ドル円見通し 昨年11月天井以来の114円台到達(10/2)

米トランプ米政権は9月30日にNAFTA再交渉でカナダと合意したと発表した。メキシコとはすでに合意しており、3カ国協定の枠組みを維持して

ドル円見通し 昨年11月天井以来の114円台到達(10/2)

ドル円見通し 昨年11月天井以来の114円台到達

【概況】

イタリア財政懸念によるユーロ安やFOMC後の12月利上げ及び2019年の利上げ継続姿勢を背景としたドル高により9月27日夜には7月19日高値を突破して3月26日以降の上昇が三段上げ型に発展した。
26日の日米首脳会談での二国間交渉入りによる先行き不安はあるものの当面は自動車関税発動が見送られたことや為替水準への公の牽制がなかったことも安心を誘って株高となり、株高と円安が相乗効果となってドル円を押し上げた印象だ。
週明けも高値追及の流れは継続しており、1日夕刻には昨年11月天井以来の114円に到達、深夜には114.05円の高値を付けた。その後は新たな高値更新に至っていないものの114円手前の高値圏を維持しており、高値追及の流れをさらに継続しそうな状況となっている。

米サプライ管理協会(ISM)が発表した9月の米製造業景況指数は59.8となり8月の61.3から低下し、市場予想の60.1も下回ったが市場の反応は限定的だった。

【日米株高の流れ】

米トランプ米政権は9月30日にNAFTA再交渉でカナダと合意したと発表した。メキシコとはすでに合意しており、3カ国協定の枠組みを維持して11月末には新協定に署名する見通しとなった。これを好感して日経平均は週末の323.3円高の大幅上昇からさらに125.72円高と続伸、高値では24123.5円を付けて3月以降の高値及びバブル崩壊以降の戻り高値を更新した。10月1日夜のNYダウも192.90ドル高と大幅上昇、高値では26737.98ドルを付けて9月21日の26769.16ドルでの史上最高値に迫っている。中国市場が国慶節で丸1週間の休場となるため上海株及び人民元動向は棚上げとなっているので、北米の貿易戦争問題における懸念後退は米国株高とドル高を助長しやすい。また株高は逆相関にある米国債売りとなるため、米長期金利上昇により日米長期金利差の拡大基調継続としてドル高円安を助長しやすい。米10年債は0.02%上昇の3.08%となり3%台の高水準を維持している。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「追加利上げは不要」と討論会で述べたが、ボストン連銀のローゼングレン総裁は講演で「少し引き締めになるまで緩やかな利上げを継続することが適切」と発言している。先のFOMCでは2020年までの利上げで利上げサイクルが一巡する見通しも示されたが、今年12月の利上げはほぼ確実視されて市場の利上げ予想確率も8割を超えている。また2019年も3回ないし4回の利上げが行われること、米国景気の強さが継続する中では緩やかな長期金利上昇も並行することはドル高株高基調を維持しやすくなってゆく。ただし貿易戦争問題では人民元安やユーロ安がトランプ大統領によって厳しく批判されたように、過度に円安が進行する場合はなにがしかの圧力が出てくる可能性もあるので慎重に見てゆく必要はあると思う。

【60分足 サイクル・一目均衡表分析】

【60分足 サイクル・一目均衡表分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは9月27日午後安値を直近のサイクルボトムとし、27日未明高値を上抜いて強気サイクル入りとなっている。今回の高値形成期は10月2日未明から4日未明にかけての間と想定され、すでに前回サイクルトップから3日を経過しているので反落注意期に入っているものの2日夜、3日にかけては米景気指標での弱気サプライズが連発しない限りはまだ高値追及しやすい時間帯と思われる。ただし5日の米雇用統計前の段階ではポジション調整的に下落しやすい時間帯となるのではないかと思われる。

60分足の一目均衡表では27日の一段高から遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた状況を維持している。高値更新が続かなくなると遅行スパンが悪化しやすくなるが、好転中は高値試し優先とみる。遅行スパン悪化からは先行スパンに潜り込む下落へ向かいやすくなるとみるが、先行スパンから転落するような下げは雇用統計を弱気反応する場合ではないかと思われる。

60分足の相対力指数は1日の日中上昇で78.2ポイントまで上昇したが、その後の高値更新では指数のピークが切り下がっているので弱気逆行注意となっている。50ポイント割れに至らないうちは高値更新で70ポイント超えへ進む可能性ありだが、その時点で弱気逆行がみられる場合は調整安入り警戒と考える。


以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.70円を支持線として高値試しを続けやすいとみる。
(2)上値抵抗は昨年11月天井の114.72円だが、これを超えへ進むには週末の米雇用統計等を強気で通過してゆく必要があると思われるので、当面は114円台前半まででいったん調整安を入れやすいと注意、114.50円以上は反落警戒とする。
(3)113.70円割れから続落し始める場合はいったん調整安入りと仮定して113.50円か113.35円あたりまでの下落を想定する。113.50円以下は反発注意とし、113.70円超えからは上昇再開の可能性を優先する。(了)<8:30執筆>

【当面の主な予定】

10/2(火)
休 場 (中) 国慶節
休 場 (印) マハトマガンジー生誕日
13:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表 (現行 1.50%、予想 1.50%)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.4%、予想 0.2%) 
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 4.0%、予想 3.8%)
23:00 (米) クオールズFRB副議長、上院銀行委員会証言
25:00 (米) パウエルFRB議長、講演
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

10/3(水)
休 場 (中) 国慶節
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -5.2%、予想 1.0%)
16:55 (独) 9月 サービス業PMI、改定値 (速報 56.5、予想 56.5)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI、改定値 (速報 54.7、予想 54.7)
17:30 (英) 9月 サービスPMI (8月 54.3、予想 54.0)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 1.1%、予想 1.7%)
19:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演(ロンドン)
21:05 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (8月 16.3万人、予想 18.5万人)
23:00 (米) 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 58.5、予想 58.0)
27:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
27:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
29:00 (米) パウエルFRB議長、講演

オーダー/ポジション状況

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