<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場も「行って来い」。2週続けて、ドルは高値をトライし110円円を一時超えるも定着出来ずに反落するという、まるで前週の値動きをなぞったような相場だった。
前週末から、朝鮮日報「米朝首脳会談開催地、シンガポールが有力」、朝鮮中央通信「北、“刺激すれば対話は白紙に”と米をけん制」などといった北朝鮮関連報道が観測されたものの、為替市場は静かなオープン。週明けは先週末のNYクローズに近い109.05-10円で寄り付いている。
そののち、上値を試す展開となり110円台を一時ワンタッチ、110.02円まで値を上げるもスグに反落。週末にかけては、週明けの寄り付きに近い109.15円レベルまで続落するなど「行って来い」の様相に。結局、週末安値からはやや値を戻した109.35-40円で取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、引き続き「北朝鮮情勢」。先で取り上げた2つのほか、「金北朝鮮委員長が再訪中、中朝首脳が会談実施」、「トランプ米大統領がポンペオ国務長官を北朝鮮に派遣」、「トランプ米大統領が米朝首脳会談は6月12日にシンガポールで実施と正式発表」、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ「北朝鮮は予告なしにミサイル実験をしない、と国際機関に確約」−−など様々なニュースや発言が観測されていた。
そのほか、「日中韓による首脳会談開催」、久しぶりに論戦が再開した日本の政局「国会における柳瀬氏の参考人招致」、トランプ大統領がついに決断を下した「米のイラン核合意離脱」に絡むニュースも折につけ話題に。
<< 今週の見通し >>
5月の声を聞いたのち、ドル/円は高値をトライし110円を一時超えるも定着出来ずに反落する、という相場を2週続けている。そんな過去2週間のレンジは108.65-110.04円、1.4円ほどの動きはあるが、ほとんどが109円台を中心とした一進一退で、明確な方向性はやや欠いている状況だ。今週は、そんな1.4円ほどのボックス圏を上下どちらに放れるのか、まずはその方向性が注視されている。敢えてリスクを指摘すれば、上方向という気がするが、予断は許さない。
また材料面から見た場合、融和観測が根強い北朝鮮情勢は引き続きドルの買い要因となりそうだが、ほかの多くは怪しい雰囲気を醸している。一例を挙げると、3-4日に行われた初の公式協議は物別れに終わった「米中貿易協議」が今週再び実施される見通しだが、具体的な進展や妥結は果たしてどうか。目に見える成果がでなければ、失望による円買いや再びリスク回避の動きが強まる可能性も否定出来ない。
テクニカルに見た場合、5月以降110円超えを2度試すも、いずれも失敗に終わっている。それも時間足より短いティックチャートを見ると、前回そして今回とも110円以上のレベルを付けていた時間はホンの数分といったところに過ぎず、逆に上値の重さを再確認した格好とも言えそうだ。
いずれにしても、まずは108.65-110.04円という過去2週間のレンジ、いま少し時間を延ばしたうえザックリ言ったレンジの108-110円を上下どちらに、そしてしっかりと抜けるのかに注目したい。なお、上抜けた場合には移動平均の200日線が位置する110.15-20円や2月2日高値の110.48円などがターゲット。それに対し、下抜けた場合は週間を通して107円半ばで横ばい推移する日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限がサポートになりそうだ。
一方、材料的に見た場合、4月の小売売上高や同鉱工業生産といった米経済指標が連日発表されるほか、米地区連銀総裁やFRB理事らによる講演も相次ぐ。また、15日には米上院銀行委でクラリダFRB副議長候補などの指名公聴会も実施される見込みで、そちらも注意しておきたい。
そのほか、イラン外相が12日から中露英独仏を行脚していることをうけた「米のイラン核合意離脱」に関する動き、先で指摘した今週再び実施される「米中貿易協議」や週の初めに行われる「米大使館のエルサレム移転」に絡む発言なども波乱要因となりかねない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、2度トライして抜け切れなかった110円レベルの攻防が注目されている。超えれば移動平均の200日線が位置する110.15-20円、2月2日高値の110.48円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、直近安値である108.65円が最初のサポート。割り込むようだと108円レベル、さらには日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する107円半ばを目指す展開も。(了)
オーダー/ポジション状況
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