ドル円 三角持ち合い上放れの状況を維持(5/17)

米長期金利の指標である米10年債利回りは15日に約7年ぶりの高水準となる3.095%まで上昇したが、この日も3.10%まで続伸した。

ドル円 三角持ち合い上放れの状況を維持(5/17)

【概況】

米長期金利上昇とドル全面高を背景に5月15日の上昇で110円の壁を突破、5月2日深夜と10日夕刻高値によるダブルトップを破った。またこの間は110円をフラットな抵抗線、5月4日安値から11日安値へと安値ラインが切り上がる三角持合い型を形成していたが、持合い上放れとなった。
16日未明には110.45円まで高値を切り上げたが、その後は北朝鮮情勢も踏まえて高値警戒となり16日夜には110.03円まで下げたが、110円台を維持して17日早朝には16日未明高値へ迫っている。
突破した抵抗線がその後の支持線となるものだが、今回は110円が支持線であり、今のところは支持線維持=一段高状態の維持であり、さらに高値更新へ進む可能性を維持している印象だ。

16日の米経済指標は概ね良好だったが、市場の反応は限定的だった。4月の住宅着工件数は年率換算で128.7万件となり市場予想の131万件を下回ったが、先行指標の着工許可件数は135.2万件で市場予想の135.0万件を上回った。いずれも前月を下回ったものの良好さを維持している。
4月の米鉱工業生産は前月比で+0.7%となり市場予想の+0.6%を上回った。設備稼働率は78.0%で市場予想の78.4%を下回ったが前月の77.6%を上回った。

【米長期金利上昇、ドル全面高基調での円安ドル高】

米長期金利の指標である米10年債利回りは15日に約7年ぶりの高水準となる3.095%まで上昇したが、この日も3.10%まで続伸した。急騰感はやや落ち着いたが、米長期金利上昇を背景としてドル指数も2月底以降の高値を更新、ユーロドルは2月以降の安値を更新している。
米中及び日米の貿易不均衡是正問題を抱えているため、過度の円安が問題視される可能性も踏まえればそろそろドル円には高値警戒感が出ても不思議ないが、今のところは米長期金利上昇によるドル全面高という大義があるため、ドル円としても高値を試しやすい心理状況にあると思われる。

【北朝鮮情勢に注意しつつもまだ楽観的】

16日、北朝鮮が米韓軍事演習に米戦略爆撃機が参加していることを非難して南北協議を一方的に中止し、米朝首脳会談の中止をにおわせた。これに対してトランプ米大統領は「まだ何も知らされていない。注視する必要がある」と述べた。また北朝鮮がリビア方式(核放棄を先行させた後で経済制裁を解除する)を拒否しているとも報じられているが、サンダース米大統領報道官は「(リビア方式は)我々が利用している方式ではない」「(米朝首脳会談)が開催されることに期待を抱いているし、引き続きその方向に進む」と述べつつ、その一方で「我々は最大限の圧力をかけ続ける」と記者団に述べている。
歴史的な米朝首脳会談実現前により有利な成果を得ようとするけん制の範囲とみられるが、何が起こるかわからないのがトランプ流外交でもあり、北朝鮮側の動きも読み切れないところがあるが、市場の反応はいまのところ限定的で、ドル円は16日夜への下落ではこの問題をやや意識した印象もあるが、110円台、一段高状態を維持して高値更新へ迫ってきているのでまだまだ楽観ムードが優勢ということだろう。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では14日午後の上昇で遅行スパンが好転、15日未明の上昇で先行スパンを突破した。16日夜への下落で遅行スパンがいったん悪化したが、その後は再び好転しているため、16日夜へのジリ安を小規模調整として、さらに高値更新へ進みやすい姿となってきているようだ。先行スパンの上限が支持線のため、先行スパンを上回るうちは上昇継続の可能性を優先、先行スパンへ潜り込む下落発生からは弱気転換注意とする。

60分足の相対力指数は15日夜に80ポイント超えまで上昇し、16日夜には50ポイント割れまで下げたが、その後は50ポイント台を回復している。50ポイント割れを切り返すうちは上昇余地ありとするが、相場が高値を更新したところで指数がピークを切り下げる場合は弱気逆行による反落入りにも注意がいる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、5月11日深夜安値を前回のサイクルボトムとして次のサイクルトップ形成期となる15日から17日夕にかけての間への上昇を想定してきた。16日夜へいったん下落してから戻しているが、11日夜安値から3日目となる16日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて既に新たな強気サイクルへ入ってきている印象だ。16日未明高値超えからは強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる19日未明から23日朝にかけての間への上昇を想定する。ただし16日夜安値割れからは連続的な弱気サイクル入りにより21日夜から23日夜にかけての間への下落へと転じる可能性が出てくる点に注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110円を下値支持線、16日未明高値110.45円を上値抵抗線と見ておく。
(2)110円を上回るか、一時的に割り込んでも切り返して110.20円を超えるうちは高値更新から111円前後試しへ向かうとみるが、110.80円以上は反落警戒圏とみる。また110.20円以上を維持するうちは18日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)110円割れから続落の場合は連続的な弱気サイクル入りの可能性も踏まえて17日夜から19日未明にかけての間への下落を想定する。その場合の下値目途は109.75円から109.50円のゾーンを試すとみる。また110円以下での推移に止まっている場合は18日の日中も安値を試しやすいとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

5/17(木)
EU首脳会議(ブルガリア ソフィア)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 0.49万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 5.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 -0.5%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年比 (2月 0.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (4月 23.2、予想 21.0)
23:00 (米) 4月 景気先行指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.4%)
23:45 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現状 7.50%)
26:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演

5/18(金)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数 前年比 (3月 1.1%、予想 0.7%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価コア指数 前年比 (3月 0.9%、予想 0.8%)
15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.3%)
17:00 (欧) 3月 経常収支 (2月 351億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 貿易収支 (2月 189億ユーロ)
22:15 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
22:15 (米) ブレイナードFRB理事、講演

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