ドル円 リバウンド続くが戻りは限定的か(8/23)

8月13日安値110.10円から15日高値111.42円まで戻したがその後は新興国通貨安や米中貿易戦争拡大懸念等で失速した。

ドル円 リバウンド続くが戻りは限定的か(8/23)

ドル円 リバウンド続くが戻りは限定的か

8月13日安値110.10円から15日高値111.42円まで戻したがその後は新興国通貨安や米中貿易戦争拡大懸念等で失速した。16日午前には米中商務次官級協議が開催されるとの報道でそれまで米中問題を嫌気して下落してきた国際商品市場が軒並み上昇に転じたが、リスク選好によるドル円の上昇は限定的で、17日未明に111.12円まで戻してからの下落で21日には109.77円まで下げて13日安値を割り込んだ。
110円割れに対する突っ込み警戒感から21日夜には戻したが、110.50円を超えるところでは戻り売りに押された。22日午前には110.00円まで下げたが新たな底割れは回避し、22日深夜には110.61円まで戻して21日深夜高値をわずかに上抜いた。

7月23日から24日にかけての米中次官級協議がどう進展するのかが市場の焦点だが、21日にはトランプ大統領の大統領選挙中の選対議長だったマナフォート氏が脱税や銀行詐欺などで有罪評決を受けたが22日には大統領の元個人弁護士であるマイケル・コーエン氏がトランプ氏の指示で不倫関係女性に口止め料を支払い選挙資金法に違反していたことを認める供述を行ったことが報じられたことも加わってドル売り材料となったが、ドル円への影響は限定的だった。

【FOMC議事録は想定内】

23日未明には米連銀(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)7月31日から8月1日の会合分の議事録が公開されたが、内容には特に新鮮味はなく、サプライズ無しとして市場の反応は限定的だった。
議事録では多くの参加者が景気拡大が続けば「近く追加利上げが適切になる公算が大きい」とし、9月会合での利上げはほぼ確実な印象を与えた。ただ貿易戦争などが景気の先行きに不確実性とリスクをもたらし、摩擦が長期化すれば企業投資や雇用など実体経済に悪影響が出るとの認識を示した。また一部の参加者は、適切な金融政策の決定の障害になると発言していた。また昨年から開始したFRB保有資産の圧縮についてパウエル議長がどこまで規模を減らすかの議論を秋に始めるよう提案した。
総じて市場の予想通りであり、9月の利上げはほぼ確実視され、12月についても6割以上の確率という市場の見方は変わらないようだ。

【FOMC議事録は想定内】

23日未明には米連銀(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)7月31日から8月1日の会合分の議事録が公開されたが、内容には特に新鮮味はなく、サプライズ無しとして市場の反応は限定的だった。
議事録では多くの参加者が景気拡大が続けば「近く追加利上げが適切になる公算が大きい」とし、9月会合での利上げはほぼ確実な印象を与えた。ただ貿易戦争などが景気の先行きに不確実性とリスクをもたらし、摩擦が長期化すれば企業投資や雇用など実体経済に悪影響が出るとの認識を示した。また一部の参加者は、適切な金融政策の決定の障害になると発言していた。また昨年から開始したFRB保有資産の圧縮についてパウエル議長がどこまで規模を減らすかの議論を秋に始めるよう提案した。
総じて市場の予想通りであり、9月の利上げはほぼ確実視され、12月についても6割以上の確率という市場の見方は変わらないようだ。

【米中関税合戦第二弾開始】

米国は米東部時間23日午前0時(日本時間同日午後1時)から中国による知的財産権侵害を理由とする制裁関税の第2弾(総額160億ドル規模)を発動する。これまでに500億ドル規模の中国製品を対象とした関税強化が決定されており、既に7月6日には340億ドル規模の関税適用が発動済となっており、今回はその残り分が発動される。中国側も同規模の対抗関税を発動する見込みだ。
一方で8月23日から24日には米中の次官級協議が始まる。11月の米中首脳会談実現や、米国がさらに拡大を警戒している中国への関税強化を避けることができるのかどうか市場も注目している。因みにトランプ大統領は2000億ドル規模の追加制裁関税の導入を計画し、米USTRは米国企業への影響調査を目的とした公聴会を8月20日から開始している。大統領は以前には総額で5000億ドル規模まで拡大する可能性もあるとちらつかせたこともある。
まずは米中双方の23日からの関税発動に関する要人発言等も対決色を濃くするものになるのかどうか注目し、次官級協議1日目の動向を見定めるという流れになろうか。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月15日深夜安値を前回のサイクルボトム、17日未明高値を同サイクルトップとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定していたが、21日午前安値からの反騰により22日午前時点では15日深夜安値から3日半となる21日午前安値を直近のサイクルボトムと仮定し、今回のトップ形成期を22日から24日にかけての間と想定した。22日午前へいったん反落したが切り返して23日午前には戻り高値を切り上げているのでまだ上昇余地ありとみるが、前回サイクルトップの17日未明高値からは4日を経過したのでトップアウト警戒期とし、110.25円割れないしは直前高値から0.50円以上の下落となるところからは弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる24日から28日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では22日深夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りの可能性を踏まえて先行スパン下限試しとし、先行スパンン転落からは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

21日午前安値からは二段上げ型で戻しているので、一段目と同レベルのN字型二段上昇ならN=110.77円、22日午前への下げ幅の倍返しならV=111.08円前後が上値計算値として意識される。また8月1日高値と15日高値を結ぶ抵抗線は111円前後に来ている。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を110.50円、次いで110.25円、上値抵抗線を110.77円、次いで111.08円から17日未明高値111.12円とみておく。
(2)110.50円を上回る内は上昇余地ありとするが、110.77円以上は反落警戒圏とみる。
(3)110.50円割れを弱気転換注意、110.25円割れからは弱気サイクル入りと仮定して21日安値109.77円試しへ向かいやすくなるとみる。110.25円以下での推移が続く内は下向きとし、21日安値割れの場合は109.50円から109.25円にかけてのゾーンを試して行くとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

8/23(木)
トルコ休場
米国の対中国制裁関税第2弾(160億ドル相当)発動、中国の同規模報復措置実施
米中商務次官級通商協議

14:00 (日) 6月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 105.2)
16:30 (独) 8月 製造業PMI、速報値 (7月 56.9、予想 56.5)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI、速報値 (7月 54.1、予想 54.3)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI、速報値 (7月 55.1、予想 55.2)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI、速報値 (7月 54.2、予想 54.4)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件、予想 21.5)
22:00 (米) 6月 住宅価格指数 前月比 (5月 0.2%、予想 0.3%)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (6月 63.1万件、予想 64.8万件)
23:00 (米) 7月 新築住宅販売件数 前月比 (6月 -5.3%、予想 2.7%)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感 速報値 (7月 -0.6、予想 -0.7)

8/24(金)
トルコ休場
米中商務次官級通商協議
07:45 (NZ) 7月 貿易収支 (6月 -1.13億NZドル、予想 4.00億NZドル)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数 前年同月比 (6月 0.7%、予想 1.0%)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 0.8%、予想 0.9%)
15:00 (独) 4-6月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (独) 4-6月期GDP、改定値 前年同期比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 0.8%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.2%、予想 0.5%)
22:00 (米) カンザスシティー連銀主催ジャクソンホール年次シンポジウム
23:00 (米) パウエル米FRB議長、講演(ジャクソンホール)

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