ドル円110円台回復戻り高値切り下げの範囲か(6/27)

24日にWSJ紙が中国資本が25%以上の企業に対して米財務省が買収規制を検討中と報じられて週明け25日朝からドル円は下落、

ドル円110円台回復戻り高値切り下げの範囲か(6/27)

【概況】

米国と中国の貿易戦争全面化の様相に加え、先週からは米国とEUとの貿易戦争も全面化の兆しが強まってきている。6月15日高値で110.90円を付けて以降、米欧日の金融政策発表イベントも一通り通過したため市場の関心は貿易戦争問題へ集中しており、貿易戦争全面化への懸念を強める報道をきっかけにドル円は下落し、やや緩むと戻すという状況を繰り返しているが、6月21日の戻り高値は110.75円にとどまって15日高値から切り下がりとなり、6月14日安値を19日、25日、26日未明と割り込んで戻した後の安値が切り下がるパターンに陥っている。

【貿易戦争問題】

24日にWSJ紙が中国資本が25%以上の企業に対して米財務省が買収規制を検討中と報じられて週明け25日朝からドル円は下落、26日未明に109.36円の安値を付けた後はいったん緊張が緩んで110.03円まで戻すも26日午前には再び反落して109.37円まで下げた。底割れを回避したことでやや戻し、25日に一時500ドル近い下落となったNYダウがやや戻して終了したためにドル円も26日未明高値を超えて110.21円まで戻している。

26日もトランプ米大統領は「EUから輸入される自動車に対する関税の調査を終えつつある」とツイートするなど貿易戦争問題は深刻化の一途だが、中国に対する米国の財務省と商務省のスタンスのズレがトランプ政権内での強硬派と柔軟派の意見がまとまっておらず、トランプ大統領がやや柔軟な姿勢をとるのではないかとの憶測も出ている。
米ハーレーダビッドソン社がEUによる米国製オートバイへの報復的高関税を嫌ってEU向け生産拠点をEU域内へ移すとの報道があり、トランプ大統領が失望を表明しているが、米国の仕掛ける保護主義高関税が米国企業や米国農業に対してしっぺ返しとなる懸念も強まっているので、秋の中間選挙へ向けてトランプ政権の姿勢に変化がみられるのかどうか、まだ紆余曲折があるかもしれない。しかしいずれにせよ、世界金融市場にとっては暗雲であり、世界経済にとっては先行投資への萎縮、手控えを発生させかねないため、貿易戦争全面化の懸念が強まる報道が出る毎に市場もリスク回避行動をとらざるを得ない状況が続くのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは、6月19日安値から4日目となる25日午後安値とほぼ同値の26日未明安値で目先の底を付けて26日未明に反発した。26日午前の下落でも底割れを回避して27日未明には戻り高値を切り上げているため、現状は26日未明安値を目先のボトムとした高値試し中と思われる。今回の高値形成期は26日から28日にかけての間と想定されるので、27日の日中、夜にかけてはまだ高値を試す余地ありとみるが、6月15日高値から4日目の21日に戻り高値を付けて下落し、さらにそこから27日で4日目となるので、戻り一巡から下げ再開しやすい時間帯に入ってきていると注意する。109.75円割れからは弱気サイクル入り警戒として26日未明安値試しとし、底割れからは次の安値形成期となる29日から7月3日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では27日未明への上昇で先行スパンを上抜いている。このため先行スパンを上回るうちは上昇継続余地ありとするが、先行スパンへ潜り込むところから弱気転換注意とし、先行スパンから転落するところからは弱気サイクル委入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は27日未明への上昇で60ポイント台を回復している。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとし、50ポイント割れからは下落再開注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.75円を支持線、110.25円から110.50円を抵抗線とみておく。
(2)110円割れを切り返すうちは上昇余地ありとするが、6月15日高値から6月21日高値へと高値ラインは切り下がっているので、今回の上昇も21日高値を超えない程度と仮定し、110.25円から110.50円前後にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)109.75円割れからは弱気転換注意として26日未明安値109.36円試しとみる。25日から109.30円台は三度切り返しているので109.40円割れでは値頃感での買いも入りやすいかもしれないが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして週末から週明けへの下落期に入ると思われるので109円試し、さらに108円台後半を目指す下落へ進む可能性を想定する。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

6/27(水)
17:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、発言
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -1.6%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 0.9%、予想 0.5%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前月比 (4月 -1.3%、予想 1.0%)
25:15 (米) ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演

6/28(木)
EU首脳会議(28日〜29日)
06:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.75%、予想 据え置き)
17:00 (欧) 欧州中央銀行(ECB)月報
21:00 (独) 6月 消費者物価指数 速報 前年比 (5月 2.2%、予想 2.2%)
21:30 (米) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前期比年率 (改定値 2.2%、予想 2.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 
23:45 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る