ドル円 今週ももみ合いの週か(週報5月第3週)

先週は週初からじり高となり、リクルートによる米社買収と米金利高等が材料となって木曜には再び110円の大台乗せとなりました。

ドル円 今週ももみ合いの週か(週報5月第3週)

今週の週間見通し

先週は週初からじり高となり、リクルートによる米社買収と米金利高等が材料となって木曜には再び110円の大台乗せとなりました。しかし、110円台ではドル売りオーダーが控えていることや米国の経済指標をきっかけに反落、110円の大台での滞空時間は今回も短く改めて110円の大台の重たさを感じさせる一週間となっています。

先週は前期(4〜9月期)の為替レートを105円で設定する企業が多い(半数以上)というニュースも110円の大台でのドル売りが実需筋に出させたと考えられます。通常、輸出企業では社内レート(ここでは105円とします)でもって社内での為替の仕切りを行います。つまり財務部としては105円でドル買いポジションを持っていることとなりますので、110円で輸出予約を取れば5円の為替差益を社内であげることができます。

多くの輸出企業の為替担当者はサラリーマン・ディーラーですから、ここで利益を上げればよし、逆に待つことで105円よりも円高でカバーしようものなら、社内で為替差損が発生し自分の勤務評価に関わってきます。よく為替が上下に振れた後の決算で、為替差益、為替差損といった単語を見ますが、担当者にとっては社内レートよりも有利なレートでカバーしたいのが人情です。

ただ、だからと言って全て110円でカバーしてその後115円にでも行ったら、社内からはさぞかし為替差益が出ているだろうという期待もありますので、サラリーマンはつらいよといったところでしょうが、それでも110円を超えてくれば間違いなくドル売りオーダーが今後も出やすいという流れには変化が無いことはたしかです。2度目の大台が短時間だったことから、そんなことを考えた週末でした。

さて、今週は米国では地区連銀総裁の講演が相次ぎますし、各国の経済指標も日々出てきます。しかし、大きく方向性を示すようなものがあるかとなると、そこまでのものは見当たりません。引き続き110円台でのドル売りと、現状では108円台半ばでのドル買いでバランスを取ってもみあい相場を継続いしやすい流れにあります。

そんな状態ですし、週初の始値もその想定している中央ですから、今週はテクニカルな動きから見て行きましょう。

日足チャートを見ていただくとわかりますが、これまでのドル円は年初来安値104.63と4月17日安値106.88を結んだサポートラインとそれに平行に引いたラインとで構成される上昇チャンネル(ピンク)の中での推移を続けていました。先週金曜には下ひげでトライしたものの引けでは戻し、本日も109円台半ばよりも上で引けた場合には、下ひげでのトライで終わる可能性があります。

しかし、この上昇チャンネルは比較的角度が急で値幅も狭いため、今週末には110円近くへと上昇してきます。改めてドル買い材料が出なければ、いったんこの上昇チャンネルを下抜ける可能性の方が高く、その場合には年初来安値からの上げが2度の110円トライで終わるという可能性も出てきます。チャートの形としてもそうなるとダブルトップの反転パターンとなりやすく、さらにネックラインにあたる108.65を明確に下回ると一段の円高に繋がることも考えられます。

今週は上にも下にも抜けない想定でいますが、仮に抜けた場合にはその方向にもう1円くらい走る可能性を考えておくとよいでしょう。ただ、これはあくまでもサブシナリオです。メインシナリオはもみあいですから、今週は108.50レベルをサポートに、110.00レベルをレジスタンスとする一週間を予想します。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月14日(月)
15:30 フランス中銀総裁講演
15:45 クリーブランド連銀総裁講演
19:00 メルシュECB理事講演
19:15 ラウテンシュレーガーECB理事講演
20:45 プラートECB理事講演
22:40 (セントルイス連銀総裁講演)

5月15日(火)
10:30 豪中銀理事会(1日)議事録公表
11:00 中国4月鉱工業生産、小売売上高
15:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値
16:00 トルコ2月失業率
17:30 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏5月ZEW景気期待指数
18:00 ドイツ5月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
21:00 (ダラス連銀総裁講演)
21:30 米国5月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国4月小売売上高
23:00 米国3月企業在庫
23:00 米国5月NAHB住宅市場指数
23:00 クラリダ次期FRB副議長公聴会
26:00 サンフランシスコ連銀総裁講演

5月16日(水)
08:50 本邦1〜3月期GDP速報値
09:30 豪州1〜3月期賃金指数
15:00 ドイツ4月CPI確報値
18:00 ユーロ圏CPI確報値
20:00 南ア3月小売売上高
21:30 米国4月住宅着工・建設許可件数
21:30 アトランタ連銀総裁講演
22:15 米国4月鉱工業生産、設備稼働率
23:30 米国週間原油在庫

5月17日(木)
06:30 (セントルイス連銀総裁講演)
07:45 NZ1〜3月期PPI
10:30 豪州4月失業率
**:** EU首脳会議
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月フィラデルフィア連銀製造業指数
23:00 米国4月景気先行指数
23:45 (ミネアポリス連銀総裁講演)
26:30 (ダラス連銀総裁講演)

5月18日(金)
08:30 本邦4月CPI
17:00 ユーロ圏3月貿易収支
22:15 ブレイナードFRB理事講演
22:15 (ダラス連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値  高値  安値   終値

ドル円  109.14 110.02 108.76 109.37
ユーロ円 130.45 130.76 129.24 130.60
ユーロドル 1.1957 1.1978 1.1823 1.1940
日経平均 22513.22 22769.16 22350.91 22758.48

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月7日(月)
 ゴールデンウィーク明けのドル円は、寄り付きから大幅安となった株価を見ながら売りが強まり仲値後には108.76レベルまで水準を切り下げました。しかし、その後は株価とともに切り返しじり高の展開、NY市場の朝方には109.40レベルの高値をつけました。NYダウも寄り付き直後こそ強かったものの引けにかけては売りが目立ち、ドル円も109円手前まで押しての引けとなりました。

5月8日(火)
 ドル円はNY市場まで109円挟みの膠着状態が続きました。NY市場に入り米金利上昇をきっかけとしたドル買いから一時109.35レベルの高値をつけたものの、引けにかけてはダウとともに水準を下げ109円割れ、その後は109円台前半に戻しての引けとなりました。

5月9日(水)
 ドル円は米金利上昇に加え、リクルートによる米社買収が現金で行われるとのニュースに東京前場から一段高となりました。仲値後にはここ数日の高値圏を上抜け、欧州市場序盤には109.80レベルまで水準を切り上げました。海外市場では米長期金利が再び3%の大台に乗せる動きとなりましたが、ドル円は既に大きく上げてきたこともあって若干高値を延ばす程度に留まりました。

5月10日(木)
東京市場のドル円は上下しながらも株価とともに底堅い動きを続け、欧州市場序盤には実需買いも出て再び110円の大台に乗せる動きとなりました。しかし110円台では売りたい向きの方が多く前回高値にもわずかに届かず反落、NY市場朝方に発表されたCPIが予想よりも弱かったことがきっかけとなってドル売りに。その後は109円台前半へと押し上値が重たい地合いでの引けとなりました。

5月11日(金)
週末を控えてドル円はほとんど動意の無い一日となりました。株価は大幅高となったものの為替市場は全く無反応で株式市場オープン以降は逆に円高に動く始末で、その後も109円台前半で方向感の無いままに引けました。

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