ドル円3月からのN字型二段上昇へ発展中(週報7月第3週)

7月10日の上昇で111.35円を付けて7月3日高値を突破、さらに11日夜からの急伸で112円台へ乗せて5月21日高値111.39円も上抜いた。

ドル円3月からのN字型二段上昇へ発展中(週報7月第3週)

【概況】

7月10日の上昇で111.35円を付けて7月3日高値を突破、さらに11日夜からの急伸で112円台へ乗せて5月21日高値111.39円も上抜いた。米中貿易戦争問題への懸念はあるものの株式市場が楽観的に上昇、ナスダックが史上最高値を更新する中でドル全面高が継続、13日には112.80円を付けた。しかし、13日夜からはユーロ、ポンドが反発、ドル高一服となりドル円も112円台序盤まで押されてきた。16日は東京市場休場で日中は小動き。夜間では米経済指標が強めの数字となってユーロやポンドが反落、ドル高が再燃する印象となったもののドル円の動きは鈍く、112円台序盤に留まっている。先週末まで大幅上昇してきたことで高値警戒感も抱えていることがやや重石となっているようだ。

米中貿易戦争全面化への懸念は継続しているものの米国株式市場では貿易戦争においては米国有利で米国景気への打撃は限定的とし、それよりも業績好調さ、昨年末からの企業減税や財政支出拡大による好景気拡大期待が上回っているとしてナスダック総合株価指数は13日、16日と史上最高値を更新している。株高は米長期債の下落と相関し、米長期債利回りはやや上昇基調、それがドル高要因ともなってきたことが先週までのドル円上昇の背景でもあった。この流れはまだ継続的と思われるが、13日へのドル円上昇がややオーバーランだった印象もあるため、週明けはやや慎重姿勢ということだろう。

今週はパウエル米連銀議長が17日に米上院銀行委員会で、18日には下院金融サービス委員会で議会証言を行うため、年内後2回の利上げ確率が上昇するのではないかとの警戒感も強まっている。16日の米経済指標は概ね良好だった。米商務省の6月の小売売上高は季節調整後で前月比0.5%増となり5か月連続のプラスだった。前月も当初発表の0.8%増から1.3%増に上方修正された。ニューヨーク連銀の7月製造業景況指数も22.6となり前月の25.0からは小幅低下したが市場予想の22.0を上回った。

中国国家統計局が16日に発表した4〜6月期GDPは前年同期比6.7%増にとどまった。3四半期連続で6.8%増だったがやや鈍化した。米中貿易戦争問題もあるために今後の中国成長率鈍化の懸念はやや強まったと思われる。米中貿易戦争問題は米中への貿易依存度の大きい日本には持続的な影響を与える可能性がある。今のところは中国側からの反撃姿勢が比較的穏やかなために株式市場が楽観し、ドル円も上昇してきたわけだが、中国側からの反撃姿勢、泥沼化への懸念が強まるようだと、ドル円上昇への楽観も梯子を外されかねない点は押さえておきたい。

【5月21日高値を超えたことのテクニカルな意味】

【5月21日高値を超えたことのテクニカルな意味】

(USD/JPY 日足)

7月11日夜の上昇で5月21日高値を上抜いた。この結果、5月21日高値と5月29日安値を起点とした三角持合いを上放れとなり、3月26日からの上昇は5月21日までを一段目とし、5月29日安値からは二段目の上昇を継続しているという見方が可能となった。
また2016年12月、昨年11月高値を結んだ抵抗線も上抜き始めているが、さらに2015年6月天井と2016年12月天井を結ぶより長期の抵抗線も上抜きつつある。これまでは5月21日高値を超える場合は111円台後半から112円試しとみてきたが、112.50円を超えてきたことにより、上値目途もさらに上方修正する必要が出てきた印象だ。

(2018年3月安値を1年周期の底に格上げ)
3月26日底からの上昇については概ね5か月から6か月周期のサイクルによる底打ち反騰としてみてきたが、5月21日高値を超えて続伸していることを踏まえると、3月26日安値をより次元の高い10か月から1年周期の底打ちサイクルにおける底とした上昇ととらえるべきだろう。半年サイクルレベルの上昇では11月6日高値を超えないことが条件になるが、1年サイクルレベルの上昇なら11月6日高値を超える可能性も検討される。

