ドル円2/3戻し達成後の調整 トランプ発言も圧迫(5/23)

米中両政府は19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の貿易削減に向け中国が取り組みを進めることで一致、

ドル円2/3戻し達成後の調整 トランプ発言も圧迫(5/23)

【概況】

5月21日に111.39円の高値をつけて3月26日以降の戻り高値を更新した。昨年11月天井からの下落幅に対する3分の2戻しが111.357円であり、5月2日深夜と10日による110.00円でのダブルトップ型を破っての一段高だったが、ダブルトップ間の値幅の倍返しが111.36円であり、上値抵抗となりやすい水準に達していた。
5月19日には米中通商問題の閣僚級協議で合意形成されたとの報道により貿易戦争全面化への懸念が後退したことが21日前半の上昇背景だったが、24日未明のFOMC議事録公開を控えていることもあって高値警戒感がやや優勢となり21日夜は小反落、22日の日中も111円を挟んだ持ち合いに留まっていた。
22日深夜、トランプ大統領が米中合意に不満を表明、さらに6月12日開催予定の米朝首脳会談延期ないし中止の可能性を示唆する発言を行ったことからリスク回避的にダウが下落、ドル円も軟調推移に入り、23日午前には110.70円台まで下落している。

【トランプ発言によるリスク感】

米中両政府は19日に共同声明を発表し、米国の対中貿易赤字の貿易削減に向け中国が取り組みを進めることで一致、両国が言及してきた巨額の追加関税についての棚上げに合意した。 またムニューシン米財務長官は5月21日にテレビインタビューに答えて中国の知的財産権侵害に対抗しての中国製品への制裁関税、トランプ大統領が3月に表明した500億ドルの関税、その後に追加検討が指示されていた1000億ドルの対中制裁を保留すると述べた。

中国政府は22日、自動車輸入関税を7月1日付で現行の25%から15%に引き下げるとした。また米政府が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に発動中の制裁を見直すことで中国政府と大筋合意したとも報じられた。
しかしトランプ米大統領は22日深夜、米中合意について「満足していない」と発言、ZTE制裁に伴う罰金についても13億ドルとなる可能性に言及した。大統領は「(中国との貿易協議は)始まりだ」として今後も紆余曲折がありうる姿勢を示した。

トランプ米大統領は22日の米韓首脳会談において「米朝首脳会談が6月12日に行われないかもしれない」と「我々には特定の条件があり、満たされなければ会談は開催されない」「(開催されるかどうかは)すぐに分かる」と述べた。米韓軍事演習に米戦略爆撃機が投入されたことで北朝鮮が反発姿勢を強めたことに対抗するものと思われるが、「金正恩氏は非核化に真剣だ」「正恩氏の安全を保証する」とも述べている。歴史的首脳会談実現前の応酬と思われるが、トランプ大統領の態度豹変の可能性もあるため、米中貿易問題への不満表明とともに市場にとってはリスク回避的な警戒感を呼ぶものとなった。

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

【60分足 一目均衡表 サイクル分析】

60分足の一目均衡表では15日午前の上昇で先行スパンを突破、その後も突破状況を維持してきたが、22日深夜に先行スパンから転落した。また遅行スパンも悪化している。両スパン揃っての悪化は7日ぶり。5月15日の上昇で110円のダブルトップラインを突破して一段高してきたが、この間の安値を結ぶ支持線も割り込んできている。先行スパンは111.00円前後で細く横這いとなっているが、先行スパン転落中は安値試し優先とし、遅行スパン好転から強気転換注意、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみるが、両スパン揃って悪化中は安値試し優先とみる。

60分足の相対力指数は21日の上昇で70ポイントを超えたが、その後は下落基調で23日午前には30ポイントを一時割り込んでいる。55ポイント以上へ反発し、その後も50ポイント以上を維持する上昇とならない内は安値試し優先とみる。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、16日深夜安値を前回のサイクルボトムとして上昇してきたが、16日未明高値から4日目となる21日午後高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入った。今回の安値形成期は5月22日の日中から23日深夜にかけての間と想定されるので、23日夜、ないしは24日未明にかけては一段安へ進む可能性ありとする。また24日の日中以降も下落基調が続く場合は19日安値を基準として安値形成期が26日未明にかけての間へ延びる可能性にも注意する。
既に16日深夜安値からは4日を経過しているので111.20円超えへ反発なら新たな強気サイクル入りとして24日午後から28日にかけての上昇期に入ると考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.00円を抵抗、19日安値110.61円を支持線とみておく。
(2)111円以下での推移中は19日安値試しとみる。111円超えへ戻せば上昇再開とみるが、19日安値を割り込む場合はさらに一段安へ進みやすいと注意し、110.40円から110.20円前後にかけてのゾーンを試す下落へ向かう可能性ありとみる。
(3)111円台回復、維持からは強気転換注意とし、111.20円超えからは上昇再開として21日高値111.39円試し、超えれば112円を目指す上昇期入りと考える。また111円台を維持する内は24日、25日へ上昇継続しやすいとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

5/23(水)
   (米) 日米外相会談(ワシントン)
(北) 北朝鮮の核実験場廃棄を公開
16:30 (独) 5月 製造業PMI、速報値 (4月 58.1、予想 57.9)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI、速報値 (4月 53.0、予想 53.3)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI、速報値 (4月 56.2、予想 56.0)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI、速報値 (4月 54.7、予想 54.5)
17:00 (豪) ロウRBA総裁、講演
17:30 (英) 4月 消費者物価指数 前年比 (3月 2.5%、予想 2.5%)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 (3月 69.4万件、予想 67.7万件)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感指数 速報値 (4月 0.4、予想 0.4)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 5月1-2日会合分

5/24(木)
未 定 (南ア) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%
07:45 (NZ) 4月 貿易収支 (3月 -0.86億NZドル、予想 1.98億NZドル)
15:00 (独) 1-3月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (独) 1-3月期GDP、改定値 前年比 (速報 1.6%、予想 1.6%) 
17:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
17:30 (英) 4月 小売売上高指数 前月比 (3月 -1.2%、予想 0.9%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.0万件)
22:00 (米) 3月 住宅価格指数 前月比] (2月 0.6% )
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 (3月 560万件、予想 556万件)
27:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

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