ポンド安・ユーロ安が進むがドル円は揉み合い(8/3)

2日の日中は111.50円を支持線とした揉み合いで推移し、2日夜には111.314円まで安値を若干切り下げたが111円台半ばまで戻した。

ポンド安・ユーロ安が進むがドル円は揉み合い(8/3)

【概況】

7月31日午後の日銀金融政策決定会合では政策金利は据え置かれたが、長期金利の上昇を一定程度容認し、金利上昇場面では国債買い入れで抑制するという金融緩和政策継続姿勢が示された。金融緩和の限界も意識される内容だったがそれでも緩和政策を継続する姿勢が強調されたことで発表後は円安となり、31日深夜には112円へ迫り、8月1日午後には112.15円まで上昇した。しかしその後は上昇感一巡となり、市場の関心は米中貿易戦争の全面化への懸念となり、1日夜からはユーロ安ドル高とともにドル円も下落、2日未明には111.39円まで下げた。2日の日中は111.50円を支持線とした揉み合いで推移し、2日夜には111.314円まで安値を若干切り下げたが111円台半ばまで戻した。

8月2日未明に発表された米連銀のFOMC声明では政策金利を年1.75〜2.00%に据え置いて現状維持としたが、 景気判断を「強固なペースで拡大」として6月の「強いペースで拡大」から上方修正し、利上げ継続姿勢を示した。市場は9月会合での利上げをほぼ確実視しており、12月利上げの可能性も高いと見てきたため今回の内容には特段のサプライズはなかったが、ECBや日銀の金融政策正常化が遅れる中での利上げ継続感はドル高要因となっている。ただし、前日に日銀が日本の長期金利上昇を一定容認せざるを得ないとしたことで日本10年債利回りが上昇しているため、ドル円にとっては米連銀の利上げ姿勢と日本10年債利回り上昇が強弱相殺となってドル円上昇要因にはストレートに結びついていない。

8月2日に米通商代表部(USTR)はトランプ大統領の指示により中国製品2000億ドル相当への制裁関税についてこれまで示してきた10%の追加関税からさらに25%へと引き上げる方針と報じられた。中国側は米国の脅しに対抗する準備ができているとこれを非難している。
米中貿易戦争の全面化への懸念により上海総合株価指数は8月1日に1.8%安、2日も一時は3%を超える大幅下落となり、終値でも2.0%安となった。ドル/人民元も2日午前の中国人民銀行による基準値は前日比で元高ドル安に設定されたがその後の取引でドル高元安が進み、高値では6.85ドルまで上昇して年初来高値を更新した。

英中銀(BOE)は2日夜金融政策委員会(MPC)で政策金利を従来の0.5%から0.75%へ引き上げたが、量的緩和政策としての資産購入プログラム規模を4350憶ポンドに据え置いた。いずれも市場の予想通りだったが、英ポンドは発表後にいったん上昇したものの買い一巡から反落して発表前水準を下回っている。量的緩和規模の継続に対するポンド売りという印象だ。またユーロもポンド安に同調して下落した。
メジャー通貨、対人民元でのドル高感が強まったもののドル円は上昇できなかった。米中貿易戦争問題の先行き不透明感がリスク回避感を強めていることがドル円上昇にブレーキをかけている印象だ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月31日の日銀金融政策発表後の上昇で7月27日未明高値を上抜いたため、31日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルに入っていたが、1日夜の下落で0.50円以上の反落となったために2日朝時点では1日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また次の安値形成期を3日から7日にかけての間と想定し、1日夕高値を上抜けない内は一段安警戒として2日夜から3日にかけては続落しやすいとした。2日夜へ安値を切り下げ、その後はやや戻しているが1日夕高値を超えていないため、まだ一段安余地ありとみる。1日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとして6日から8日にかけての間への上昇を想定する。8月3日午後で前回ボトムからは3日を経過するので、3日夜の米雇用統計等から上昇に転じる可能性もあるが、雇用統計後に下落の場合は週明けへと下落基調が継続しやすくなると思われる。

60分足の一目均衡表では1日夜の下落で遅行スパンが悪化したが、3日未明への小反発で好転している。2日夜には先行スパンから転落したがその後は再び潜り込んでいる。先行スパンを上抜き返す場合は1日夕高値試しへ向かう可能性ありとし、1日夕高値越えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。1日夕高値を上抜けないうちは2日夜安値割れから両スパンそろっての悪化が顕著となるので安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2日夜に30ポイント台へ下落、3日未明には50ポイント台を回復しているが、まだ強気逆行等は見られないため、60ポイント以上での推移に入る場合は上向き、40ポイント割れからは一段安注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月2日夜安値111.31円を支持線、111.75円から112円手前までを抵抗帯とみておく。
(2)111.50円以上を維持する内は111.75円超えから112円手前を試す可能性ありとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし112円越えからは1日夕高値112.15円試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとみなして112.50円以上への上昇を想定する。米雇用統計から急騰の場合は113円を目指す上昇へ進む可能性にも注意する。
(3)111.31円割れからは一段安入りとして111.00円、さらに31日午後安値110.75円試しへ向かうとみる。110.70円台は突っ込み警戒、反騰注意とするが、3日夜に急落商状発生の場合は110.50円以下への下落を想定し、さらに週明けも続落しやすいと注意する。

【当面の主な予定】

8/3(金)
10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
10:45 (中) 7月 財新サービス業PMI (6月 53.9 )
16:55 (独) 7月 サービス業PMI、改定値 (速報 54.4、予想 54.4)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI、改定値 (速報 54.4、予想 54.4)
17:30 (英) 7月 サービス業PMI (6月 55.1、予想 54.7)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.0%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前年比 (5月 1.4%)
21:30 (米) 6月 貿易収支 (5月 -431億ドル、予想 -431億ドル)
21:30 (米) 7月 非農業部門雇用者数 前月比 (6月 21.3万人、予想 19.5万人)
21:30 (米) 7月 失業率 (6月 4.0%、予想 3.9%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前月比 (6月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前年比 (6月 2.7%、予想 2.7%)
23:00 (米) 7月 ISM非製造業景況指数 (6月 59.1、予想 59.0)

オーダー/ポジション状況

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