネーの先行き展開に不安をもたらし、サウジ関連株安、サウジとの共同投資関連への懸念が株安を助長している。日経平均の1月23日からの下落は3月26日まで2か月を要してようやく止まった。今回も同様規模の下落ないしは当時の規模を超える懸念もぬぐえないと思う。また米中貿易戦争問題も何ら解決が見えておらず、果たして中国当局が有効な株安対策を打ち出せるのかどうかも不透明だ。
日米通商協議に関する為替条項についても、まだ具体的な中身が見えないため日々のテーマとしてはいったん棚上げされているが、いずれ具体化してくるようだと強烈な円高要因になりかねないと注意すべきだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月19日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして23日から25日にかけての間への上昇を想定していたが、22日夜へ戻り高値を切り上げたものの113円に届かずに23日午前に失速し始めた。そのため23日朝時点では112.50円割れを弱気転換注意、112.30円割れからは弱気サイクル入りとして19日未明安値試しとし、さらに底割れからは24日未明から26日未明にかけての間への下落を想定するとした。

23日深夜安値で19日未明安値をわずかに割り込んだが、その後に112.50円手前まで戻しているので、23日深夜安値でボトムをつけた可能性がある。112.70円超えへ進めず、112.50円を超えても維持できない状況の内は112.25円割れから下げ再開として23日夜安値試しとし、安値更新からは24日夜、25日にかけての一段安を警戒する。112.70円を超え、その後も112.50円以上を維持して推移する場合は23日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りの可能性を優先して25日から29日にかけての間への上昇を想定する。その場合は22日高値超えから113円台序盤試しを想定するが、22日高値を超えない程度から反落して23日深夜安値を割り込む場合は60分足レベルの三尊天井形成となって弱気転換する可能性があると注意する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンが好転できず、先行スパンを上抜けずにいる。両スパン揃って好転からは上昇再開とみるが、揃って好転できずに転換線割れとなる場合は下げ再開注意とし、23日深夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日未明安値と23日深夜安値との間では(指数のボトムが切り上がる)強気逆行が見られていないため、60ポイント超えへ進めない内は40ポイント割れからの下げ再開懸念が残る。23日深夜安値割れの場合は指数のボトムが切り上がる強気逆行となるかどうかに注目する。

 以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.30円、次いで23日深夜安値111.95円を支持線とし、112.70円、次いで22日夜高値112.88円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円超えへ進めないか一時的に超えても維持できない内は112.30円割れからの下げ再開注意とし、112.30円割れからは23日深夜安値111.95円試しとし、底割れからは111.50円前後への下落と24日夜、25日朝にかけての一段安警戒とする。
(3)112.70円超えへ戻し、その後も112.50円以上を維持する内は三尊天井形成に注意しつつ22日夜高値試しへ向かうとみる。高値更新の場合は113.00円から113.25円にかけてのゾーンを試すとみる。22日夜高値超えへ進めずに112.30円割れまで失速する場合は三尊天井の右肩ないしはダブルトップ形成からの弱気転換注意とする。

【当面の主な予定】

10/24(水)
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 104.4)
16:30 (独) 10月 製造業PMI、速報値 (9月 53.7、予想 53.5)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI、速報値 (9月 55.9、予想 55.5)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI、速報値 (9月 53.2、予想 53.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI、速報値 (9月 54.7、予想 54.5)
22:00 (米) 8月 住宅価格指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.3%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC) 政策金利 (現行 1.50%、予想 1.75%)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 62.9万件、予想 62.5万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 3.5%、予想 -0.6%)
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:10 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

10/25(木)
06:45 (NZ) 9月 貿易収支 (8月 -14.84億NZドル、予想 -13.65億NZドル)
08:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
08:50 (日) 9月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (8月 1.3%、予想 1.2%)
15:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感指数 (10月 10.6、予想 10.5)
17:00 (独) 10月 IFO景況指数 (9月 103.7、予想 103.1)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 24.00%)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.3万件)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 4.5%、予想 -1.5%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.1%、予想 0.4%)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 -1.8%、予想 -0.1%)
25:15 (米) クラリダFRB副議長、講演

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