<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは、一時113円台を示現し年初来高値113.39円に接近するも続かず。週末にかけて111円半ばまで、大きく値を崩している。
前週末にかけて米英首脳の会談が実施され、関係修復報道なども観測されたが、為替市場は静かなスタート。ドル/円は112.20円レベルと前週末のNYクローズと大差ないレベルで寄り付いたほか、ポンド絡みの通貨ペアも動意は限られた。
ドル/円は当初じり高に推移、前週記録した戻り高値112.80円を超えると113.17円まで値を上げる展開に。しかし、トランプ米大統領から「強いドルは米国を不利な立場に置く」としたドル高けん制発言、「口先介入」が聞かれたことで流れが変わると、週末にかけて一気に111円台まで値を下げている。結局、週末のNYは111.45-50円で取引を終え、越週となった。
一方、週間を通して注目された材料は、週末に実施される「G20財務相・中銀総裁会合と、それに絡めた米貿易戦争懸念」関連のニュースなどについて。
週の初めには、米通商代表部(USTR)が「中国、EUなど5ヵ国・地域について世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを始めた」と発表するなか、その後も「G20で貿易障壁について議論」、「トランプ米大統領、メキシコと個別に通商協定模索の可能性示唆」、「米自動車業界が団結、トランプ氏に関税案の撤回要求」(WSJ紙)、「マルムストローム欧州委員が、自動車関税めぐる米報復関税を準備中と発言」、「米商務省主催の自動車・同部品の輸入制限をめぐる公聴会で、参加者からは反対論が続出」−−といった報道や発言が相次いでいる。また、そのほか「パウエルFRB議長が半期に一度の議会証言」を実施したが、そのなかで「貿易障壁は賃金と成長を脅かす」と述べ、トランプ政権に対し、やんわりとクギを刺していた。
<< 今週の見通し >>
先週達成したドル高値113.17円まで、一連のドル上昇の起点をどこからとるのかによるが、仮に5月安値108.11円だったとしても、その後の下落幅は先週末段階でわずか30%程度に過ぎない。これは飽くまでも調整の範囲内。ドル高基調が終焉し、ドル安基調転換したと言うにはまだ早計だろう。テクニカル面から、基調転換を指摘するには最低でも前述した上げ幅の半値押し(110.65円レベル)程度の下げが欲しいところだ。ただし、ドルの上値を積極的に買いにくくなったことは確かで、今週も引き続き頭の重い状況が続く可能性もある。
なお、調べてみると、昨年7月8日に実施された日米首脳会談でトランプ氏が「米国に対日赤字という課題がある」と言及した際の為替レベルが113円後半であるなど、今回の件も含めて113円台は「何度かミソがついたレベル」となった。かつて、1993年にみられた「ベンツェン・シーリング」のような、明確な上値メドではないにせよ、再び同水準までドルが戻せば米国サイドから「口先介入」が観測されても不思議はない気もしないではない。
テクニカルに見た場合、週足の一目均衡表において、なかなか興味深い形状となっている。前週にわずか10ポイント程度と、極めて薄い状況だったこともあり、一気に先行帯の雲を上抜けドルの続伸を期待させたが、先週の反落でそれが「ダマシ」だった可能性も取り沙汰されているようだ。ただ、一目の雲は先週から来週にかけて111.00-40円レベルに位置することになり、本稿執筆時には辛うじて下値を支えられている。いずれにしても、週のザラ場ベースの動きはもちろん、週末のNYクローズでも維持することが出来るのか否か、動静には注意を払いたい。
一方、材料的に見た場合、4-6月期のGDP速報値のほか、最新である足もと7月分のデータとしてリッチモンド連銀指数など重要な米経済指標の発表が予定される予定だ。それらの内容にはまず注意を払いたい。
ほかにも、連日のように米企業決算の発表が実施されるほか、「ECB理事会と総裁会見(26日)」、「ユンケル欧州委員長がトランプ氏との会談(25日)」−−なども見込まれており、ドル/円だけでなくユーロの動きにも注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.20-112.70円。ドル高・円安については、これまでサポートだった112円レベルが最初の抵抗で、上抜ければ112.70円レベル、113円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先で指摘した週足・一目均衡表の雲が位置する111.00-40円の攻防にまずは注視。しっかり下回ると、移動平均の200日線あるいは52週線が位置する110.10-20円が意識されかねない。(了)
オーダー/ポジション状況
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