ドル円見通し株安不安再燃で反落 戻り一巡か(10/19)

18日夜にはNYダウが327.23ドル安と急落、ナスダック総合指数も157.56ポイント安と大幅下落したために世界連鎖株安不安が拭えないとしてリスク回避の円高感がぶり返し

ドル円見通し株安不安再燃で反落 戻り一巡か(10/19)

ドル円見通し株安不安再燃で反落 戻り一巡か

【概況】

10月4日高値114.54円からの下落が続いてきたが15日安値111.62円からはジリ高で戻し、株安不安がやや一服していたことで112円台を回復、18日午前には112.72円まで戻り高値を切り上げた。しかし18日の中国市場では上海総合株価指数が年初来安値を更新、4年ぶり安値へ下落し、ドル人民元も8月高値を更新して2017年1月天井に迫るドル高元安となり、日経平均も3日ぶりに反落したためにドル円の上昇も勢いを削がれた。
18日夜にはNYダウが327.23ドル安と急落、ナスダック総合指数も157.56ポイント安と大幅下落したために世界連鎖株安不安が拭えないとしてリスク回避の円高感がぶり返して深夜には111.96円まで下げた。イタリア財政問題や英国のEU離脱問題等への悲観的な流れでユーロやポンドが失速する等してドルストレートではドル高だったが、それ以上にクロス円でのリスク回避的円高が進んだ印象だ。

NYダウの反落はFOMC議事録公開で米連銀の利上げ継続姿勢が再認識されたことで米長期債利回りが上昇したこと、上海株安による米中貿易戦争問題への懸念、サウジ人ジャーナリスト失踪事件での米国とサウジの対立による中東情勢懸念も圧迫要因となっている。今年2月にも世界連鎖株安が発生したが暴落当初にいったん戻してから再び下落して凡そ2か月の株安基調が続いたことも記憶に新しいため、多少の反発を入れても先安不安が解消できないということだろう。

米国へ事実上亡命していたサウジ人ジャーナリスト失踪事件により米国とサウジの関係が悪化しているが、ムニューシン米財務長官はサウジで来週開かれる大規模な投資会議への出席を取り止めた。トランプ米大統領もサウジの関与が明らかになれば「非常に厳しい」対応を取ることを示唆した。サウジは先ごろに米国製兵器を大量購入しておりトランプ政権としてもサウジとの決定的な対立は避けたいところだろうが、人権問題が絡むと議会対策上も制裁的な姿勢を貫く必要に迫られる。サウジとの関係がこじれればイラン、シリア、ロシアも絡んで中東情勢が一挙に険悪化する可能性も警戒される。

18日夜に発表された米経済指標は概ね良好。米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万件と前週比5000件減少して市場予想の21万2000件を下回った。フィラデルフィア連銀の10月製造業景況指数は22.2となり前月の22.9から低下したが市場予想の20.0を上回った。米民間調査会社コンファレンス・ボードが発表した9月の景気先行指数は前月比0.5%上昇して市場予想平均と一致、前月の0.4%を上回った。

【2月の世界連鎖株安との比較】

10月2日に日経平均が1月天井を突破する高値をつけ、10月3日にはNYダウが史上最高値を更新したが、その後に世界連鎖株安商状に陥った。10月11日への下落規模等は同じく世界連鎖株安で急落した今年1月天井から3月末への下落当初に近い印象だ。日経平均は1月23日から3月26日までの下落で3782円安となった。NYダウは1月26日天井から2月9日まで暴落してから2月27日へいったん急反発したが4月2日へもう一段安となっている。いずれも出直りは3月末、4月からであり、2か月間の株安となった。
1月末から2月への株暴落時、ドル円は既に前年11月6日に天井をつけ、1月前半までは高値圏での持合いレベルに止まっていたが、株暴落をきっかけとして2月2日の戻り高値110.47円から3月26日大底の104.63円まで5.84円の下落幅となった。11月天井からは5か月弱で10.09円の下落幅だった。日経平均が3月26日に底を打って反騰に転じると、同日からドル円もその後の大上昇へと進んでいる。今回も世界連鎖株安不安が払しょくされないうちは2月から3月への株安時と同様の展開になりかねないと注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月4日高値以降の連続的な弱気サイクルが続いてきたが、15日夕刻安値から2日間にわたってジリ高が継続したために17日朝時点では15日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、今回の高値形成期を17日の日中から17日夜にかけての間と仮定した。また直前8日間の下落からの出直りとしてサイクルトップ形成が延長される可能性もあるとし、18日から19日にかけての間はサイクルトップ形成の延長期となる可能性があるとしたが、17日深夜安値112.01円割れからは弱気サイクル入りとした。18日深夜の反落で17日深夜安値を割り込んだため18日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。今回の安値形成期は18日夜から22日夜にかけての間と想定されるので、早ければ19日の反騰で新たな強気サイクル入りへ進む可能性もあるが、18日午前高値を超えない内は19日夜、週明けへの一段安余地ありと考える。

60分足の一目均衡表では18日深夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからもいったん転落したが、その後は先行スパンの下限に張り付いている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは強気転換注意として遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日午前に70ポイントを超えてから反落して30ポイント台まで下げた。19日午前はやや戻しているが50ポイント超えへ進めない内は30ポイント割れを試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、19日未明安値111.96円を支持線、112.50円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円を下回る内は19日未明安値割れからの一段安警戒とし、安値更新からは15日安値111.62円試し、さらに底割れの場合は111円台序盤試しへ向かうとみる。また112円以下での推移が続く内は週明けも安値を試しやすいとみる。
(3)112.50円超えからは強気転換注意として18日午前高値112.72円試しとするが、高値更新できずに112.30円割れとなる場合は下げ再開を疑う。18日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして113円試しを想定する。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

10/19(金)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数 前年同月比 (8月 1.3%、予想 1.3%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.9%、予想 1.0%)
11:00 (中) 7-9月期GDP 前年同期比 (前期 6.7%)
11:00 (中) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 9.0%)
11:00 (中) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 6.1%)
15:35 (日) 黒田東彦日銀総裁、全国信用組合大会で挨拶
17:00 (欧) 8月 経常収支 (7月 213億ユーロ)
22:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (8月 534万件、予想 529万件)
24:30 (英) カーニー英中銀総裁、講演
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
25:45 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

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