ドル円全面高で21日安値からのリバウンド続く(8/24)

8月21日安値から反発してきたが、ドル全面高を背景に23日も続伸、深夜には111円を突破して24日早朝には15日高値111.42円に迫っている。

ドル円全面高で21日安値からのリバウンド続く(8/24)

【概況】

8月21日安値から反発してきたが、ドル全面高を背景に23日も続伸、深夜には111円を突破して24日早朝には15日高値111.42円に迫っている。

米中は商務次官級の通商協議を行っていたが、日本時間23日午後からは米国が160億ドル規模の関税強化を発動、中国側も即座に同規模の対抗関税を発動させた。米国は500億ドル規模の中国製品に対して知的財産権侵害等を根拠に税率を25%へ引き上げる制裁関税を導入、このうちの340億ドル規模への関税を7月に発動し、中国も同規模の対抗関税を発動させた。23日は残りの160億ドルに対する発動となったが、予定通りに行われて中国側も即座に同規模の対抗関税を発動してWTOに提訴した。米中の次官級協議からの楽観的な見通しが出ないままに予定通りに発動されたことでドル人民元は6日ぶりに反騰、新興国通貨安もぶり返し、特にロシアルーブルは2年4か月振り安値へと下落した。

23日午前には豪政権で閣僚辞任が相次いだことをきっかけに豪ドルが下落したが、ユーロ、ポンド等も下落に転じたためにメジャー通貨に対してもドル全面高の様相となりドル円も上昇を継続した。

23日未明のFOMC議事録公開内容は市場の予想通りでサプライズはなかったが、年内にあと2回の利上げ姿勢が再確認される印象となったためにドル高感が徐々に強まった。また23日夜には米カンザスシティー連銀のジョージ総裁がブルームバーグTVで「年内あと2回の利上げが適切」と述べ、CNBCテレビのインタビューで「この政権では高い金利に対する不安は珍しいことではない」とトランプ大統領による連銀批判をあしらったため、24日深夜のパウエル米連銀議長によるジャクソンホール講演もトランプ発言に影響されずに利上げ姿勢を堅持する内容になるとの見方が強まりドル高を助長した。

米中貿易戦争問題では、6月に劉副首相とロス商務長官による閣僚級協議が行われて摩擦解消への合意形成へ向かったが、トランプ大統領が強硬姿勢を貫いて500億ドル規模の関税導入を決定し、500億ドル規模の対象の他に2000億ドル規模へと制裁対象を拡大することが計画され始めたために6月15日から人民元安が加速、貿易戦争全面化リスクが拡大してきた。この米中貿易戦争全面化問題は貿易戦争を仕掛けた米国有利な状況と先行き不透明感による投機マネーの還流によりドル高を招いてきた。
米国のトルコ制裁等も影響して人民元安だけでなく新興国通貨安も拡大してきたが、8月16日以降は新興国通貨安も一服していた。今週はトルコ市場が休場となってリラ暴落も落ち着いた状況となっているのだが人民元安再開をきっかけに再び新興国通貨安継続への不安が拡大してきた印象もある。新興国通貨安はリスク回避による円高要因となるが、今のところはドル全面高が勝っている印象だ。

【日足は3日連続陽線=赤三兵で26日、52日移動平均を上抜き返す】

8月13日への下落で110.10円まで下げて7月26日安値を割り込み、8月21日安値ではさらに109.77円まで下落して8月13日安値を割り込んだ。その段階では7月19日高値を当面の天井とし、8月1日高値からは二段目の下落入りとして下落基調が続きやすい状況に入っていたが、21日安値からの反発が23日夜も継続して111円台を回復、24日早朝時点では8月15日高値に迫っている。
上昇規模は8月13日から15日への2日間で1.33円幅したレベルを超えて3日目に入っている。また8月1日高値と8月15日高値を結んだ抵抗線を突破し、日足レベルでも3日連続陽線=赤三兵により26日移動平均及び52日移動平均を上抜き返してきた。このため8月21日安値を当面の底として戻り高値を試す状況がさらに継続する可能性も出てきた印象だ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月17日未明高値をサイクルトップとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定していたが、15日深夜安値から3日半となる21日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りし、今回のトップ形成期を22日から24日にかけての間と想定した。22日午前へいったん反落したが切り返して23日午前には戻り高値を切り上げたため23日午前時点ではまだ上昇余地ありとした。23日夜、24日早朝へと続伸しているためまだトップ形成中とみるが、17日未明高値からはすでに5日を経過しているのでサイクルトップ形成の延長に入っている。111円台を維持するうちは上昇継続余地ありとするが、111円割れないしは直前高値から0.50円以上の反落となるところからは下落再開と仮定して24日午後から28日午前にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を111.00円、上値抵抗線を111.50円とみておく。
(2)111円を上回るうちは上昇余地ありとし、111.50円越えからは111.70円から112円手前への上昇を想定するが、111.70円以上は反落警戒とみる。
(3)111円割れからは弱気サイクル入りと仮定して110.50円前後試しを想定する。24日夜にかけて下落している場合は25日未明から週明け朝への続落を警戒して下値目途を110円台序盤まで引き下げる。(了)<8:35執筆>

【当面の主な予定】

8/24(金)
トルコ休場
15:00 (独) 4-6月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (独) 4-6月期GDP、改定値 前年同期比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 0.8%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.2%、予想 0.5%)
22:00 (米) カンザスシティー連銀主催ジャクソンホール年次シンポジウム
23:00 (米) パウエル米FRB議長、講演(ジャクソンホール)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る