(11月からの下落4か月半に対する揺れ返し上昇)
既に3月26日高値からの上昇も3か月を超え、1年サイクルの前半部分となる半年サイクルレベルでも11月6日高値から8か月に至りピークを付けるべき時間帯を超過しているが、三角持合いを上放れて間もないことを踏まえるとさらに上昇期が伸びる可能性がある。昨年11月6日から今年3月26日への下落は日足で101本、4か月半であるため、対等数値的な揺れ返し上昇と仮定すれば、今回の高値形成期は7月末から8月前半にかけての間と想定される。また3月26日から5月21日への上昇を一段目とし、二段目も同レベルの上昇とすれれば高値形成期は7月第4週から7月末の可能性が考えられる。

(7月後半8月から序盤にかけての上値目途)
上値目途としては、5月29日への下げ幅の倍返しとしてV=114.65円、一段目の上昇と同値幅となるN=114.86円等が考えられるが、114円台には昨年11月6日高値114.72円、昨年7月11日高値114.49円、昨年5月11日高値114.36円等が並ぶ。前回及び前々回の半年サイクルの上昇では114円台でピークを付けているため、今回も114円台を超えてさらに上昇してゆくには過去1年半の上昇期を超えるようなドル高円安の推進力となる材料、市場心理を強気化させるテーマが必要になると思う。

【サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、次の高値形成期となる7月11日から13日にかけての間への上昇を想定してきたが、大幅連騰であり既に前回サイクルトップから4日を経過していたので13日朝時点ではトップアウト警戒期とし、112.40円割れを弱気転換注意、112.25円割れからはいったん弱気サイクル入りとした。
13日夕刻への上昇で112.79円を付けたが、13日夜の反落で112.40円割れ、さらに週明けも112円台序盤で軟調推移となっているので、13日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。また今回のボトム形成期は9日午前安値を基準とすれば13日夜から16日までの間と計測されるが、すでに安値形成期を超過しているので11日午前安値を基準として17日から18日にかけての間と想定する。112.50円を超えられないか、わずかに超えても反落するうちは下落継続余地ありとするが、112.50円越えからは上昇再開の可能性ありとし、13日高値越えからは新たな強気サイクル入りとして次の高値形成期となる18日から20日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では13日夜の下落で遅行スパンが悪化、17日朝時点では先行スパンから転落しかけている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、両スパン好転からは強気転換注意として13日高値試しとし、高値更新からは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日から13日への高値形成期に指数のピークが切り下がる弱気逆行となり、その後の下落で40ポイント台へ低下した。55ポイントを下回るうちはもう一段安の可能性ありとするが、55ポイント越えからは上昇再開の可能性ありとし、60ポイント越えからは上昇再開とみる。

【サイクル分析】

(USD/JPY 1時間足)

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を112.00円、上値抵抗線を112.50円から112.60円と想定しておく。
(2)112.50円を下回るうちは112円割れから111.70円前後への下落を想定する。111.70円以下は反発注意とするが、円高材料により下落の場合は111.50円割れまで下値目途を引き下げる。
(3)112.60円越えからは上昇再開の可能性を優先して13日高値試しとし、高値更新からは113円台序盤を目指す上昇入りと考える。113円では売りも出やすいと思われるが、逆に113円越えから上昇が加速する可能性もあるのでその場合は113.50円前後まで上値目途を引き上げる。また先行きは114円台へ上昇する可能性も高まるとみる。

【当面の主な予定】

7/17(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨公表
17:00 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、発言
17:30 (英) 5月 失業率(ILO方式) (4月 4.2%、予想 4.2%)
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.5%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 77.9%、予想 78.2%)
23:00 (米) 7月 NAHB住宅市場指数 (6月 68、予想 69)
23:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、発言 米上院銀行委員会

7/18(水)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.4%、予想 0.2%)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前年比 (5月 2.4%、予想 2.6%)
17:30 (英) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 2.1%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数(HICP、改定値 前年比 (5月 2.0%、予想 2.0%)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 年率換算 (5月 135万件、予想 132.0万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 年率換算 (5月 130.1万件、予想 133.0万件)
23:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、発言 米下院金融サービス委員会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

7/19(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%、予想 現状維持)
08:50 (日) 6月 貿易統計(通関) (5月 -5783億円、予想 5312億円)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 1.20万人、予想 1.65万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 5.4%、予想 5.4%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前月比 (5月 1.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 22.1万件)
21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 19.9、予想 22.0)
23:00 (米) 6月 景気先行指数  前月比 (5月 0.2%、予想 0.5%)

7/20(金)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価指数 前年比 (5月 0.7%、予想 0.8%)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価コア指数 前年比 (5月 0.7%、予想 0.8%)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.5%、予想 0.3%)
17:00 (欧) 5月 経常収支 (4月 284億ユーロ)
21:00 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

7/21(土)
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブエノスアイレス、〜22日)

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