<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週初を週間安値に、2円を超える上昇をたどると、113.39円の年初来高値も視界内に捉えた感を否めない。
前日までに報じられた北朝鮮情勢(朝鮮中央通信が先週末実施の米朝会談について「米側の態度と立場は実に遺憾だった」と強く反発したとの報道」)や、米貿易問題に絡む幾つかの報道(共同通信「米の対中制裁第2弾、8月発動軸に検討」など)が影響し、ドル/円相場は、110.25円前後と前週末のNYクローズから比べて、やや円高水準で寄り付いた。
しかし、そのレベルが結果として週間のドル安値に。以降は週末にかけて右肩上がり展開となり、直近に記録した3日高値111.13円や5月高値111.39円などを次々と上抜けしている。一時112.80円まで値を上げたのち、やや小緩んだものの、週末のNYも112.35円レベルのドル高値圏で取引を終え、越週となった。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易戦争懸念」に絡む様々なニュースなどについて。
前述したように「米中」間の問題がメインで、週末にかけては「米通商代表部(USTR)が対中制裁リストを公表」、それに対して中国が即座に対抗措置に踏み切るなど泥沼の様相が鮮明化。また、それ以外でも、10日からトランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席を含めた欧州歴訪を行ったことで、対ドイツを中心とした「米欧」貿易戦争についての懸念も取り沙汰されていた。さらには、パウエルFRB議長の発言として「米の制裁関税は経済に悪影響」と報じられるなど、実体経済に与えるダメージも徐々に指摘され始めていたようだ。
<< 今週の見通し >>
ドルは連日の高値更新で、週末には112.80円まで一時値を上げてきた。テクニカルには、形成していたボックス圏を上抜けており、リスクは間違いなく上方向にバイアス。先週だけで2.5円ほどの上昇をたどっており、ポジションの傾きだけは気掛かりだが、週内に113円台回復、そして年初来高値の113.39円に接近あるいは更新する展開があっても不思議はないだろう。
材料的には、これまでとあまり変わったところがなく、依然として「米貿易戦争懸念」が取り沙汰されている。ただ、その解釈もしくは反応がかつてと大きく変化している感を否めない。と言うのも、以前は「貿易戦争を嫌気=リスク回避の円買い」という反応だったが、先週の相場を見ると「貿易戦争を嫌気=新興国へのダメージ大きい、資金流出懸念=ドルに資金回帰」−−などといった反応が目に付くようになってきたからだ。つまり、「米貿易戦争懸念」が今週以降続くとしても、それがさらなるドル高を誘発する可能性を秘めているのかもしれない。
テクニカルに見た場合、週足の一目均衡表においては111.40-50円とわずか10ポイント程度、極めて薄い状態となっていた先行帯の雲を、一気に上抜けしてきた。ちなみに、今後数週間は一目の雲の上限が111.40円レベルで横ばい推移することから、ポジション調整などで一時的な下押しが入っても、ドルの強いサポートとして寄与する可能性もある。
それに対するドルの上値メドは、年初来高値の113.39円だが、レベル的に近い113.30円水準の攻防も要注意。こちらについては、2016年12月高値118.66円を起点とした長期下降に対するフィボナッチ61.8%戻しが113.30円レベルとなるためだ。そのレベルも上抜けると、昨年11月以来の114円台回復が現実のものとして意識されかねない。
一方、材料的に見た場合、6月の小売売上高や同鉱工業生産など、重要な米経済指標の発表が予定されているほか、バンカメやゴールドマンサックスを中心とした米企業の決算発表も相次ぐ。それらの内容には注意を払いたい。
そのほか、ヘルシンキで実施される「米露首脳会談(16日)」や、「パウエルFRB議長が半期に一度の議会証言実施(17-18日)」、週末の「G20財務相・中銀総裁会議(21-22日)」−−なども相場の波乱要因として警戒する声が少なくないようだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.10-113.60円。ドル高・円安については、先週高値112.80円が最初の抵抗で、抜ければ113円台回復も。フィボナッチの観点から強い抵抗になりそうな113.30円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週12日のNYタイムに上回って以降ほぼ割り込んでいない112円レベルが目先のサポートか。また、下回っても、先週しっかりと上抜けてきた週足・一目均衡表の雲の上限にあたる111.40円レベルなどでは底堅そう。(了)
オーダー/ポジション状況
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