<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、110円前半で揉み合い。前日の欧米時間に「3度目の正直」で110円台をようやく回復したものの上値は重く、ドルは上げ渋りの様相だった。
ドル/円相場は、110.30-35円で寄り付いたものの、終日を通して動意らしい動意なし。実際、値幅も終日を通して110.15-40円といったところ。25ポイント程度の変動に留まっている。
詳細は後述するが、これまで融和観測が根強く、楽観論が蔓延していた北朝鮮情勢にやや不穏な動きが台頭したものの、相場への直接的な影響は限定的だった。16時時点でドルは110.20-25円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、引き続き「北朝鮮情勢」。前日に朝鮮中央通信が「北が米朝会談の取りやめを示唆、南北閣僚級会談は中止に」と報じるなか、再度、北朝鮮外務省高官の発言として「北は、米国が核放棄を強いるだけなら首脳会談を再考する」「米国の挑発的なコメントに失望」−−との報道が観測されていた。
また、それとは別に北朝鮮の労働新聞が「日本が孤立を免れる道は敵視政策の放棄」と日本をターゲットにした挑発報道を行っている。
<< 欧米市場の見通し >>
5月だけで2度のトライが失敗した110円の攻防だったが、3度目にしてようやく上抜けてきた。一時は2月2日高値に面合わせする110.45円レベルまでドルは値を上げている。テクニカルに見た場合、次のドルの上値メドは昨年11月高値114.74円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しに当たる110.90円レベル。抜ければ、当然111円台回復も見えてくる。
そんなドル高を支援している一因は米金利の上昇であり、また米朝融和期待など地政学リスクの後退観測もドル買いに繋がっている面を否めない。しかし、後者については先で指摘したように、若干雲行きが怪しくなってきた感があるうえ、前者についても金利高が米経済成長に悪影響を及ぼし始めたとの指摘がエコノミストなどのあいだで取り沙汰始めている。実際、ここ最近発表される米経済指標はやや冴えないものが少なくないだろう。いまスグということではないものの、「ドル高」基調からの風向きの変化についても一応の注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、110円台をしっかり回復するなどリスクはドル高・円安方向にバイアス。目先的には、昨日高値に高い2月2日高値の110.48円の攻防が注視されるが、抜ければ110.90円レベルがターゲットに。
しかし、ドル/円の週足は、このままいけば8週連続の陽線となりそうで、これはチャート分析方法のひとつである「酒田五法」でいうところの「買い玉は半数退陣」を意味するシグナルだ。つまり、ドルは今週から来週にかけてさらに続伸する可能性もあるものの、天井が徐々に近づきつつある感を否めないかも知れない。
一方、材料的に見た場合、4月の住宅着工件数や同鉱工業生産・設備稼働率といった幾つかの米経済指標が発表されるほか、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演やブラード・セントルイス連銀総裁が会合にて冒頭挨拶を行う予定となっている。それらは当然要注意。
また、マーケットを席巻していた楽観論一辺倒が崩れ始めている北朝鮮情勢に関する続報や、15-19日の日程で再開された「米中通商協議」の行方も波乱材料として注視しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.60-110.60円。ドル高・円安方向は、昨日高値に高い2月2日高値の110.48円の攻防にまず注視。抜ければ110.90円レベルがターゲットで、111円台乗せもみえてくる。
対するドル安・円高方向は、昨日まで抵抗だった110円レベルが最初のサポートで、割り込んだ場合には一目均衡表の転換線が位置する109.55円レベルが意識されそうだ。ただ、取り敢えずは底堅そう。(了)
オーダー/ポジション状況
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