先週のようなレンジ取引続く可能性も(週報10月第4週)

先週のドル/円相場は、おおむね揉み合い。週間を通したレンジも、わずか1円強にとどまるなど目立った変動はうかがえなかった。

先週のようなレンジ取引続く可能性も(週報10月第4週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、おおむね揉み合い。週間を通したレンジも、わずか1円強にとどまるなど目立った変動はうかがえなかった。

前週末に、ムニューチン米財務長官から「貿易交渉で日本に為替条項要求へ」との発言が聞かれ、週明けから荒れ模様の値動きも懸念されるなか、ドル/円相場は112.10-15円で寄り付いた。これは、前週末のNYクローズと10ポイント程度しか変わらない水準。
そののち、112円を割り込み、週間安値である111.63円まで弱含むも続かず。むしろ、週の半ばにかけてはじり高となり、112.73円まで一時値を上げている。とは言え、週間を通した値幅は111.63-112.73円という、わずか1.10円。米株の動きなどを注視しつつ、週末のNYは112.50-55円で取引を終え越週となった。
なお、そうしたなかEU離脱交渉絡みの話題が多かった英ボンド、ならびにイタリアやドイツ、フランス情勢などが懸念されたユーロ、あるいはトルコリラなど欧州通貨が週間を通して活発な値動きをたどっていたようだ。

一方、週間を通して注目された材料は、「日米貿易問題」と「英国情勢」について。
前者は、単なる貿易問題だけでなく為替に波及することが懸念され、実際に前述した米財務長官のような発言も聞かれている。ただ、それに対し、茂木再生相は「為替は日米通商交渉の対象外」、麻生財務相も「日本の為替政策は米国に制約されるものでない」と真っ向反論していた。また、別途「日米貿易協定交渉、来年1月にも開始の見通し」との報道や、週の半ばには注目の「米為替報告書」が発表され、中国だけでなく日本やドイツ、インド、韓国なども「為替操作国認定」を取り敢えず免れている。
対して後者は、英国のEU離脱交渉をめぐる報道が連日相次ぎ、それに一喜一憂する展開。ただ、全体を通してみれば、「EU首席交渉官、英離脱交渉妥結にはさらに時間が必要」、「欧州議会議長、英国からの新提案はない」−−といった報道、メルケル独首相から「英の合意なし、EU離脱へ準備を開始」との発言などが観測されるなど、ややネガティブな要因が多かった印象だ。

<< 今週の見通し >>

10月3日の114.55円を高値に、先週初め15日には111.63円まで下押しするも攻めきれず。テクニカルには、重要なサポートである112円前後を「しっかり」と割り込めなかったばかりか、前記したザラ場安値は8月安値109.77円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しに当たるテクニカルポイント。つまり、下げ止まるところで下げ止まった感も否めないだろう。予断は許さないが、先週記録した111.63-112.73円の1.10円レンジを中心とした狭いボックス内での一進一退が目先は続く可能性を否定出来ないのかもしれない。
材料面では、米中間選挙まで1ヵ月を切り引き続き貿易問題についての懸念がくすぶるものの、「米為替報告書」も発表されたほか、最大の懸案事項である米中協議が実施される「米中首脳会談」は11月下旬(29日?)実施の公算が高まったとされ、目先は小康か。もっとも、逆に日米や日欧などの貿易問題に視点が移る可能性もあり、そうした意味では予断を許さないかもしれない。

テクニカルに見た場合、先週は週間を通して1.10円レンジにとどまるなど、短期的には方向性を喪失している感。予断は許さないが、今週も引き続き狭いレンジ内での取引が続く可能性を否定できず、まずは先週記録した111.63-112.73円をどちらに放れるのか、その方向性を注視したい。
上方向、目先高値を超えれば、移動平均の4週線や直近高値114.55円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しなどにあたる113.05円レベルがターゲットに。逆に下放れれば、日足・一目均衡表の先行帯の雲が位置する111円前半から半ばに向けた続落が予想されている。

一方、材料的に見た場合、10月のリッチモンド連銀景況指数や、7-9月期のGDP速報値といった重要な米経済指標が発表されるほか、米地区連銀総裁などによる講演も週間を通して相次ぐ。また、週末にかけては安倍首相の訪中、そして日中首脳会談なども予定されており、それらの内容にも一応要注意。
なお、そのほかでは「トルコにおける記者失踪事件」や「米大統領がロシアとの中距離核ミサイル(INF)条約離脱を表明」といった米国絡みで気掛かりなニュースも多いうえ、イタリアの財政問題や英国のEU離脱問題をはじめとする欧州情勢も波乱要因として引き続き注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.50-113.40円。ドル高・円安については、先週記録した直近高値112.73円が最初の抵抗で、超えれば113円台回復が見えてくる。具体的には113.05円レベルや113.60円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まずは112円前後の攻防が注視され、割り込めば先週安値の111.63円が視界内に捉えられそうだ。ただ、下方向のサポートは多く、底堅いイメージに変化はみられない。(了)

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