【概況】
5月21日高値111.39円から下落に転じ、29日に108.11円へ大幅下落、その間の下げ幅は3.28円幅となった。米朝首脳会談中止報道、米中通商摩擦拡大懸念、さらにイタリアやスペインの政局不安等のリスク回避テーマが相次いだことが下落の背景とされてきたが、29日安値でひとまずそれら材料も消化して下げ一服となり、リスク回避対象として売られていたユーロが反発、クロス円での円高一服感からドル円も1日午前までは108円台後半で下げ渋り的な小持ち合いとなっていた。
6月1日午前からリスク選好性が再燃、米長期債から株へと投機マネーが回帰して米10年債利回りが上昇に転じたことでドル円は109円台を回復、さらに1日夜の米雇用統計が予想よりも良好だったことで米連銀の利上げペース加速の可能性も意識されて1日深夜には109.732円まで戻して週を終えていた。
週明け4日朝、109.75円まで上昇して1日深夜高値を僅かに上抜いたが、その後はユーロ、ポンド、豪ドルが上昇したことでドル安感が強まって下落、21時台には109.37円まで下げたが、深夜からは再びドル高となって4日朝高値を上抜いてきた。5日朝には110円に迫ってきている。
【リスク選好感で株高、債券反落、日米長期金利差拡大】
4日のNYダウは178.48ドル高と上昇したが、ハイテク株中心のナスダック総合指数は52.13ポイント高となり今年3月13日の史上最高値に迫っている。リスク回避感が後退、米連銀の利上げも迫り、また利上げペース加速の可能性も高まりつつあるものの株高を阻害しない程度に収まるなら当面はリスク選好的なスタンスで進みたいという市場心理を反映していると思われる。このため、投機マネーは債券から株へシフトし、米長期債が売られたことの反映で米10年債利回りは2.935%へ上昇した。リスク回避感が強まっていた5月29日には2.759%まで低下していたが、再び上昇感が強まってきている。
ドル指数は5月29日に95.03ポイントまで上昇して2月16日以降の高値を更新したが30日に反落、その後も94ポイントを挟んだ持ち合い程度であり、ドル全面高がさらに進んでいるわけではないが、米長期金利再上昇による日米金利差拡大からドル高円安へ反応しやすくなっている印象だ。
【半値戻し 109.745円、3分の2戻し 110.29円】
5月21日から30日への下落に対する半値戻しが109.745円であり、4日午前高値でこれに到達した。さらに高値を更新しているため、次の上値めどは3分の2戻しとなる110.29円前後まで切りあがってきた印象だ。仮にそれも越える上昇となれば全値戻しを目指して5月21日高値111.38円の可能性も出てくるかもしれない。
3月26日から5月21日への上昇は概ね5か月から6か月周期のサイクルによる中勢レベルのリバウンドだったと思われる。このサイクルにおける前回の上昇は昨年9月8日底から11月6日高値への上昇であったが、その時も今回も凡そ2か月の上昇から26日移動平均を割り込むところから下落に転じた。
典型的なケースでは26日移動平均割れから52日移動平均前後まで下げ、いったん下げ渋りからリバウンドを見せるも26日移動平均前後が新たな抵抗線となって戻り一巡後に下落再開、一段安へ進むという展開が考えられるが、昨年11月6日天井からの下落時では、当初の下落で11月27日へ3.88円下落してから26日移動平均を超え、12月12日高値まで直前の下げ幅に対して凡そ75%の戻りを入れている。新たな高値更新には至らず、11月6日高値を中心とした三点天井の右肩形成に終わってその後は大幅下落へ進んだ。
今回も現状は26日移動平均から若干頭を出したところであり、110円前後から反落して109円割れへと崩れれば、中勢レベルの下落当初の反発が終了して次の下落期に入ると考えるが、110円乗せからさらに続伸となる場合は昨年12月12日への反発並みに上昇して110.50円を超えてくる可能性も考えられる。ただしそこは戻り売りから崩されやすいとみる。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
60分足の一目均衡表では1日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも突破したが、その後も両スパン好転が続いている。高値更新が継続するうちは遅行スパンの悪化も1日単位で先送りされやすいが、高値更新がストップすると遅行スパンが悪化しやすくなる。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として先行スパン上限試し、さらに潜り込み始める場合はその下限を試しにかかると考える。
60分足の相対力指数は5日午前の上昇で70ポイントを超えたが、1日夜高値形成時の指数ピークを超えていないため、弱気逆行となる可能性があるので、60ポイント割れからは弱気転換注意、50ポイント割れからは下落再開を疑う。
概ね3日から5日周期のサイクルでは、31日深夜安値を短縮されたサイクルボトムとして強気サイクル入りした可能性と、30日朝安値から4日目となる6月4日夜安値を直近のサイクルボトムとして高値更新による新たな強気サイクル入りとなった可能性が考えられる。前者の場合は5日の日中から6日深夜にかけての間が高値形成期となるが、後者の場合は4日朝高値を基準として7日から11日朝にかけての間まで伸びる可能性がある。いずれの場合も4日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして下落再開の可能性が高まると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.65円を支持線、110円を抵抗とみておく。
(2)109.65円を上回るか、一時的に割り込んでも早々に切り返すうちは上昇余地ありとし、110.29円から110.50円手前を試す可能性ありとみる。ただしそれらの場合では110.25円以上は反落警戒圏とし、109.75円割れからは下げ再開を警戒する。
(3)109.65円割れを弱気転換注意とし、4日夜安値109.37円割れからは弱気サイクル入りと仮定して109.00円前後試しへ向かうとみる。またその際は60分足の先行スパンを上抜き返せないうちは下落継続の可能性ありとし、109円割れから続落なら先行スパン転落により下落が加速しやすいと警戒し、6日、7日にかけては108円台中盤試しへ向かいやすくなるとみる。(了)<6/5>
【当面の主な予定】
6/5(火)
10:45 (中) 5月 財新サービス業PMI (4月 52.9、予想 52.9)
13:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表 (現行 1.50%、予想 据え置き
16:55 (独) 5月 サービス業PMI、改定値 (速報 52.1、予想 52.1)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI、改定値 (速報 53.9、予想 53.9)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI (4月 52.8、予想 53.0)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.1%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前年比 (3月 0.8%、予想 1.9%)
22:00 (欧) ドラギECB総裁、発言
23:00 (米) 5月 ISM非製造業景況指数 (4月 56.8、予想 57.7)
6/6(水)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期GDP 前期比 (前期 0.4%、予想 0.8%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期GDP 前年比 (前期 2.4%、予想 2.7%)
21:30 (米) 4月 貿易収支 (3月 -490億ドル、予想 -492億ドル)
21:30 (米) 1-3月期 四半期非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 0.7%、予想 0.6%)
オーダー/ポジション状況
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