ドル円見通し8月1日からは三角持ち合い放れ攻防(8/8)

安値も8月2日夜111.31円、3日深夜111.10円、7日夜110.99円と切り下がってきている。7日夜への反発では戻り高値が111.47円にとどまって6日夜高値を上抜けずにいる。

ドル円見通し8月1日からは三角持ち合い放れ攻防(8/8)

【概況】

7月31日の日銀金融政策発表後の上昇から8月1日には112.15円の高値を付けたが、その後は失速しており、戻り高値は8月3日111.87円、6日夜111.52円と切り下がり、安値も8月2日夜111.31円、3日深夜111.10円、7日夜110.99円と切り下がってきている。7日夜への反発では戻り高値が111.47円にとどまって6日夜高値を上抜けずにいる。
7月26日安値110.59円と7月31日安値110.75円を結んだ下値支持線に対しては7日夜の安値で若干割り込んでいるがその後に戻しているために徳俵で残ったという状況と思われるが、次の安値更新からは支持線割れとして7月26日安値試し、さらに底割れによる一段安へと進みかねないところにある。しかしこの支持線とともに、8月1日以降の高値切り下がりラインを抵抗線とすれば三角持ち合いであり、111.52円を超えてくると持ち合い上放れ型となって上昇再開感も強まりやすい。つまり現状は三角持ち合いの終点に近いところでの強弱感の煮詰まりであり、きっかけ次第では上昇再開へ向かう可能性も、底割れ一段安へ進む可能性も合わせ持っている状況と言えそうだ。

【米、対中国制裁関税拡大】

日銀の「長期金利上昇を一定容認するも国債買い入れで抑え込み、金融緩和を継続する」姿勢が7月31日から8月1日への上昇要因だったが、それ以上に貿易戦争問題、中東情勢、欧州情勢等でのリスク回避感が勝って下落してきた状況と思われる。
8月7日はドル人民元が下落したことがユーロ、円等にも波及したことで円高ドル安となった。中国の外貨準備高が予想外に増えたこと、中国通貨当局が「人民元の変動が高まった」と発言したことで介入警戒感を抱かせたこと、中国政府が大規模な景気てこ入れへ動くのではないかとの期待。この3点から前日までは4日間大幅下落していた上海総合株価指数が反騰したことなどが人民元の反発要因だった。

しかし米中貿易戦争全面化はまだ解決の糸口が見えない。米通商代表部(USTR)は7日、制裁関税の第二弾として8月23日から160億ドル相当の中国製品に25%の関税を上乗せすると発表した。米政権は7月6日に制裁関税の第一弾となる自動車、情報通信機器など818品目、340億ドル相当に25%の追加関税を発動した。今回はその第二弾であり、合わせて総額500億ドルとなる。これらとは別に総額2000億ドル規模に対する制裁関税を9月から実施する方針を示している。
米国によるトルコへの制裁問題、イラン核合意離脱による制裁再開も含め、米国の米国第一主義、保護主義を背景とした世界レベルでの通商摩擦、貿易戦争問題がエスカレートしている。市場は過剰に悲観した後にやや楽観を取り戻してはいるが、この問題はまだまだ継続的であり、金融市場全般をさらに混迷化させかねないと懸念される。今のところは中東での有事リスクについては原油相場上昇を引き起こしているものの株式市場全体への影響は限定的だ。しかしイラン動向次第では制裁問題から有事リスクへと発展しかねない点も押さえておきたい。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルで見ると、7月31日安値から3日目の8月3日深夜安値で直近の安値を付けて戻しに入ったが、7日夜の下落で3日深夜安値を割り込んだため、現状は底割れにより新たな弱気サイクルに入っている可能性がある。6日夜高値111.52円を超えないうちは次の安値形成期となる8日夜から10日夜にかけての間へ下落継続しやすい状況と思われる。ただし三角持ち合い型を形成しているため、サイクルが短縮される可能性もあり、6日夜高値111.52円を超えてくる場合は7日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとなる可能性があるので、その場合は8月3日夕高値を基準として8日夕から10日夕にかけての間へ上昇継続しやすくなると改める。

60分足の一目均衡表では7日夜の反発では先行スパンを上抜け切れずにいる。6日夜高値111.52円を超えて続伸なら先行スパン突破、遅行スパン好転も揃うために上昇再開と仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先と考えるが、111.52円を超えないうちは下向きとし、111.20円割れの場合は基準線割れを伴うので下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
(1)当初、111.20円を支持線、6日夜高値111.52円を抵抗とみておく。
(2)111.20円を上回るか、一時的に割り込んでも回復して111.52円を超えてくる場合は7日夜安値をサイクルボトムとした上昇期入りと仮定して3日高値111.87円前後試しを想定する。また8日夜へ上昇継続の場合は8月1日以降の三角持ち合い上放れにより、8月1日高値112.15円試しまで上値目途が切り上がる可能性ありとみる。
(3)111.20円割れからは下げ再開と仮定して7日夜安値110.99円試しとし、底割れからは三角持ち合い下放れと仮定してまず7月26日安値110.59円試しへ向かうとみる。さらに8日夜へ安値更新の場合は110円前後試しまで下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

8/8(水)
未 定 (中) 7月 貿易収支 米ドル (6月 416.1億ドル、予想 387.5億ドル)
未 定 (中) 7月 貿易収支 人民元 (6月 2618.8億元)
08:50 (日) 6月 国際収支・経常収支 (5月 1兆9383億円、予想 1兆1958億円)
08:50 (日) 6月 国際収支・貿易収支 (5月 -3038億円、予想 8220億円)

8/9(木)
シンガポール、南ア休場
06:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.75%、予想 据え置き)
08:50 (日) 7月 マネーストックM2 前年同月比 (6月 3.2%、予想 3.1%)
08:50 (日) 6月 機械受注 前年同月比 (5月 16.5%、予想 9.5%)
10:30 (中) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 4.7%、予想 4.4%)
10:30 (中) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 1.9%、予想 2.0%)
17:00 (欧) 欧州中央銀行(ECB)月報
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 生産者物価指数 前年同月比 (6月 3.4%、予想 3.4%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 生産者物価コア指数 前年同月比 (6月 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 22.0万件)
23:00 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 0.6%、予想 0.0%)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る